異世界イチャラブ冒険譚

りっち

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876 天敵

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「特別研究機関インデペンデンスの研究テーマはデウス・エクス・マキナだ」

「なにそれ!? それってダンの体を隅から隅まで、丁寧に丹念に余すところなく研究するってことーっ!?」


 大真面目に、それこそ世界を救う最後の手段みたいな気持ちで発言した俺の提案は、ニーナによってなぜかえっちなお医者さんごっこみたいな雰囲気にされてしまった。解せぬ。

 いやいや、えっちなお医者さんごっこは大歓迎ですよ? なんですけど、えっちな気持ちゼロでした発言をエロく改変されちゃうと、流石に俺の立場が無くってですね。


「……あはーっ。これはインデペンデンスの内装、今から大幅に見直す必要がありそうね~……」


 ニーナの発言に、乾いた笑みを浮かべながらもどこか納得したような様子のティムル。

 この流れは不味い! 特別研究施設がエロ施設に切り替わる岐路に立たされている雰囲気をヒシヒシと感じるぞっ!?


「なんでさティムル!? デウス・エクス・マキナの研究は想定内でしょ!? ニーナの発言で見直す余地なんてないはずだっ!」

「あはーっ。ごめんねダンっ。貴方とニーナちゃんの意見が割れた時は、私はニーナちゃんの意見を採用するって決めてるのよぉ」

「そもそも意見割れてませんからねっ!? 割れてないはずなのに、どうして施設の見直しが必要なんですかねぇっ!?」


 そもそもと言うなら、ティムルがどんなことを想定して研究施設の見直しを提案したのか具体的に聞いたわけではない。

 だがしかしっ! この世界に来てみんなと過ごしてきた時間と股間が警鐘を鳴らしているっ! 絶対にエロ方面に流れが傾いているとっ!!


 エロい施設が嫌なわけじゃないけどねっ! 可愛いみんなとエロい施設でエロいことがし放題なんて最高すぎるけど、それを研究と称して不特定多数の人に見られるとかありえないよっ! みんなの体は俺だけの宝物なんですーっ!

 中に注ぎ込まれて気持ちよさそうに身震いしているヴァルゴとムーリのえっちな顔とか、家族以外に見せる気は毛頭ないのだーっ!


「ヴァルゴとムーリの腹を膨らませながら妾のおっぱいを舐め回しておるくせに、研究所がえっちになってダンはいったい何が不満なのじゃ? 大体妾たち家族の性事情なんぞ、書籍化されてとっくに知れ渡っておるではないか」

「それも別に納得してないからねっ!? でも活字で広まるのと実際にえっちを見られるんじゃ雲泥の差でしょっ!? 俺はこの可愛いフラッタの可愛いおっぱいを他人に見せる気は無いんだよっ! ちゅううううっ」

「あはーっ。そんなの私たちだって嫌に決まってるじゃないっ。全く貴方ったら、いったいどんなえっちな建物を想像してるのよーっ」


 どんなって……。そりゃあ全面ガラス張りの部屋にベッドだけが設置してあって、めくるめく我が家の愛の営みを研究者たちが遠目で観察しながら記録したり……?

 くっ! こんなことになるならロストスペクターの連中の協力なんて仰ぐんじゃなかったぜっ! はむはむちゅぱちゅぱ。


「落ち着きなさいったらぁ。私たちが家族以外の人間に肌を晒すわけないじゃないの。そこは譲らないから安心しなさいっ。ただそれを踏まえたうえで、やっぱりダンがえっちなことをしやすい施設には見直すつもりよぉ」

「どういうことなのお姉さん? 家族以外にえっちしてるところを見せる気が無いなら、えっちの様子を口頭か文章で報告すればいいんじゃないの? ぶっちゃけ、それも気が進まないけどさ……」

「そうは言っても、貴方が散々言ってたように、私たちを導いてくれたのはいつだってえっちだったからねー。貴方の研究を進めるなら、えっちと切り離すわけにはいかないじゃなぁい」

「くっ……! 過去の自分の発言がブーメランとなって突き刺さるぅ……!」


 俺の研究イコールえっちの研究とか、俺ってどれだけスケベなんだよ! まぁスケベですけどっ!

 実際エロ集中とか職業補正の制御とか、みんなとのえっちで強くなってきた自覚がある分ティムルの言葉を否定できないのが辛いんだよぉっ!


