王子妃セスから冒険者レノになった話

氷室 裕

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第4章 西国タリアネシア編

⑩カイルの我慢※

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 結局、テーブルに頬を付けて寝てしまったレノを、横抱きにして部屋へ連れて行く。

 周りの目がかなり気になったが、だって仕方がないだろ!?

 寝台に寝かせたレノはまるで少女のような幼い顔だった。

 足が小さい・・俺と3つしか違わない・・どう考えても、同じ男とは思えない。

 それなのに冒険者をしている。未だにこいつが何をしようとしているのか、よく分からない。だがそれでもよかった。

 俺は部屋から出ようとした。

「いかな・・で?どうして・・おれをひとりにするの?うぅっ・・」

 俺だと分かって言っているのだろうか。座りこんだレノを立たせると、本当に小さい。
 レノは泣き出して頭を横に振りながら、俺の手に縋ってくる。行かないでと言われているみたいに。

 涙が止まらない。
 どんどん溢れて涙で視界を塞ぐ。

「して・・したい・・キス・・」

 俺は心臓が止まりそうになった。
 レノは酒に酔っている!何も分かっちゃいない!意識がはっきりしていないんだ。

 レノはよく泣くから涙は見た事があるが、こんなに切なそうな泣き顔は初めてだ。

 レノは何を抱えているんだ?誰かと・・勘違いしてるんじゃないのか?
 相手は?ケルピーが見せた幻影の恋人だろうか。でもそんな顔をされたら、俺は・・

 思わずレノを抱き締める。
 柔らかい小さい体だ。壊れそうで愛おしくなる。体を丸ごと包み込むように、強く優しく抱きしめる。

 レノから小さく息が漏れるのを聞いて、俺の中心が固くなった。

 レノの唇は柔らかくて甘かった。俺が差し入れた舌を追って絡めてくる。レノは・・深いキスを知っている。それは、確実に。

 唾液を送ればこくんと飲み込んで、俺にもとろりと送り返してくる。

 ぴちゃぴちゃと音を立てて、俺の舌を吸う。
 息が漏れる。口内を長く愛撫してくる。
 俺の方が溶けてなくなりそうだった。

 レノが誰かと、こんなキスをしてきたと思うと、胸が苦しくなる。

 髪をほどく。後頭部を抑え、力強く引き寄せる。口蓋を舌先で撫でて、誰よりも俺の方がレノを感じさせたいと思う。レノは身体をビクッと震わせる。

「んぁっ・・はぁ、はぁ、ンン・・」

 漏れて、くぐもった声が色っぽい。

 何度も口蓋を擦る。歯茎をなぞるようにして舌の付け根を吸う。

「あ、あんン・・ン、ぁぁ・・きもち、ぃ」

 気持ちいいなんて・・そんな事口にするんだな・・

 本当は、所有痕なんて付けるつもりなどなかった。でも支配したい、欲しいと思ってしまったんだ。赤い痕は煽情的で俺をさらに煽る。

 耳元で囁く、吐息で「好きだ」と何度も繰り返す。

 レノが、もし酔いから覚めたら・・?
 俺に幻滅するだろうか・・
 耳に息を吹きかけられて刺激になったのか、レノは首を反らして声をあげる。

「あ、あ、あ、あン・・・」

 レノは上着を脱ぎ始める。それを見れば、やはり誰かのものだったんだと実感して心が抉られる。欲情したレノの身体が熱くて、俺の身体に縋り付いてくる。

 俺はレノの熱を逃してやれば、眠って朝には忘れるだろう・・そう思った。なのに、ズボンの上から足の付け根をまさぐっても、レノに性器の膨らみがない・・小さいだけかとも思ったが、俺の指が割れ目に入っていく。

「ぁンっ・・」
「え・・?」

 上着もシャツも床に落として、顕になったのは胸にキツく巻かれた布だった。胸が平らになるほど締め上げて、苦しそうだ。

 俺はゆっくりと巻かれた布を剥いでいく。
 豊満な胸があらわになって、レノが女性である事を改めて理解した。

 嘘だ、ろ!?

 俺は、今まで何をしていた!?
 レノが男だと疑わなかった。

 もし、女性だったらなどと無意味な願望さえ持たずにいたんだ。今まで、過酷な事をさせてきた・・女性だぞ!?

 今更後悔しても遅い。
 俺の手で、レノの胸に触れて包み込む。柔らかくて、なんて美しいんだ。触れていた乳首が尖り、俺を誘う。そっと舌先で転がして吸い付く。

「あ、あんっ・・」

 レノはふらふらと体を揺らしながら、俺に身を寄せてくる。

 そしてそのまま俺の胸に倒れ込んで来て、眠ってしまった。ため息をつきながら、俺はレノを横抱きにして寝台に連れていく。

 ベルトを外して、ズボンを脱がせていく。
 中心には女性の性器だけ。

「女・・だな・・」

 濡れてテラテラしていて・・本当にいやらしい。俺とのキスで感じてくれたんだと思うと、身体がゾクッと震える。

 駄目だと理解しながらも我慢できず、指を腟内なかに挿れてみる・・

 くちゅっと音がなる・・ああ、すごく熱い。
 なんて狭さだ・・ん・・?
 膜が、破れていない・・?
 クリトリスも皮を被ったままだ・・
 処女?なのか?

「んぁ・・」
「はぁ・・」

 腰を振りたい衝動に駆られる・・だが駄目だ!
 すやすやと眠るレノを見ながら、苦笑する。
 深呼吸して、自分を落ち着かせる。それから、惜しみながら指をそっと引き抜く。

 俺は自分の余裕のなさよりも、レノが男装を頑張っていたことに笑えた。

「は・・?え!?魔法が・・解けた!?」

 レノの髪の色が・・暗い茶色だったはずなのに、明るい栗色になった・・肌が雪のように真っ白だ・・

 なんだ・・?固定魔法?
 眠ったから、魔法が溶けた?

 いや、野営中はこんな事一度もなかったぞ!
 酒に酔って・・?それで魔法が溶けたのか?

「はぁ・・これが、本当のお前の姿なんだな、レノ。お前には本当に驚かされるよ・・」

 それから寝間着を着せると、惜しみながら何度かキスをする。

 しばらくレノを見つめて、見つめて・・
 そして俺は、渋々部屋を出たのだった。










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