呪われた少女と天才魔法士たち

凰凬 鳳香(おうかぜ ふうか)

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序章 

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「おーい、ティアちゃ―――ん!!」

すがすがしく温かな春の朝。

当時10歳だった私は私とディールの生まれた村、ラディールの村を元気に走っていた。

「あ、おはよーう!ボルランドおじさん!!」

街一番の果物を育ててる村一番のマッチョ、ボルランドおじさん。

ボルランドおじさんはとても子供好きで、奥さんと自身の子供もすごくかわいがっているひどく優しい人だ。

叔父さんは私を遠くから手招居ている。

私はそれに応じると、ボルランドおじさんに歩み寄ったその瞬間、おじさんはたくさんのイチゴが入った籠を「じゃーん」と言いながら私の目の前に突き出した。

「ティアちゃん、どうせ今日もディールと魔法の森で遊ぶんだろ?これ、おやつにもってきな!」

「わぁ!いいの!?」

にかっと明るい笑顔を浮かべるボルランドおじさん。

そんなおじさんにつられて私も笑顔になる。

そして、その笑顔のまま私はおじさんにお礼を言って、私は幼馴染のディールの元へと再び駆けだした。

そして、少しの間走り続けるとディールの家が見えてくる。

そのディールの家の前ではディールのたった一人の家族であり、ラディール村の村長でもあるディールのおじいさんが家の扉の前で椅子に腰を掛けて座っているのが見える。

そして、そこから少し離れた場所でディールは元騎士のバロンという男性に剣の指南を受けている。

剣術の稽古はディールの日課だ。

なんでも、次期村長として村の人たちを護るためにいつも鍛錬してるらしい。

とても立派な話だ。

でも――――

「おーい、ディール――――!!」

まだまだ子供で遊びたくて仕方ない私はディールが稽古の途中だとわかっていながらディールに大きな声で声をかける。

ディールは私の声に反応して私を見ると満面の笑みを浮かべていた。

「ティアっ……!」

私の名前を嬉しそうに呼ぶとディールは私に向かって駆けだしてきた。

そしてディールは私に「おはよう」と満面の笑みで挨拶をしてくれる。

私もそんなディールに満面の笑みで挨拶を返した。

「バロン、今日の稽古はここまででいいだろ!?」

子犬が可愛く泣いてお願いするかのように愛らしく訪ねるディール。

そんなディールを見てバロンさんは苦笑いをしながら大きくため息をついた。

「あぁ、もちろんだ!子供は子供らしく遊んで来い。」

「やった!!!行こう、ティア!!」

「はいはい」と言わんばかりに呆れ気味に答えたバロンさんの言葉にディールは素直に喜び、私の手を引き走り出す。

私もディールの「行こう」という言葉に「うん」と言葉を返してともに走り出す。

「あっ、おいディール!!お前身体弱いんだから、無茶するなよ――――」

私たちの遊び場、魔法の森へと駆けだした私たちにバロンさんは起きな声で言葉をかけてくる。

まぁ、正しくは私たちというかディールにだ。

バロンさんの言う通り、ディールは生まれつき体が丈夫ではない。

でも、ディールはその事について口にされることを嫌っている為、心配してくれているバロンさんの言葉にムッと頬を膨らませ、わざわざ立ち止まってバロンさんの方を向いた。

そして――――

「大きなお世話―――――!!」

力いっぱい叫んだ後、右下瞼を人差し指で軽くしたに引っ張り、舌を突き出して「べー」と可愛く言う。

「ディール!心配してくれてるのにそういう態度は――――」

「構うもんか!行こう、ティア!」

「えっ!?あ、ちょっと!!」

ふくれっ面のまま私の手を引き、再び走り出すディール。

私は「仕方ないなぁ」と言いながら再びディールと走り出した。

