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第三章 政争の導火線、監獄の鼓動
CHAPTER53『暴れ狼たちの前哨戦と静かなる船出』
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第二階層中央通路――
翌日、蒼海の解放軍、深海の狂気、そしてクロム、カイン、ゴルザが集合していた。
「……全員集まったな」
クロムが鋭く一同を見渡す。
「明日は、アビスロック兵団の初陣だ。作戦の最終確認と、連携の確認をするぞ」
その言葉に、場の空気が引き締まる。全員の視線が、自然とクロムに集中した。
「……とはいえ、俺たちの仕事は簡単だ」
クロムの声に熱がこもる。
「シャドウレギオン南部拠点の前線を――叩き潰す。それだけだ。とにかく全力で暴れ回れ!」
「フッ、単純な仕事だな」
イェーガーが腕を上げ、胸の前で右の拳を左の掌に叩き込む。
「おもしろそうじゃのう! とにかく暴れりゃあええんじゃのう!」
タイタンが笑いながら肩を鳴らす。
「……ああ、ちなみに陣形はこうだ」
クロムが地面に簡易的な図を描く。
「看守隊は中央。沈黙の牙隊は左翼。俺たち、狂気の解放軍は右翼から襲撃をかける」
「最前線は、バシリスク、タイタン、ゴルザの剛力系に任せる。まずは正面をぶち抜け」
「……血が滾るのお」
タイタンが獰猛な笑みを浮かべる。
「フン、チリも残らねえぜ」
バシリスクはニヤリと笑って爪を鳴らした。
クロムは視線を全員に巡らせた。
「それと……それぞれの特殊能力があれば、共有しておきたい。連携が命だからな」
「俺はこれだ」
ハンスが言い、腰に巻いたロープを片手で持ち上げる。
ロープが意志を持ったかのように、くねりながら空中に浮かぶ。
「このロープを操って、後方から敵の足を絡めたり、仲間を引き上げたりできる」
「……俺は毒の雨を降らせることができるぜ。フフフ」
包帯だらけのモルドが不気味な笑みを浮かべながら呟く。
「……その怪我は大丈夫か?」
クロムが眉をひそめて問う。
「もちろんだ」
モルドが肩をぐるりと回す。
「フッ、おまえは休んでろっつったのに……」
クラーケンが呆れたように溜息をついた。
「……俺はこれで偵察や索敵ができるよ」
バラストが静かに言い、肩口から細い触手を伸ばす。
触手はさらに枝分かれて分離し、器用に周囲の物を探るように動いた。
「ほぉ、ローレンスの野郎のヒトデみてえなもんか?」
バシリスクが目を細める。
「……いや、俺のは攻撃はできない。情報収集専門なんだ」
バラストは首を横に振る。
「……なるほどな、これは他の隊にも共有しておこうか」
クロムが感心し、小さく頷いた。
「俺はこれだ!」
レクスが勢いよく前に出たかと思うと、口を大きく開く。
直後、凄まじい閃光が部屋中を照らし出した。
「……! クッ、眩しいな」
カインが顔をしかめ、思わず目元を手で覆う。
クロムは目を細めながら、落ち着いた声で言った。
「……これは、ここのように薄暗い場面で使えば、かなり効果的だな」
「へへっ!」
レクスが得意げに鼻を鳴らし、胸を張る。
ジルも一歩前に出て、右腕をゆっくりと持ち上げた。
「俺はこれだよ」
ギリギリ……と重たい音を立てて、右手が鋼鉄へと変わっていく。
「それは……知っている」
クロムは目を細め、ふっと笑みを浮かべた。
「まともに喰らえば危なかったよ」
そう言って、ジルの鋼鉄の拳と自らの拳を静かに合わせた。
「……ほんとに鋼鉄だな」
カインが思わず呟き、感嘆の視線をジルの腕に向ける。
「……あとは、適当に武器を持ってきたんだが」
クロムが手をひと振りすると、背後からゴルザが無言で大きな袋を抱えて前に出てきた。袋の口をガバッと開けると、中には様々な武器が詰め込まれている。
「使えそうな物があれば、好きに持っていってくれ」
クラーケンは袋を覗き込み、無言で中を漁ったかと思うと、ロングソードを二本引き抜いた。
