異世界で モフモフな ”オオカミ“ に転生した。俺には特別な進化候補があるそうなので、例え『最弱』でも『最強』を目指す。

LittleNight

文字の大きさ
17 / 27

 狩猟依頼 イワン主観

しおりを挟む

 ………………
 …………
 ……


 やっぱりか……

 思わず二度見してしまったが、見間違いなどでは無さそうだ。
 あの魔法バカめ!
 ギルドの掲示板の隅の依頼。
 そう、森の魔王の討伐依頼……ではなくその隣の依頼に。
 そもそもこんな昔の古びた魔王の討伐依頼なんて今更誰が受けるんだと言うんだって話だが。
 そもそも受けられる難易度では無い訳だが。

 本題はその隣。



狩猟依頼

 “未確認魔獣” 警戒度2
   (報酬:銀貨十枚~)

・目撃地:
  地竜の森、内心部
・外見:
  狼型の魔物 体毛が白い 小型(幼体と思われる)
・詳細:
  知能が高く、魔法を使用する。
  魔法は氷属性である。
  この魔物が生成する魔法物質は法力伝達率が高く、持続性も優れている。
  群れで活動しない。
  何らかの回復スキルを所持している。
  捕獲、魔法物質の納品などで追加報酬。
  その他不明。

期間:無し
依頼:法術研究所

 時は少し遡る。



「何の誤用でしょうか?」
 受付嬢はいつもの様子で聞いてくる。
 この人は人柄も良いし美人で人気な女性だ。
 ただ、周りの視線が痛い。
 が、有能な人である事には変わりはない。
 こんな時はさっさと話を終わらせたい。

「特殊個体の魔獣を発見したからその事についてギルドマスター……ではなくてサブマスターと話がしたい。証拠品もあります。」
 それと同時にギルドカードも出す。
 ギルドマスターは変じn…特殊な人って聞いたことがある。
 確か、新人に異様に厳しいらしいし、犬猫が大嫌いだそうだ。
 この話をしたら面倒くさくなるのは目に見えている。
 ……数秒前の俺、グッジョブ。

「ははぁ……わかりました」
 彼女は半信半疑のようだが、つっぱねたりせずにきちんと手続きっぽい事をしている。
 カードをいつも使う受付用のよく分からない小さい機械に入れたり、他の従業員の人に話たり。
 でも時々こちらを見て来る。

 まあそうだよな。
 こんな下から数えた方が早いような新米の冒険家が特殊個体を見る事なんて滅多にないからそんな反応は分かる。
 だからって何だこいつ? って感じの目を向けて来るの?
 確かにこの人にはあまり話しかけたことが無かったけども。
 俺、変な事言ってた?
 
「ではあちらの席でお待ち下さい」

 あ……そう言えばサブマスとは言えどう考えても防具付けたままはダメだ。
 成る程。
 道理であんな態度だった訳だ。
 後ろから笑い声と拍手が聴こえる。
 うっせぇわ!
 真っ昼間から酒飲みやがって!
 あぁ……余計に視線が痛い。
 もはや突き刺さってるんじゃ無いかって思うくらい痛い。

 大人しく言われた席で防具を脱ぐ。
 安物だから下はほぼ私服なので助かった。
 早く良い防具が欲しいなぁ。
 きっとあと少しの辛抱だ。
 
 「イワンさーん」

 刺さる視線に耐えながらそんな事を考えているうちに呼び出された。
 そういえばサブマスターってどんな人だったっけ?

