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第1章
出会い(1)
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学生時代は奨学金と家庭教師 飲み屋のアルバイトで得る収入で学業と日常生活をおくる貧乏学生 それは珍しいことではなく 私の周りにはおなじ境遇の学生も多く またそれを辛く感じたりすることはなく 下宿も三畳一間の共同トイレ 風呂なしなどが普通という時代だったのです
しかし親からの仕送りのない学生はアルバイトが唯一の生活継続の絶対条件でした
学業と日常生活にかかる費用を一つのアルバイトで培うのは困難であり 毎日の二つのアルバイトによる疲労が学業をおろそかにさせ 肉体的精神的に少しずつ追い込まれてゆきます 加えてオルグされシンパとして時折参加する学生運動も生活をさらに圧迫させ 大学を中退することも視野に入りはじめたのは大学2年の10月頃でした
寒さが増しつつある初冬のある日の夜 私は友人と駅前の飲み屋でつつましく飲んでおりました 私はお酒はあまり飲めないのですが 雰囲気やお酒による会話の活性化が期待できる事から 下宿でなく大衆酒場で飲む事が多々ありました お酒より酒場の料理やオツマミに惹かれ 友人の誘いをことわることは殆どなかったのです 三畳一間の下宿でサントリーレッドで飲むのが飲むという意味だった学生生活 神田川の曲を口ずさみながら飲む そのような雰囲気がゆるやかに流れていた時代 それでもなけなしのお金を持ち駅前の飲み屋で飲む時間は 社会の住人のようになれる社会的行動だったのです
私と友人の会話は学業や生活費の話がどうしても主になります 友人は沖縄の泡盛が好み それは安くて酔いも速いからです その日の友人との話ではアルバイト不調で収入が落ち込んだ事 さらに話が資本主義での剰余価値や労働価値等そして資本論の話にまで飛躍していました 文系でなくとも当時学生運動は全学生に影響を与えており 私も三派全学連に加わっておりましたがプロ運動闘士ではないシンパ つまり学生運動せざる者学生に非ず……とまで言われていた時代 ヘルメットとタオルで様子を隠しデモとシュプレヒコール 学ばざる者学生に非ず……こそ真理だったように今は思うのですが・・・・
当時の多くの学生運動家は革命こそが真理であり 革命に至るまでの手段の異なりで分裂 反革命分子の殲滅を掲げ内ゲバを生み もはや革命は言葉だけの霞みのように浮遊し いつかは霧消するだけの言葉でしかない 学生など誰もが知っていたはず それでも学生達は運動に憑かれたかのようにデモやアジテーションをやめない そういう時代だったと言えば事足りてしまうのが口惜しいのだ 学生運動 全学連 全共闘とは一体何だったのか……
友人は所用のため帰った後 私は一人で喧騒な雰囲気を味わっておりました 帰宅しようとした時近くで一人で飲まれていた三十過ぎの女性から声をかけられたのです 一人同士で客同士が近接して喧騒な雰囲気とお酒も入り知らぬ関係でもたしかに声をかけあう事は度々あり不自然ではなく 特に学生で女性との会話に飢えていた私は積極的に見知らぬ女性との会話に警戒心をうち捨て前のめりになっていた
女性は私と友人の話にそば耳をたてずとも聞こえていた事を先ず詫びられました(この方が私の学生時代の調教師となり 私がマゾに覚醒する契機となった女性です)
その女性は企業勤務のOLとは身体から溢れる雰囲気もファッションも店の雰囲気とは異質で 私のような学生とは生きている世界が異なるのは明らかだった 爪の紅く光に反射するかのようなマニキュアは蠱惑的で年上の人への憧れを感じさせた 現在の言葉か単語では美魔女と呼ばれるような存在 当時は思いつかない言葉 確かに美魔女とはそれ以外の言葉は思いつかない
その蠱惑的な女性からは少しの時間の会話のお誘いをうけた 私には恋する相手もなく田舎から上京し都会の全てに日々驚きの毎日を過ごし 蠱惑的な美しい年上の女性に対する耐性などはありようもなく さらに童貞でもあり思わぬ機会に驚くより先に心臓の鼓動が大きくなり高調してしまった 彼女の声には年上の落着きや人を見下すような抑揚と口調がありましたが 嫌味はなく年齢差だけではない自然な言葉振る舞いに私は呑み込まれていた 周囲とは異質な組み合わせに私は少なからず優越感を持ちながらも注目されぬように所作を控えめに声も控えめ会話に終始していた