そして、にやりと口元を吊り上げる。
「……ちょうど二本、足らなくてなぁ」
その手にはすでに馴染んだかのように剣が収まり、六本の腕のうち二本に抜群のバランスで装備された。
「ほぅ……これはいいな」
イェーガーがひとつのサーベルを手に取り、鋭い刃を確かめるようにゆっくりと振った。
「俺はこれがしっくりきそうだな」
レクスは鎖部分が異様に長い鎖鎌を手に取り、小気味よくクルクルと空中で回してみせる。
バシリスクは迷いなく鉄の棍棒を引き抜き、手に馴染ませるように何度か構えを取った。
「フン、やっぱりこれが一番だぜ」
ヴォルグは手にしたダガーナイフの刃先をじっと見つめ、無言のまま腰の鞘に差し込んだ。
バラストは片手サイズの毒針を手に取り、軽く触手で撫でるように感触を確かめる。
「……なるほど、これは俺でも使えそうだ」
ラッカーは鉄杭を手に取り、ぐっと拳に握りしめる。
「……悪くねぇな」
モーリスは無骨なカイザーナックルを拾い上げると、拳にはめながらにやりと笑った。
「やっぱこれだな。鉄の拳ってのは、わかりやすくていい」
アルデンは袋の中から、無骨な片手ハンマーを見つけると、それを無造作に引き抜いた。
重みを確かめるように何度か振り、最後に片手で高く掲げながら口元を緩める。
「……おもしろそうだな」
バシリスクがふと視線をクロムに向けた。
「……ドロマは、どうなったんだ?」
クロムは頷き、すぐに答えた。
「ああ、ゼファーに確認した。明日の出発までには間に合わせるそうだ」
「フッ、そうか」
バシリスクはわずかに口角を上げ、不敵な笑みを浮かべた。
すると、ジルが興味深そうに前のめりになりながら尋ねた。
「なあ、俺たちが攻め込むアゼルファーン旧都って、どんな場所なんだ? 俺は北部出身だからよく知らないんだよ」
カインが一歩前に出て、落ち着いた口調で説明を始める。
「アゼルファーン旧都は、かつて栄華を誇った海洋文明の跡地だ。今は廃墟同然だが、聖堂や礼拝堂として使われていた石像建築が残っている。そこをシャドウレギオンが改装して拠点にしているらしい。密偵によれば、地下にも出入りする姿が目撃されている」
「へぇ……」
アルデンがハンマーを片手に軽く構え、ふっと笑った。
「そこにたどり着きゃあ、“蟲の王”とかいうクソ野郎が待ってるってわけか」
「ああ」
クロムが頷きながら答える。
「だが我々が前線で暴れ回っている隙に、霧の幻影隊が地下に潜り込んでゼルバ・フォーンを討つ手筈になってる」
バシリスクが低く唸るように名を呼んだ。
「……影虎か」
「霧の幻影隊はシェイドさんが隊長になってる。失敗はないとは思うが……ゼルバ・フォーンという男は謎が多い。油断はできない」
クロムの表情に、一瞬だけ不安の影が差した。
すると、タイタンが前のめりにずいっと出てきて、豪快に声を上げた。
「とにかくわしらがチャッチャと前線をぶち壊して、そいつんとこに向かやぁええんじゃろうが!」
その勢いに押されながらも、クロムは思わず笑い、肩をすくめた。
「……そうだな。頼んだぜ、みんな」
ジルが手を挙げながら叫んだ。
「クロム!俺たちに格闘術を教えてくれよ!」
クロムは軽く頷き、笑みを浮かべて応える。
「いいだろう。今日はまだ時間がある。俺に教えられることなら、全部叩き込んでやるさ」
ジル、バレル、ヴォルグ、そしてレクスが意気揚々とクロムの前に並ぶ。
「よろしく頼むぜ、隊長!」
一方、少し離れた場所で、アルデンがバシリスクに近づいていった。
「……俺はあんたと力比べしてみてえなぁ」
バシリスクの鋭い視線とがっぷり目を合わせる。
バシリスクは眉をひそめ、鼻を鳴らすように言い捨てた。
「……やめとけ。怪我するだけだ」
「そんなにヤワな野郎に見えるか?力試しさせてくれよ!」
アルデンがそう言い放った次の瞬間、鋭い飛び蹴りを繰り出した。
だが――
「……フン」
バシリスクは無駄な動き一つなく片手で蹴りを受け止め、反対の拳を振り抜く。
ドガッ!!