「それにアウラを助けた時なんかが良い例だけど、ニーナちゃんの直感も無視できないのよね~。ダンが幸せになることしか考えてないニーナちゃんの直感は、貴方の幸せに直結してるとしか思えないしぃ」

「ニーナの直感に従うといつもお嫁さんが増えるんだよっ! インデペンデンスでえっちを繰り返すって、それ絶対フラグだからぁーーっ!!」

「ん~。それも正直必要なのかもなーって、お姉さんも思ってるのよねぇ」

「……へ?」


 楽しそうな様子から一転して、申し訳なさそうな表情を浮かべるティムルに戸惑ってしまう。

 そんなティムルを背後から抱きしめたニーナが、続きは私が話すねと口を開く。


「いつも言ってるけど、ダンってお嫁さんが増えるほど強くなるじゃない? だからお嫁さんが増える状況ってさ、ダンの力がまだ必要な水準に達してないってことかもしれないなーってティムルは思ってるの」

「どんな基準だよニーナァァァ!? 世界を救うために新たな女を差し出せって、俺ドコの魔王だよーっ!?」

「何言ってるのー? ダンが渋ってるだけで、ダンに愛されたい女なんてまだまだいっぱいいるのっ。差し出すんじゃなくて受け入れるだけでしょっ、まったくもー」

「ズレてるっ! ズレてるよニーナ! 論点が果てしなくズレてきてるよっ!? 大体俺、えっちする度に強くなるなんて特殊能力持ってませんからねーっ!?」


 えっちするだけで強くなる能力とか、何そのチート、欲しすぎるっ!

 じゃねぇよ! 俺がえっちで強くなったのはえっちに職業補正を活かしてきたからであって、えっちして強くなったわけじゃないんですってばーっ!


「でもさ。君はぼくやフラッタを手放したくない一心でどこまでも強くなってくれたじゃないか。ならいっそ世界中の女を抱いちゃえば、何が何でもコラプサーを追い返してくれるんじゃないのー?」

「リュート!? そんなことしたらお前とえっちする時間が無くなっちゃうってばっ!」

「旦那様が心配するのはそこなんですか? なんだかんだ言いながらも受け入れた女全員を満足させてくれそうですけどね」

「俺を受け入れてくれてるのはみんなの方でしょ。こんな風にっ! こんな風にーっ!」

「あうっ! あんっあんっやぁんっ! も、もっと激しくてもいいっ、ですよぉ……はぁんっ!」


 ヴァルゴへのツッコミ代わりに、現在進行形で突っ込んでいるムーリの中を激しく掻き回す。

 しかし我が家でも随一のエロ耐性を誇るムーリの前には、俺の動きなど喜ばれるだけだった。くそっ! くそっ! ムーリ大好きぃ!


「ねぇダン。貴方はいつも悪意に反応して、悪意から私たちを守ってきてくれたの」

「このっ! このっ! ここがイイのかメスブタムーリめ……って、ニーナ?」

「だけどコラプサーって、多分貴方が初めて対峙する、だと思うんだー」

「俺が初めて対峙する、悪意を持たない存在……?」

「だから私は不安なの。悪意を持たない相手と、ダンが本当に戦えるのかなーって」


 ニーナの言葉に意識を持っていかれたせいで、身体操作性補正の制御が乱れてムーリの中にドクドクト注ぎ込んでしまう。

 俺の水分を全て絞り尽くさんと締め上げてくるムーリの温もりを感じながらも、淡々と語るニーナから意識が離せない。


「ステイルークで住人の悪意に晒された時も、ティムルと一緒に野盗に襲われた時も、貴方は悪意に反応して実力以上の強さを発揮してくれた。でもコラプサーには多分悪意が無いの。きっとコラプサーは、ダンにとって最も相性が悪い相手なんじゃないかなー」

「た、確かにコラプサーには悪意が無いかもしれないけどっ……! みんなを守るために戦うことに変わりは……!」

「ふふっ。ダンはワガママな暴君様だから、私たちを不幸にしようとする悪意のことが許せないの。だけど私たち、今この瞬間に終焉を迎えても幸せなまんまだから、ダンはきっと実力以上の強さなんて発揮できないと思うんだーっ」


 俺が力を発揮できないと、なぜかとても楽しげに笑うニーナ。不幸と終わりは違う。ニーナの言っていることは恐らくこういうことなんだろう。

 不幸は回避し退けることは出来るけど、終わりは誰にでも訪れる絶対的なものだ。コラプサーによって齎される終焉なんて受け入れる気は全く無いけれど、事故であれ寿命であれ俺たちにだっていつか必ず終わりは訪れてしまうのだ。


 ニーナの言葉に他のみんなの様子を確認すると、誰もが穏やかに微笑んで俺のことを見ていた。

 もう充分だよ。誰よりも幸せにしてもらったよって顔に書いてある。


 ……だから今すぐ終焉を迎えても大丈夫だよって? 冗談じゃないね。


「みんなが幸せになってくれたのは嬉しいけど、俺はそんなみんなともっともっと愛し合いたいんだ。実力以上のものが発揮できなくなるのなら、実力を高めて対応してみせるよ」

「ダンが頑張ってくれるのは嬉しいけど、私たちはもうみんな世界で1番幸せなのっ。だから終わりを迎えるその日まで、ずーっとえっちしてくれるだけでも構わないんだよー?」

「魅力的な提案だけど、俺はワガママだからね。一瞬でも長くみんなと愛し合いたいんだ。だから今すぐニーナやみんなに甘えるわけにはいかないよ」

「あはっ。ダンならそう言うって分かってたのっ。だからやっぱりインデペンデンスはえっちな施設にしなきゃいけないのーっ」

「なんでだよーっ!? 今の流れでどうしてそこに繋がるんだよーっ!?」


 毎度のことだけど、ニーナはエロとシリアスの切り替えがマッハ過ぎてついていけないんだよーっ!?

