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第16章 望む未来へ
⑥恋のゆくえ
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長かった・・本当に。
セスを手放してしまってからもう一度手に入れるまでに、まさかこんなにも時間がかかってしまうとは。
これからは何があっても手放さない。
例え驚天動地のありさまが起きようとだ。
「レオ・・?そんなに見つめられたら・・俺、ドキドキして・・」
「ドキドキ?私にドキドキしてくれるの?嬉しいな」
「レオ・・えっと・・喉が渇いたから!」
セスが顔を赤らめて、私の腕の中からすり抜けようとしている。私があまりにもセスを見つめるから、きっと恥ずかしくなってしまったんだろう。
でも逃がさないよ?
私はセスの肩を抱いて引き寄せる。セスは俯いて私の方を見ようとしない。
「喉が渇いたの?なら果実水を飲む?ほら・・」
私はセスの顎をとって、甘い果実水を口移しで飲ませる。
「んく・・ん、コク・・ん、もう・・」
「もう?もっと?」
「いえ・・もう、大丈夫、です」
逃げないで・・この腕の中に置いておきたいから。でも、セスは恥ずかしがるばかりでなかなか私に積極的に愛を示してくれない。
本当に・・まるで、恋人同士になったばかりの頃のようだ。
あの頃は恋愛なんて経験した事のないセスに愛を伝えて、私だけなんだと思わせて、身体に触れて、甘やかされる事に慣れさせるのに苦労したんだ。今はまた、あの頃のような状態に戻ってしまった。
「はぁ・・」
「レオ・・?ごめんなさい!」
謝らなくていいんだ、私に遠慮なんて要らないんだから。でもこのままだと、またセスの心が離れていく気がしてならない・・
私しかいないんだと、セス自信が意識してくれなければ駄目なんだ!
私だけを求めて、私だけに依存して、私を誰かに奪われないかと不安になって嫉妬して欲しい・・だけど、セスはそうじゃない。私がセスを拒絶すれば、また容易く身を引くだろう。
セスに、セス自身に、何が何でもこの私がいいんだと自覚させる必要があるんだ。私がセスを必要として選んだように、セスにも自分で私を選んだのだからと、自信を持って愛を貫いて欲しい・・永遠に私を愛して欲しいんだ。
「セス、仕事だ・・私は一度、城に帰るよ」
「え?あ、はい・・気をつけて・・あの・・」
「ん?セス?」
「いえ・・お仕事、頑張って下さい」
「ああ」
私はソファーから立ち上がり、帰り支度をする。そんなタイミングで家の呼び出しベルがなってイヴが家に入ってきた。
「こんにちは、レオナルド様?お邪魔してしまいましたか?セス?少し、約束の時間には早かったかしら・・」
「イヴ、君は・・いや、なんでもない。ちょうどいい所に来てくれた。イヴに頼みたい事があるんだが、時間をとって貰えるだろうか?」
「はい、もちろんですわ?私はいつでもよろしいですよ?」
「なら明日迎えにいく。食事をしながら話そう。よろしく頼む」
「はい、では明日」
私はイヴと約束を交わし、セスの頭をそっと撫でると馬車に乗り込んで城へと戻った。
「レオナルド殿下、例の話は本当に実行されるおつもりですか?また、セス様に嫌われても知りませんよ?」
「また?私はセスに嫌われた事など一度もないぞ!?」
なんだ?オットーは何が言いたいんだ!!セスと離れたのは私が嫌われたからではないだろう?あれは魔女のせいなんだ。
それに『大嫌い』と言われたのはセスが記憶を失っていたからだ。
いや・・セスに嫌われるなんて・・考えるだけで気分が悪い。
「そうでしょうかねぇ?まあ、貴方様には貴方様のお考えがあっての事でしょうから、不本意ながら協力は致しますよ?」
「黙って協力しろ・・私だって不本意だ。だが、仕方ないんだよ」
「はいはい、そうですね?あ、そう言えば、イヴ様とは明日はどちらへ?」
「金兎の加工は仕立て屋に依頼するが、デザインはイヴに任せたい。あとはイヴと夕食を食べてからセスの家へ・・いや・・明日はセスの所へは行かないでおこう・・用が終わったらイヴを送る」
「では手配しておきましょう。城下町で数頭立ての四輪馬車をご準備致します。まさか王宮の馬車を出すわけにはいきませんので」
「任せる。ところでこの件はヒューベルトには絶対に言うなよ?あいつが知ったら煩いからな」
「煩いと思われる事など、なさらなければよろしいのでは?ヒューベルト殿下も巻き込まれて迷惑されますでしょうに・・」
「いいんだよ!あいつも少しは自覚すべきなんだ」
「はぁ・・分かりました。では明日の準備を致しますので」
イヴは本当に美しい。
上品で凛とした佇まいは、表情や洗練された態度にも颯爽に引き立てる。かといって、奥ゆかしさや艶やかさを持ち合わせているのだから、きっと人を惹きつけてやまないだろう。
私の誘いに応じるだろうか・・利発な彼女の事だ、きっと私と過ごす方が良いと気が付いてくれるに違いない。
人の心は移り気だ・・ふとしたはずみで起こる感情なんて、いつだって有りうるんだ。
一目惚れというのは、そういうものだ。
「イヴに好きな人が出来たと分かれば・・これは婚約者にとって想定外の事態だろうな・・とくに相手が私ならなおさらだ」
私は窓の外に目を向け、おぼろ月夜が浮かぶ夜空を見上げた。
セスを手放してしまってからもう一度手に入れるまでに、まさかこんなにも時間がかかってしまうとは。
これからは何があっても手放さない。
例え驚天動地のありさまが起きようとだ。
「レオ・・?そんなに見つめられたら・・俺、ドキドキして・・」
「ドキドキ?私にドキドキしてくれるの?嬉しいな」
「レオ・・えっと・・喉が渇いたから!」
セスが顔を赤らめて、私の腕の中からすり抜けようとしている。私があまりにもセスを見つめるから、きっと恥ずかしくなってしまったんだろう。
でも逃がさないよ?