拳はアルデンの左胸に的確に命中した。
「ぐっ……フーッ、やっぱバケモンだな!」
痛みに顔をしかめながらも、アルデンは嬉しそうに笑う。
「これはどうだ!」
バシリスクとアルデンの本気ながらも加減の効いた、火花を散らすような戦いが始まった。
その騒ぎに興奮したのか、タイタンが腰を上げ、にやりと笑う。
「……わしも暴れたいのう……おっ、おまえはどうじゃ?」
視線の先には、ハンスがいた。
「……!? い、いや、俺は格闘はあんまり得意じゃないんだ」
ハンスは両手を振って後ずさる。
そこへ、クラーケンが一歩前へ出る。
「タイタン、俺が力試ししてやろうか?」
さらにラッカーも割って入る。
「俺もタイタンとやらせろ!」
タイタンは豪快に笑った。
「おもしれえのう!まとめてかかってこいやァ!!」
クラーケンとラッカーが一斉にタイタンへ突っ込む。
その賑やかな光景を少し離れた場所から見つめながら、イェーガーが隣に立つカインにぽつりと呟いた。
「……やれやれ、稽古なのか喧嘩なのか、わからねえな」
カインは小さく笑みを浮かべ、淡々と返す。
「戦う前に、仲間の力量を知っておくのは悪くないさ。たとえ……少し騒がしくても、な」
明日、アビスロック兵団は初の戦地へと向かう。
その前夜、狂気と解放が交わる地で、獣たちは静かに牙を研いでいた。
翌日、第二階層階段前広場
沈黙の牙、霧の幻影、深海の狂気、そして蒼海の解放軍の面々が、隊ごとに整列していた。
隊列の先――階段の前には、セドロスの姿がある。
「……全員、集まったようじゃな」
老将の低い声が響く。
「これより、アビスロック兵団の一員として――呪石の首飾りを一人ずつ装着してもらう。付け終えた者から、順に第一階層へ上がってもらう」
看守たちが動き出し、黒い箱から順に首飾りを取り出す。
「うっ……なんか怖いな、これ……急にギチッとか来ないだろうな……」
レクスが顔を引きつらせながら首元を差し出す。
「フッ、どんと構えとけ。腹括った奴のほうが楽に付けられるぜ」
バレルが笑って背を押す。
ジルは黙って首を差し出す。冷たい首飾りの感触が首筋に触れる。
「……これが“呪い”の首飾りか…恐ろしい物を考え出すな…早いとこ、これ無しで外に出られるようになりたいもんだな」
「わしらがシャドウレギオンを叩き潰しゃあ――すぐじゃろうが!」
タイタンが後方で豪快に笑う。
装着が進み、囚人たちが順に階段を登り始める。
一歩、また一歩――その足取りは、誰もが違った覚悟を滲ませていた。
第一階層階段前大広間――
階段の上部にある鉄扉がゆっくりと開かれ、薄明かりの差す空間へ、次々と囚人たちが姿を現した。
その顔には、長き牢獄生活では見られなかった、まばゆいものに触れた者の表情が浮かぶ。
「うお……!光だ!」
レクスが目を細めて立ち止まり、天井近くの小窓から差す光を見上げた。
「……これが、外の光か…」
ヴォルグが静かに呟き、どこか懐かしげに天を仰ぐ。
「ぬおっ、まぶしいのう!」
タイタンは目を覆いながらも、豪快に笑った。
「ハッハッハ!目が潰れそうじゃ!だが気持ちええわい!」
ジルは右手で呪石首飾りにそっと触れながら、目を細めて階段を踏みしめる。
「……この光の先に、俺たちの戦場がある!」
ぞろぞろと階段から現れる囚人たちの列が続く中――
第一階層の階層間リフトが静かに音を立てて上昇してきた。リフトの扉が開き、そこから姿を現したのは、長衣をたなびかせたセドロス。
彼は一歩ずつ、老体とは思えぬ凛とした足取りで大広間へと進み、全体を見渡すように顎を引いた。
最奥、ひときわ高く設えられた壇上。
その中央には、威厳を湛えたギルバートが立ち、両隣には副監獄長グレンダルと戦闘教官オルドが控えていた。
その姿はまさしく、これより外界へと打って出る“兵団”の背中を押す、統率者たちの構えであった。
