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第1章
第1話この世界
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2XXX年の日本。文明が急速に発達したが、超効率化にともない「食べる文化」がほとんど失われた世界。
全ての栄養はカプセルや液体パックで摂取。料理という概念は「無駄・非効率・過去の贅沢」とされ、条例で禁止された地域もある。
そんな効率や合理性を求められる世界では、常に冷静でいることがいつも求められてきた。ノルマや社会のルールに追い詰められてきた人たちは、次々に心が、病んでいった。言い争いや些細な喧嘩から大きな殺傷事件に発展していくこともあった。そして、人々は「薬」で感情をコントロールする術を身につけた。
その薬は「メンタル・バランサー」と呼ばれ小さな粒状の錠剤である。朝に1錠飲むだけで、24時間のあいだ感情の大幅な起伏を抑える効果がある。最初は半信半疑だったが、その薬の効果が絶大であると瞬く間に広がり、多くの人が常用的に使うようになった。
薬が出始めの頃は、重度の精神疾患のある患者に投与され、家にこもるしか出来なかった人たちが一斉に外に出られるようになった。
気づけば、感情を抑える薬を飲んでいない方がおかしいと揶揄され始めるほどだった。
そして、都市部を中心に急速な広がりを見せていく。
だが、国内のなかで唯一薬の投与を拒絶してきた土地が東北にあった。その土地の多くは山々が広がり自然が豊かだとされていた。いまよりも遠い時代の「自然との共存」を生かした土地とされているーー
全ての栄養はカプセルや液体パックで摂取。料理という概念は「無駄・非効率・過去の贅沢」とされ、条例で禁止された地域もある。
そんな効率や合理性を求められる世界では、常に冷静でいることがいつも求められてきた。ノルマや社会のルールに追い詰められてきた人たちは、次々に心が、病んでいった。言い争いや些細な喧嘩から大きな殺傷事件に発展していくこともあった。そして、人々は「薬」で感情をコントロールする術を身につけた。
その薬は「メンタル・バランサー」と呼ばれ小さな粒状の錠剤である。朝に1錠飲むだけで、24時間のあいだ感情の大幅な起伏を抑える効果がある。最初は半信半疑だったが、その薬の効果が絶大であると瞬く間に広がり、多くの人が常用的に使うようになった。
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気づけば、感情を抑える薬を飲んでいない方がおかしいと揶揄され始めるほどだった。
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