 多少傷付いているが、高級であろう扉を開ける。
 目の前にソファが机越しに向かい合わせになっている。
 要するに、応接室だ。
 その向かい側にサブマスが座っている。
 サブマスの身長は少し低いくらいで、薄桃の髪がくるくるとしている。
 噂ではこんな見た目で男なのだと言う。
 このままでは話が進まなさそうなので取り敢えず手前のソファに座る。
 やはり凄くふかふかだ。

「魔の森で特殊個体を発見したと言う事で宜しいですよね?」
 見た目通りの若々しい声で優しそうな印象だが、どこか淡々としている。
 声は女みたいってより男の子みたいな感じだ。

「はい。魔の森の中心部でビックボアに襲われている所に特殊個体と思われる狼に助けて貰いました出来ればその狼の保護をお願いしたい。」
 

「襲われたのでは無く助けて貰ったのですか?魔獣は人を優先して襲うはずなのですが 」
 サブマスが疑わしそうに見てくる。
 あれ? 今の一言だけで分かった。
 コイツ、優しくねえ。
 なんというかズバッとくる。

「何故かは分かりませんがそれでもあの狼は俺たちには全く殺気がありませんでした」
 あの時、あの狼は全然怖く無かった。
 今考えてみればきっと害意が無かったんじゃ無いかと思う。

「へぇ~。君って殺気なんて分かるんだ?」
 うぐっ!
 まあ確かにそうだけど。
 直感とういか……そんなこと言って信じてもらえる筈も無いのは火を見るより明らかだ。
 どうやったら信じて貰えるだろうか?
 仕方ない。最終兵器だ。

「でも、証拠は有りますよ。コレです」
 拾ったあの狼の使った魔法のかけらを出す。
 それを見て、サブマスは目の色を変えた。
 
「これは何ですか?」
 凄くそわそわした様子で聞いてくる。

「その狼が出した魔法の一部です」

「やはり魔法を使ったのですか!? 何色? 形は? 大きさは? 威力は?」
 え……?
 なんかいきなり態度変わったんですけど。
 あ……思い出した!
 この人、魔法大好きで有名なあの法術研究所の研究員だった!
 もう、だれが見ても明らかに興奮している。
 
「これは……伝導率が!適性も……いや、…………本部で調べれば……」
 やばい。
 一人でなんかぶつぶつ言い始めた。
 この人大丈夫?
 正直言って結構怖い。

「その魔法について!詳しく!話して下さい!」
 肩をガッと掴まれた。
 やばい。

 結局、知っている狼の情報を全て話し終えると直ぐにあのかけらを持ってすごい勢いでどこかへ行ってしまった。
 勢い良く扉が閉まり、この部屋に一人残された。
 あれ? 俺の方はまだ話が終わっていないのに……
 
 結局、苦笑している受付嬢に言われて帰路に着いた。
 あの人はちゃんと保護してくれるのだろうか……?
 あの様子じゃな……心配だ。

しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

修復スキルで無限魔法!?

lion
ファンタジー
死んで転生、よくある話。でももらったスキルがいまいち微妙……。それなら工夫してなんとかするしかないじゃない!

荷物持ちを追放したら、酷い目にあった件について。

しばたろう
ファンタジー
無能だと思い込み、荷物持ちのレンジャーを追放した戦士アレクス。 しかし―― 彼が切り捨てた仲間こそが、 実はパーティを陰で支えていたレアスキル持ちだった。 事実に気づいた時にはもう遅い。 道に迷い、魔獣に襲われ、些細な任務すらまともにこなせない。 “荷物持ちがいなくなった瞬間”から、 アレクスの日常は静かに崩壊していく。 短絡的な判断で、かけがえのない存在を手放した戦士。 そんな彼と再び肩を並べることになったのは―― 美しいのに中二が暴走する魔法使い ノー天気で鈍感な僧侶 そして天性の才を秘めた愛くるしい弟子レンジャー かつての仲間たちと共に、アレクスはもう一度歩き出す。 自らの愚かさと向き合い、後悔し、懺悔し、それでも進むために。 これは、 “間違いを犯した男が、仲間と共に再び立ち上がる” 再生の物語である。 《小説家になろうにも投稿しています》

帝国の王子は無能だからと追放されたので僕はチートスキル【建築】で勝手に最強の国を作る!

雪奈 水無月
ファンタジー
帝国の第二王子として生まれたノルは15才を迎えた時、この世界では必ず『ギフト授与式』を教会で受けなくてはいけない。 ギフトは神からの祝福で様々な能力を与えてくれる。 観衆や皇帝の父、母、兄が見守る中… ノルは祝福を受けるのだが…手にしたのはハズレと言われているギフト…【建築】だった。 それを見た皇帝は激怒してノルを国外追放処分してしまう。 帝国から南西の最果ての森林地帯をノルは仲間と共に開拓していく… さぁ〜て今日も一日、街作りの始まりだ!!