壇上の中央に立つギルバートは、威風堂々とした姿勢で兵団を見渡した。
その鋭い眼差しには、決して囚人という色眼鏡はなかった。ただ、これから共に戦場を駆ける“戦士”としての敬意があった。
「よくぞ集まった、アビスロック兵団の諸君」
ギルバートの声が大広間に響く。
その一言で、ざわついていた空気がぴたりと静まり、全員の視線が壇上に向けられた。
「これより貴様らは、監獄の枠を越え、一個の兵として世に打って出る。敵は闇に潜む巨悪――シャドウレギオン。そしてその背後に控えるのは、バルデマーという亡国の毒だ」
グレンダルとオルドが無言でうなずく。ギルバートは言葉を続ける。
「我々の使命はただ一つ。そいつらを根こそぎ潰し、正義を地上に取り戻すことだ」
一瞬の沈黙を置き、ギルバートの声にさらに力がこもる。
「貴様らの力に、私は賭ける。貴様らの武勲に、私は大いに期待している。首に呪石を巻かれようと、お前たちが魂まで囚われているとは思っていない」
ギルバートは右手を拳にし、高く掲げた。
「見せてみろ。お前たちの――底力を!」
その言葉に、広間にいた囚人たちからどよめきが湧き起こった。たとえ“首輪付き”の兵団でも、今この瞬間、彼らの胸には確かに火が灯っていた。
そしてギルバートたちの背後――鋼鉄で封じられた巨大な扉が、重々しい音を立ててゆっくりと開かれた。
その先には、深海に通じる巨大な監獄港。
手前に停泊しているのは、全長百メートルを超える黒塗りの巨艦ドロモン船。紋章も国籍も見当たらず、まるでその正体を意図的に覆い隠しているようだった。
無印の艦体は、不気味な静けさの中に佇んでいた。
「……それでは、覚悟のできた者から――乗り込め!」
ギルバートが静かにそう告げると、囚人たちの表情に緊張が走った。
誰ともなく歩き出し、次第に流れとなって、ギルバートたちの横を通り過ぎながら船へと乗り込んでいく。
「……ドゥーム、頼むぞ」
ギルバートが小さく声をかける。
「フフフフ……汚ねぇ蟲ケラどもを弄んでやるとしよう」
ドゥームは唇を吊り上げ、不気味な笑みを浮かべた。
「ギルバート!俺たちは必ず――シャドウレギオンを打ち倒すぞ!」
ジルが鋭い目で振り返りながら叫ぶ。
「…貴様らの武運を祈ろう」
ギルバートは短く、それでも力強く応じた。
「バレル!シャドウレギオンをバチバチにシバいてこいよ~!」
オルドが笑いながら拳を回す。
「おう!もちろんだ!」
バレルは拳を突き上げて応え、仲間たちと共に乗船した。
やがて囚人たち全員が艦内に入り終えると、看守隊と隊長たちの姿が甲板に現れた。
その中心に立つのは、看守隊隊長――クラヴィス。
「……全員、配置につけ。出航するぞ!」
低く響くその声が、広がる緊張の幕を切り裂いた。
――ギィィィ……ガガガガガ……
監獄港の入口、深淵の錠前と呼ばれる巨大門が開き始める。
鉄と石が擦れ合う地鳴りのような音を立てながら、閉ざされた海路がゆっくりとその姿を現した。
黒き艦は、揺るがぬ意志を乗せて――静かに、しかし確かに進み出した。
監獄アビスロックを背にしながら。
その先にある、血と硝煙の戦場を目指して。
翌日、蒼海の解放軍、深海の狂気、そしてクロム、カイン、ゴルザが集合していた。
「……全員集まったな」
クロムが鋭く一同を見渡す。
「明日は、アビスロック兵団の初陣だ。作戦の最終確認と、連携の確認をするぞ」
その言葉に、場の空気が引き締まる。全員の視線が、自然とクロムに集中した。
「……とはいえ、俺たちの仕事は簡単だ」
クロムの声に熱がこもる。
「シャドウレギオン南部拠点の前線を――叩き潰す。それだけだ。とにかく全力で暴れ回れ!」
「フッ、単純な仕事だな」
イェーガーが腕を上げ、胸の前で右の拳を左の掌に叩き込む。
「おもしろそうじゃのう! とにかく暴れりゃあええんじゃのう!」
タイタンが笑いながら肩を鳴らす。
