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呪道
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ある山間の旧道に存在する、古いトンネルが在るのだが、目の前には立ち入り禁止の看板が立っている。
かつては、多くの車が通っていた場所だが、老朽化と崩落の危険から現在は、完全に閉鎖されている。
だが、心霊マニア達の間では「心霊スポット」として密かに知られていた。
入り口は錆びたフェンスで覆われているだけで、完全に立ち入りが不可能という訳でもない。 その事から、心霊マニア達が夜な夜な、その旧トンネルに姿を現している。
しかし、最近奇妙な現象が起きていた。
どうやら、この旧トンネルに来た者の数人が、次の日に不運な死を遂げているようだ。
しかし、その旧トンネルに行っても、何も起こらない人もいる。
と言うより、何も起こらない人の方が圧倒的に多かった。
では、亡くった人達は単なる偶然かと言うと、それは間違えである。
実は、彼らにはある共通点があった。
ある日、一人の男性が交通事故で命を落とした。
休日に、家族に行き先も告げずに出かけ、そのまま帰らぬ人となった。
家族は悲しみに沈みながらも、警察から返却されたスマートフォンを確認し、そこで一つの動画を見つけた。
撮影日時は事故の前日。
動画は、男性が運転しながら旧トンネルへと向かっている最中のものであった。
どうやら男性は、助手席にスマホを置き、肝試しの記録として撮影をしていたらしい。
「これが噂の旧トンネルかぁ……。誰も居ないなぁ」
男性の陽気な声に、家族は胸を締め付けられた。
だが、動画はまだ続いた。
旧トンネルに至るまでの山道は曲がりくねっており、とくに中盤には、八つの連続カーブがあった。
恐らく、地元の運転手でさえ慎重になる程の急カーブである。
動画の中で男性は、そのカーブに差し掛かるとふざけた口調で突然こう言った。
「よし、数えてみるか。いーち、にー、さーん、よーん、ごー、ろーく、しーち、はーち……」
すると、ハンドルを切る音と同時に動画は揺れ、八つ目のカーブを抜けた瞬間、画面の隅に、すっと白い影が映り込んだ。
それは、白いワンピースを着た女性。
山道の中央に、まるでそこに立っているのが、当然であるかのように、静かに佇んでいる。
顔までは分からないが、確かにそこにいる。
しかし、運転している男性は気づいた様子もなく、車は女性の前をそのまま通り過ぎた。
それを見た家族の背筋に、冷たいものが走る。
だが次の瞬間、さらに異様なものが録音されていた。
「なんもないから消すか」
男性がそう言い、動画を停止しようとしたほんの一瞬前、女性の掠れたような声がはっきりと聞こえたのだ。
「……数えたな」
家族は震え、動画の再生を止めた。
その声は生々しく、機械のノイズでは説明できない程はっきりしていた。
これとはまた別で、若者五人が旧トンネルに肝試しに行き、一人が次の日に交通事故で命を落とした。
これも、先程話した男性と全く同じ単独事故であった。
そして、彼らの仲間が証言した。
「……そう言えばあいつ、車の中でふざけてカーブの数を数えてた」と。
それ以降、ある噂が広まった。
「あそこは、旧トンネルが危険なのではない。あの八つのカーブが危険だ。もし、八つ目のカーブを数えたら、白いワンピースを着た女に呪われ、殺される」と。
その後、旧トンネルへ向かう道は完全に封鎖され、通行禁止となった。
だが夜になると、フェンスの向こうから微かに声が聞こえるのだと言う。
何かを数える声が。
それは恐らく、あの女性に呪い殺された人達の声であろう。
かつては、多くの車が通っていた場所だが、老朽化と崩落の危険から現在は、完全に閉鎖されている。
だが、心霊マニア達の間では「心霊スポット」として密かに知られていた。
入り口は錆びたフェンスで覆われているだけで、完全に立ち入りが不可能という訳でもない。 その事から、心霊マニア達が夜な夜な、その旧トンネルに姿を現している。
しかし、最近奇妙な現象が起きていた。
どうやら、この旧トンネルに来た者の数人が、次の日に不運な死を遂げているようだ。
しかし、その旧トンネルに行っても、何も起こらない人もいる。
と言うより、何も起こらない人の方が圧倒的に多かった。
では、亡くった人達は単なる偶然かと言うと、それは間違えである。
実は、彼らにはある共通点があった。
ある日、一人の男性が交通事故で命を落とした。
休日に、家族に行き先も告げずに出かけ、そのまま帰らぬ人となった。
家族は悲しみに沈みながらも、警察から返却されたスマートフォンを確認し、そこで一つの動画を見つけた。
撮影日時は事故の前日。
動画は、男性が運転しながら旧トンネルへと向かっている最中のものであった。
どうやら男性は、助手席にスマホを置き、肝試しの記録として撮影をしていたらしい。
「これが噂の旧トンネルかぁ……。誰も居ないなぁ」
男性の陽気な声に、家族は胸を締め付けられた。
だが、動画はまだ続いた。
旧トンネルに至るまでの山道は曲がりくねっており、とくに中盤には、八つの連続カーブがあった。
恐らく、地元の運転手でさえ慎重になる程の急カーブである。
動画の中で男性は、そのカーブに差し掛かるとふざけた口調で突然こう言った。
「よし、数えてみるか。いーち、にー、さーん、よーん、ごー、ろーく、しーち、はーち……」
すると、ハンドルを切る音と同時に動画は揺れ、八つ目のカーブを抜けた瞬間、画面の隅に、すっと白い影が映り込んだ。
それは、白いワンピースを着た女性。
山道の中央に、まるでそこに立っているのが、当然であるかのように、静かに佇んでいる。
顔までは分からないが、確かにそこにいる。
しかし、運転している男性は気づいた様子もなく、車は女性の前をそのまま通り過ぎた。
それを見た家族の背筋に、冷たいものが走る。
だが次の瞬間、さらに異様なものが録音されていた。
「なんもないから消すか」
男性がそう言い、動画を停止しようとしたほんの一瞬前、女性の掠れたような声がはっきりと聞こえたのだ。
「……数えたな」
家族は震え、動画の再生を止めた。
その声は生々しく、機械のノイズでは説明できない程はっきりしていた。
これとはまた別で、若者五人が旧トンネルに肝試しに行き、一人が次の日に交通事故で命を落とした。
これも、先程話した男性と全く同じ単独事故であった。
そして、彼らの仲間が証言した。
「……そう言えばあいつ、車の中でふざけてカーブの数を数えてた」と。
それ以降、ある噂が広まった。
「あそこは、旧トンネルが危険なのではない。あの八つのカーブが危険だ。もし、八つ目のカーブを数えたら、白いワンピースを着た女に呪われ、殺される」と。
その後、旧トンネルへ向かう道は完全に封鎖され、通行禁止となった。
だが夜になると、フェンスの向こうから微かに声が聞こえるのだと言う。
何かを数える声が。
それは恐らく、あの女性に呪い殺された人達の声であろう。
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