【完結】転生したら最強の魔法使いでした~元ブラック企業OLの異世界無双~

きゅちゃん
ファンタジー
過労死寸前のブラック企業OL・田中美咲(28歳)が、残業中に倒れて異世界に転生。転生先では「セリア・アルクライト」という名前で、なんと世界最強クラスの魔法使いとして生まれ変わる。 前世で我慢し続けた鬱憤を晴らすかのように、理不尽な権力者たちを魔法でバッサバッサと成敗し、困っている人々を助けていく。持ち前の社会人経験と常識、そして圧倒的な魔法力で、この世界の様々な問題を解決していく痛快ストーリー。

【完結】うさぎ転生 〜女子高生の私、交通事故で死んだと思ったら、気づけば現代ダンジョンの最弱モンスターに!?最強目指して生き延びる〜

旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
 女子高生の篠崎カレンは、交通事故に遭って命を落とした……はずが、目覚めるとそこはモンスターあふれる現代ダンジョン。しかも身体はウサギになっていた!  HPはわずか5、攻撃力もゼロに等しい「最弱モンスター」扱いの白うさぎ。それでもスライムやコボルトにおびえながら、なんとか生き延びる日々。唯一の救いは、ダンジョン特有の“スキル”を磨けば強くなれるということ。  跳躍蹴りでスライムを倒し、小動物の悲鳴でコボルトを怯ませ、少しずつ経験値を積んでいくうちに、カレンは手応えを感じ始める。 「このままじゃ終わらない。私、もっと強くなっていつか……」  最弱からの“首刈りウサギ”進化を目指して、ウサギの身体で奮闘するカレン。彼女はこの危険だらけのダンジョンで、生き延びるだけでなく“人間へ戻る術(すべ)”を探し当てられるのか? それとも新たなモンスターとしての道を歩むのか?最弱うさぎの成り上がりサバイバルが、いま幕を開ける!

ダンジョンを拾ったので、スキル〈ホームセンター〉で好き勝手リフォームします

ランド犬
ファンタジー
 異世界に転移した佐々木悠人は、召喚でも勇者でもなかった。ただ迷い込んだ先で見つけたのは、王都を望む郊外にひっそりと口を開けるダンジョン。足を踏み入れた瞬間、発動したスキルは ――〈ホームセンター〉 壁を張り替え、部屋を増やし、畑や牧場、カフェまで作れる不可思議な力だった。 気ままに始めたリフォームは、もふもふなネコミミ獣人の少女との出会いをきっかけに、思わぬ変化を呼び始める。 拡張され続けるダンジョンの先で、悠人が作り上げる“住める迷宮”とは――?

魔力0の貴族次男に転生しましたが、気功スキルで補った魔力で強い魔法を使い無双します

burazu
ファンタジー
事故で命を落とした青年はジュン・ラオールという貴族の次男として生まれ変わるが魔力0という鑑定を受け次男であるにもかかわらず継承権最下位へと降格してしまう。事実上継承権を失ったジュンは騎士団長メイルより剣の指導を受け、剣に気を込める気功スキルを学ぶ。 その気功スキルの才能が開花し、自然界より魔力を吸収し強力な魔法のような力を次から次へと使用し父達を驚愕させる。

魔法筆職人の俺が居なくなったら、お前ら魔法使えないけど良いんだよな?!

川井田ナツナ
ファンタジー
俺は慈悲深い人間だ。 だから、魔法の『ま』の字も理解していない住民たちに俺の作った魔法筆を使わせてあげていた。 だが、国の総意は『国家転覆罪で国外追放』だとよ。 馬鹿だとは思っていたが、俺の想像を絶する馬鹿だったとはな……。 俺が居なくなったら、お前ら魔法使えなくて生活困るだろうけど良いってことだよな??

処理中です...