「……ああ、ちなみに陣形はこうだ」
クロムが地面に簡易的な図を描く。
「看守隊は中央。沈黙の牙隊は左翼。俺たち、狂気の解放軍は右翼から襲撃をかける」
「最前線は、バシリスク、タイタン、ゴルザの剛力系に任せる。まずは正面をぶち抜け」
「……血が滾るのお」
タイタンが獰猛な笑みを浮かべる。
「フン、チリも残らねえぜ」
バシリスクはニヤリと笑って爪を鳴らした。
クロムは視線を全員に巡らせた。
「それと……それぞれの特殊能力があれば、共有しておきたい。連携が命だからな」
「俺はこれだ」
ハンスが言い、腰に巻いたロープを片手で持ち上げる。
ロープが意志を持ったかのように、くねりながら空中に浮かぶ。
「このロープを操って、後方から敵の足を絡めたり、仲間を引き上げたりできる」
「……俺は毒の雨を降らせることができるぜ。フフフ」
包帯だらけのモルドが不気味な笑みを浮かべながら呟く。
「……その怪我は大丈夫か?」
クロムが眉をひそめて問う。
「もちろんだ」
モルドが肩をぐるりと回す。
「フッ、おまえは休んでろっつったのに……」
クラーケンが呆れたように溜息をついた。
「……俺はこれで偵察や索敵ができるよ」
バラストが静かに言い、肩口から細い触手を伸ばす。
触手はさらに枝分かれて分離し、器用に周囲の物を探るように動いた。
「ほぉ、ローレンスの野郎のヒトデみてえなもんか?」
バシリスクが目を細める。
「……いや、俺のは攻撃はできない。情報収集専門なんだ」
バラストは首を横に振る。
「……なるほどな、これは他の隊にも共有しておこうか」
クロムが感心し、小さく頷いた。
「俺はこれだ!」
レクスが勢いよく前に出たかと思うと、口を大きく開く。
直後、凄まじい閃光が部屋中を照らし出した。
「……! クッ、眩しいな」
カインが顔をしかめ、思わず目元を手で覆う。
クロムは目を細めながら、落ち着いた声で言った。
「……これは、ここのように薄暗い場面で使えば、かなり効果的だな」
「へへっ!」
レクスが得意げに鼻を鳴らし、胸を張る。
ジルも一歩前に出て、右腕をゆっくりと持ち上げた。
「俺はこれだよ」
ギリギリ……と重たい音を立てて、右手が鋼鉄へと変わっていく。
「それは……知っている」
クロムは目を細め、ふっと笑みを浮かべた。
「まともに喰らえば危なかったよ」
そう言って、ジルの鋼鉄の拳と自らの拳を静かに合わせた。
「……ほんとに鋼鉄だな」
カインが思わず呟き、感嘆の視線をジルの腕に向ける。
「……あとは、適当に武器を持ってきたんだが」
クロムが手をひと振りすると、背後からゴルザが無言で大きな袋を抱えて前に出てきた。袋の口をガバッと開けると、中には様々な武器が詰め込まれている。
「使えそうな物があれば、好きに持っていってくれ」
クラーケンは袋を覗き込み、無言で中を漁ったかと思うと、ロングソードを二本引き抜いた。
そして、にやりと口元を吊り上げる。
「……ちょうど二本、足らなくてなぁ」
その手にはすでに馴染んだかのように剣が収まり、六本の腕のうち二本に抜群のバランスで装備された。
「ほぅ……これはいいな」
イェーガーがひとつのサーベルを手に取り、鋭い刃を確かめるようにゆっくりと振った。
「俺はこれがしっくりきそうだな」
レクスは鎖部分が異様に長い鎖鎌を手に取り、小気味よくクルクルと空中で回してみせる。
バシリスクは迷いなく鉄の棍棒を引き抜き、手に馴染ませるように何度か構えを取った。
「フン、やっぱりこれが一番だぜ」
ヴォルグは手にしたダガーナイフの刃先をじっと見つめ、無言のまま腰の鞘に差し込んだ。
バラストは片手サイズの毒針を手に取り、軽く触手で撫でるように感触を確かめる。
「……なるほど、これは俺でも使えそうだ」
ラッカーは鉄杭を手に取り、ぐっと拳に握りしめる。
「……悪くねぇな」