 ていうか流れ的に逆じゃないの!? 終焉を受け入れてひたすらえっちする選択をするなら、研究施設をえっちに魔改造して爛れた日々を送るのもありだと思うんですけどっ! 滅びに抗う選択をしたのに研究施設をえっちに仕上げるとはこれ如何にーっ!?


「ふふっ。インデペンデンスの研究テーマはダンのデウス・エクス・マキナ。表向きはこれでいいの。だけどダンがワガママなままで、私たちともっと沢山、もっと長くえっちがしたいなら、素直にそれを研究すればいいのっ」

「……ん、ん~? ご、ごめんニーナ。言ってることがよく分からないよ。俺はみんなともっと長く愛し合いたいから、その為の方法としてデウス・エクス・マキナを研究しようって……」

「コラプサーを退けるためにデウス・エクス・マキナを研究しても、悪意を持たないコラプサー相手にダンはきっと実力を発揮できないの。だけど私たちとずーっとえっちするためって思えば、えっちなダンはとってもやる気になってくれるはずなのーっ!」

「終焉を回避する為じゃなくて、みんなとの幸せを続けるために研究する……」


 悪意を持たないコラプサーを退ける方法ではなく、みんなとの幸福を継続する方法を研究する。

 結局どちらにしてもデウス・エクス・マキナを研究しなければいけないだろうし、コラプサーを退ける必要があるはずだ。だからやることは変わらない。


 はず、なのに……。


「女神様たちの世界も滅ぼしちゃってるし、悪意を持たないコラプサーに強さで対抗してもきっと意味が無いの。とっくに誰よりも幸せにされちゃった私たちを守るって理由じゃ、きっとダンはコラプサーに勝てないの。だって私たち、ダンと一緒なら終焉だって笑顔で受け入れられちゃうから」

「や、やだよっ! 俺は絶対に嫌だっ! せっかく神代から続く悪意を払って、みんなと寝室に籠っていられる日々を迎えられたのに、そんな簡単に終わりを受け入れたくなんて……!」

「うん。それは私たちもおんなじなの。だけどダンが居れば満たされちゃう私たちじゃ終焉は拒めないの」


 ……くっ! 俺が居れば満たされちゃうって、物理的にって意味ですかっ!? ここでまたドエロ発言ですかニーナさんっ!?

 笑顔のニーナが拒めないとか発言するだけでなんかエロいから困るんだよ!? 今シリアスな話してるのにーっ!!


「私たちだけじゃ終わりを受け入れちゃう。だけど1度空っぽになって、どれだけ愛し合っても満足できないえっちなダンのワガママなら私たちも全力で応えちゃうのーっ」

「えっちに満足してないのって本当に俺なんですかねーっ!? みんなが全力でえっちに応じてくれるなら何の文句も無いですけどーっ!」

「だからインデペンデンスでもとってもえっちな日々を過ごしながら、こんな日がいつまでも続きますようにって貴方が本気で願ってくれないとダメなんだよ? 私たちを不幸から守るためじゃなくて、ダンが幸せであり続けたいって本気で思ってくれなきゃ終焉の未来はきっと変えられないのーっ」


 みんなを守るためじゃなく、みんなと共に過ごしたい。

 とっくに幸せになってしまったみんなには願うことが出来ない、誰よりも幸せな日々を送っているくせに終わりを受け入れられない、子供のような幼稚な駄々。


 ……参ったな。本当に参った。

 本当に、何時まで経ってもニーナには敵わない。


 空っぽのままの俺じゃ、コラプサーの齎す終焉の未来を退けることは出来ない。だってコラプサーが齎すのは終焉であって、決して不幸ではないのだから。

 だから俺は今まで以上にワガママにならないといけない。幸せすぎて終焉を否定できないみんなともっと愛し合うために、まだまだ終わりたくないんだと叫ばなければいけないんだ。


「ごめんねダン。だけどこの世界のみんなを幸せにしてくれた貴方が空っぽのままだなんて、やっぱり私は受け入れられないの。だから貴方にはワガママになって欲しいんだ。終焉の未来を変えちゃうくらいにっ」

「既に暴君とか呼ばれてるんですけど、そんな俺にもっとワガママになれって? まったく、ニーナは無茶言ってくれるよ……」

「ふふっ。不幸が嫌いなだけじゃなくって、ダンにはもっともっと幸せになりたい、幸せであり続けたいってワガママになって欲しいんだよーっ。自分のことなんか顧みない優しい素敵な暴君様に、自分のことも幸せになってもらうんだからっ」


 ……幸せであり続けたいって、そんなにワガママなことかな?

 柔らかく笑うニーナにキスをされちゃったら、誰だってもっとしたいって思っちゃうんじゃないの?


 そして幸せに浸されてすっかり忘れちゃったけど、どうやら研究施設インデペンデンスも我が家専用のエロ施設になることが決まってしまったようですね? 楽しみだな?
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