私はセスの肩を抱いて引き寄せる。セスは俯いて私の方を見ようとしない。
「喉が渇いたの?なら果実水を飲む?ほら・・」
私はセスの顎をとって、甘い果実水を口移しで飲ませる。
「んく・・ん、コク・・ん、もう・・」
「もう?もっと?」
「いえ・・もう、大丈夫、です」
逃げないで・・この腕の中に置いておきたいから。でも、セスは恥ずかしがるばかりでなかなか私に積極的に愛を示してくれない。
本当に・・まるで、恋人同士になったばかりの頃のようだ。
あの頃は恋愛なんて経験した事のないセスに愛を伝えて、私だけなんだと思わせて、身体に触れて、甘やかされる事に慣れさせるのに苦労したんだ。今はまた、あの頃のような状態に戻ってしまった。
「はぁ・・」
「レオ・・?ごめんなさい!」
謝らなくていいんだ、私に遠慮なんて要らないんだから。でもこのままだと、またセスの心が離れていく気がしてならない・・
私しかいないんだと、セス自信が意識してくれなければ駄目なんだ!
私だけを求めて、私だけに依存して、私を誰かに奪われないかと不安になって嫉妬して欲しい・・だけど、セスはそうじゃない。私がセスを拒絶すれば、また容易く身を引くだろう。
セスに、セス自身に、何が何でもこの私がいいんだと自覚させる必要があるんだ。私がセスを必要として選んだように、セスにも自分で私を選んだのだからと、自信を持って愛を貫いて欲しい・・永遠に私を愛して欲しいんだ。
「セス、仕事だ・・私は一度、城に帰るよ」
「え?あ、はい・・気をつけて・・あの・・」
「ん?セス?」
「いえ・・お仕事、頑張って下さい」
「ああ」
私はソファーから立ち上がり、帰り支度をする。そんなタイミングで家の呼び出しベルがなってイヴが家に入ってきた。
「こんにちは、レオナルド様?お邪魔してしまいましたか?セス?少し、約束の時間には早かったかしら・・」
「イヴ、君は・・いや、なんでもない。ちょうどいい所に来てくれた。イヴに頼みたい事があるんだが、時間をとって貰えるだろうか?」
「はい、もちろんですわ?私はいつでもよろしいですよ?」
「なら明日迎えにいく。食事をしながら話そう。よろしく頼む」
「はい、では明日」
私はイヴと約束を交わし、セスの頭をそっと撫でると馬車に乗り込んで城へと戻った。
「レオナルド殿下、例の話は本当に実行されるおつもりですか?また、セス様に嫌われても知りませんよ?」
「また?私はセスに嫌われた事など一度もないぞ!?」
なんだ?オットーは何が言いたいんだ!!セスと離れたのは私が嫌われたからではないだろう?あれは魔女のせいなんだ。
それに『大嫌い』と言われたのはセスが記憶を失っていたからだ。
いや・・セスに嫌われるなんて・・考えるだけで気分が悪い。
「そうでしょうかねぇ?まあ、貴方様には貴方様のお考えがあっての事でしょうから、不本意ながら協力は致しますよ?」
「黙って協力しろ・・私だって不本意だ。だが、仕方ないんだよ」
「はいはい、そうですね?あ、そう言えば、イヴ様とは明日はどちらへ?」
「金兎の加工は仕立て屋に依頼するが、デザインはイヴに任せたい。あとはイヴと夕食を食べてからセスの家へ・・いや・・明日はセスの所へは行かないでおこう・・用が終わったらイヴを送る」
「では手配しておきましょう。城下町で数頭立ての四輪馬車をご準備致します。まさか王宮の馬車を出すわけにはいきませんので」
「任せる。ところでこの件はヒューベルトには絶対に言うなよ?あいつが知ったら煩いからな」
「煩いと思われる事など、なさらなければよろしいのでは?ヒューベルト殿下も巻き込まれて迷惑されますでしょうに・・」
「いいんだよ!あいつも少しは自覚すべきなんだ」
「はぁ・・分かりました。では明日の準備を致しますので」
イヴは本当に美しい。
上品で凛とした佇まいは、表情や洗練された態度にも颯爽に引き立てる。かといって、奥ゆかしさや艶やかさを持ち合わせているのだから、きっと人を惹きつけてやまないだろう。
私の誘いに応じるだろうか・・利発な彼女の事だ、きっと私と過ごす方が良いと気が付いてくれるに違いない。
人の心は移り気だ・・ふとしたはずみで起こる感情なんて、いつだって有りうるんだ。
一目惚れというのは、そういうものだ。
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私は窓の外に目を向け、おぼろ月夜が浮かぶ夜空を見上げた。
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