おいしいを探して

しのへわかば

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第1章

第2話 日常

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颯太は自室の窓際にあるベッドの上でまどろみながら授業を受けていた。颯太は高校2年生の男子だ。

ひと昔前、あたりまえにあったとされる「学校」は、すべて廃校になり、建物はすべて壊された。

学校はなくなり、都市部の中心に「学問センター」が設立された。過去の話で伝わる小学校、中学、高校、大学の役割をすべて担っているとされる施設だ。

そこから支給されたタブレットで流れる録画された授業を聞くことが、颯太たちが受けるあたりまえの授業だった。

いまの世界が当たり前で生きている颯太にはいまいちピンときていなかった。

昔の人たちは、わざわざ「学校」に時間を使ってやってきて、遅くなるまで「授業」を受けていたという。

「友達や、いじめっ子」なんていう存在もいたらしい。泣いたり笑ったり恐れたり……なんて非効率的なんだろうか。すべて今流している授業の内容から知ったことだ。

そして最後はいつも「東北にある土地に気を付けろ」という言葉で締められる。

小さい頃から植えつけられる価値観だった。あからさまに「東北」という土地を差別している内容に、反対に颯太は興味が湧く。

「東北ねぇ、同じ日本なのにずいぶん違うんだな」

動画が終わり、今日の授業ノルマは達成した。颯太はベッドから起き上がる。時刻は午後0時だ。サプリの接種時間のため、ほとんど使うことのない勉強机の中の引き出しをあける。サプリの袋を開けて、1粒取り出して噛み砕く。サプリは変わらず無味無臭で、何の癖もない。ただガリガリとこめかみに響く無機質な音を聞いた。
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