大学の事 生活の事などの雑談の後 私の学費や生活費に困っている事について話題がうつると彼女は私にアルバイトの話を持ちかけた
見知らぬ人でしかも酒場での飲酒状態でのアルバイトの話にはたちまちは信じられるわけもなく 話しの内容より言葉の変化に応じての彼女の表情や視線の動きに注視していたのです
しかし親からの仕送りのない学生はアルバイトが唯一の生活継続の絶対条件でした
学業と日常生活にかかる費用を一つのアルバイトで培うのは困難であり 毎日の二つのアルバイトによる疲労が学業をおろそかにさせ 肉体的精神的に少しずつ追い込まれてゆきます 加えてオルグされシンパとして時折参加する学生運動も生活をさらに圧迫させ 大学を中退することも視野に入りはじめたのは大学2年の10月頃でした
寒さが増しつつある初冬のある日の夜 私は友人と駅前の飲み屋でつつましく飲んでおりました 私はお酒はあまり飲めないのですが 雰囲気やお酒による会話の活性化が期待できる事から 下宿でなく大衆酒場で飲む事が多々ありました お酒より酒場の料理やオツマミに惹かれ 友人の誘いをことわることは殆どなかったのです 三畳一間の下宿でサントリーレッドで飲むのが飲むという意味だった学生生活 神田川の曲を口ずさみながら飲む そのような雰囲気がゆるやかに流れていた時代 それでもなけなしのお金を持ち駅前の飲み屋で飲む時間は 社会の住人のようになれる社会的行動だったのです
私と友人の会話は学業や生活費の話がどうしても主になります 友人は沖縄の泡盛が好み それは安くて酔いも速いからです その日の友人との話ではアルバイト不調で収入が落ち込んだ事 さらに話が資本主義での剰余価値や労働価値等そして資本論の話にまで飛躍していました 文系でなくとも当時学生運動は全学生に影響を与えており 私も三派全学連に加わっておりましたがプロ運動闘士ではないシンパ つまり学生運動せざる者学生に非ず……とまで言われていた時代 ヘルメットとタオルで様子を隠しデモとシュプレヒコール 学ばざる者学生に非ず……こそ真理だったように今は思うのですが・・・・
当時の多くの学生運動家は革命こそが真理であり 革命に至るまでの手段の異なりで分裂 反革命分子の殲滅を掲げ内ゲバを生み もはや革命は言葉だけの霞みのように浮遊し いつかは霧消するだけの言葉でしかない 学生など誰もが知っていたはず それでも学生達は運動に憑かれたかのようにデモやアジテーションをやめない そういう時代だったと言えば事足りてしまうのが口惜しいのだ 学生運動 全学連 全共闘とは一体何だったのか……
友人は所用のため帰った後 私は一人で喧騒な雰囲気を味わっておりました 帰宅しようとした時近くで一人で飲まれていた三十過ぎの女性から声をかけられたのです 一人同士で客同士が近接して喧騒な雰囲気とお酒も入り知らぬ関係でもたしかに声をかけあう事は度々あり不自然ではなく 特に学生で女性との会話に飢えていた私は積極的に見知らぬ女性との会話に警戒心をうち捨て前のめりになっていた
女性は私と友人の話にそば耳をたてずとも聞こえていた事を先ず詫びられました(この方が私の学生時代の調教師となり 私がマゾに覚醒する契機となった女性です)
その女性は企業勤務のOLとは身体から溢れる雰囲気もファッションも店の雰囲気とは異質で 私のような学生とは生きている世界が異なるのは明らかだった 爪の紅く光に反射するかのようなマニキュアは蠱惑的で年上の人への憧れを感じさせた 現在の言葉か単語では美魔女と呼ばれるような存在 当時は思いつかない言葉 確かに美魔女とはそれ以外の言葉は思いつかない
その蠱惑的な女性からは少しの時間の会話のお誘いをうけた 私には恋する相手もなく田舎から上京し都会の全てに日々驚きの毎日を過ごし 蠱惑的な美しい年上の女性に対する耐性などはありようもなく さらに童貞でもあり思わぬ機会に驚くより先に心臓の鼓動が大きくなり高調してしまった 彼女の声には年上の落着きや人を見下すような抑揚と口調がありましたが 嫌味はなく年齢差だけではない自然な言葉振る舞いに私は呑み込まれていた 周囲とは異質な組み合わせに私は少なからず優越感を持ちながらも注目されぬように所作を控えめに声も控えめ会話に終始していた
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