それからしばらくして魔法の森にたどり着いた私たちは森の真ん中にある他の木々よりも随分と高い木の下に腰を下ろした。

「はぁ、はぁ……ちょっと休憩。ってティア、またおじさんとおばさんの魔法書持ってきてるし。」

息を切らしながら呆れた表情を浮かべるディール。

そして、「どうせ無駄無駄。魔法なんて俺達みたいな村育ちの子供が使えるわけないって。」と馬鹿にしてくる。

そんなディールの言葉に私は小さく頬を膨らませた。

「パパとママはすっごい魔法学者だったんだもん!絶対私でも使えるような魔法だって、どこかの本には書いてるもん!!」

「あ~はいはい。言ってのティアは聞かないもんな……。まぁ、せいぜい頑張れば?」

最初から無理と決めつけてくるディールに対し、私は更に頬を膨らませた。

「今に見てなさい、ディール!私はぜ――――ったい立派な魔法士になって見せるんだから!」

勢いよく本を閉じて立ち上がり、ディールを指さす。

そんな私を見てディールは鼻で笑った。

「そこまで言うなら魔法の一つでも使ってみたら?6歳の頃からずっと魔法勉強してるくせに、何一つとして仕えたことないお前が魔法を使うなんて夢のまた夢だろうけどさぁ。」

「なっ……!!」

馬鹿にしたような言い方で私の行動についてとやかく言ってくるディール。

そしてディールは私をからかって満足したのか、気持ちよさそうに地面に寝転がってしまう。

「もういいもん!!ぜーったい、ぜーったいディールが驚くような魔法、習得して見せるもんね!!あっかんべーーーーだっ!」

私はディールに向かってあっかんべをした。

そしてなんだかそのままそこで魔法の勉強をする気にはなれず、私はその場所を離れた。

(どこか静かなところで練習して、絶対のぜーったい驚かせるんだから!!)

負けず嫌いな私は馬鹿にされたままじゃ終われない。

意地でも絶対に魔法を身に着けて見せる!!

(……って、意気込みはあるんだけど、私の魔法文字の読み方、そもそも間違えてたりするのかな……?)

ラディールの村の人々は魔法を好まない。

魔法は確か伊人々の暮らしを豊かにする。

けれど、ラディールの村の人々たちは便利なものに頼りすぎれば人は退化するという考えを持つ人々だ。

だからなんでもかんでも魔法で解決しようとする魔法士を好まない。

実際、私の両親はこの世界のどこかにある巨大魔法都市で魔法学者をやっていたらしく、さらには魔法士でもあった。

私が生まれる数年前、この摩訶不思議な魔法の森について研究するために森のすぐ近くにあるラディールの村へと移り住んだ。

最初は村の人々たちに受け入れてもらえなかったらしいけれど、村で魔法は極力使わないという事を条件に何だかんだ時間とともに打ち解けていったらしい。

そして、その両親たちはというと私が6歳の頃、ディールの家の両親、そして村の若い大人たち数名と共に少し離れた大きな街へと買い付けに行った際、帰り道の村の近くで盗賊に襲われ、私の両親とディールの両親が命を落とした。

以来私は一人で魔法の森の前にある家で大量の魔法書と共に暮らしていた。

両親からは一度も魔法を教えてもらえなかった為、両親が亡くなってから一人で魔法の勉強を始めた私。

けれど教わる人がいないのがまずそもそもの問題なのか、私はあれからもう4年近くも月日が経っているというのに、とても簡単と記載されている魔法ですらうまく発動できないでいた。

「う~ん、いっそ派手な魔法はあきらめて、魔法薬とか調合してみる?でも、材料がなぁ……。」

ちょっと貧乏な子供の一人暮らしで材料を集める余裕は正直ない。

一体どうしたものか。

そんな事を思いながら今日も魔法書を読んで、いろいろ試しながら無情にも時間は過ぎ、やがて夜の闇が辺りを包み始めた頃、私とディールは家へと帰っていったのだった。
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