モーリスは無骨なカイザーナックルを拾い上げると、拳にはめながらにやりと笑った。
「やっぱこれだな。鉄の拳ってのは、わかりやすくていい」
アルデンは袋の中から、無骨な片手ハンマーを見つけると、それを無造作に引き抜いた。
重みを確かめるように何度か振り、最後に片手で高く掲げながら口元を緩める。
「……おもしろそうだな」
バシリスクがふと視線をクロムに向けた。
「……ドロマは、どうなったんだ?」
クロムは頷き、すぐに答えた。
「ああ、ゼファーに確認した。明日の出発までには間に合わせるそうだ」
「フッ、そうか」
バシリスクはわずかに口角を上げ、不敵な笑みを浮かべた。
すると、ジルが興味深そうに前のめりになりながら尋ねた。
「なあ、俺たちが攻め込むアゼルファーン旧都って、どんな場所なんだ? 俺は北部出身だからよく知らないんだよ」
カインが一歩前に出て、落ち着いた口調で説明を始める。
「アゼルファーン旧都は、かつて栄華を誇った海洋文明の跡地だ。今は廃墟同然だが、聖堂や礼拝堂として使われていた石像建築が残っている。そこをシャドウレギオンが改装して拠点にしているらしい。密偵によれば、地下にも出入りする姿が目撃されている」
「へぇ……」
アルデンがハンマーを片手に軽く構え、ふっと笑った。
「そこにたどり着きゃあ、“蟲の王”とかいうクソ野郎が待ってるってわけか」
「ああ」
クロムが頷きながら答える。
「だが我々が前線で暴れ回っている隙に、霧の幻影隊が地下に潜り込んでゼルバ・フォーンを討つ手筈になってる」
バシリスクが低く唸るように名を呼んだ。
「……影虎か」
「霧の幻影隊はシェイドさんが隊長になってる。失敗はないとは思うが……ゼルバ・フォーンという男は謎が多い。油断はできない」
クロムの表情に、一瞬だけ不安の影が差した。
すると、タイタンが前のめりにずいっと出てきて、豪快に声を上げた。
「とにかくわしらがチャッチャと前線をぶち壊して、そいつんとこに向かやぁええんじゃろうが!」
その勢いに押されながらも、クロムは思わず笑い、肩をすくめた。
「……そうだな。頼んだぜ、みんな」
ジルが手を挙げながら叫んだ。
「クロム!俺たちに格闘術を教えてくれよ!」
クロムは軽く頷き、笑みを浮かべて応える。
「いいだろう。今日はまだ時間がある。俺に教えられることなら、全部叩き込んでやるさ」
ジル、バレル、ヴォルグ、そしてレクスが意気揚々とクロムの前に並ぶ。
「よろしく頼むぜ、隊長!」
一方、少し離れた場所で、アルデンがバシリスクに近づいていった。
「……俺はあんたと力比べしてみてえなぁ」
バシリスクの鋭い視線とがっぷり目を合わせる。
バシリスクは眉をひそめ、鼻を鳴らすように言い捨てた。
「……やめとけ。怪我するだけだ」
「そんなにヤワな野郎に見えるか?力試しさせてくれよ!」
アルデンがそう言い放った次の瞬間、鋭い飛び蹴りを繰り出した。
だが――
「……フン」
バシリスクは無駄な動き一つなく片手で蹴りを受け止め、反対の拳を振り抜く。
ドガッ!!
拳はアルデンの左胸に的確に命中した。
「ぐっ……フーッ、やっぱバケモンだな!」
痛みに顔をしかめながらも、アルデンは嬉しそうに笑う。
「これはどうだ!」
バシリスクとアルデンの本気ながらも加減の効いた、火花を散らすような戦いが始まった。
その騒ぎに興奮したのか、タイタンが腰を上げ、にやりと笑う。
「……わしも暴れたいのう……おっ、おまえはどうじゃ?」
視線の先には、ハンスがいた。
「……!? い、いや、俺は格闘はあんまり得意じゃないんだ」
ハンスは両手を振って後ずさる。
そこへ、クラーケンが一歩前へ出る。
「タイタン、俺が力試ししてやろうか?」
さらにラッカーも割って入る。
「俺もタイタンとやらせろ!」
タイタンは豪快に笑った。
「おもしれえのう!まとめてかかってこいやァ!!」
クラーケンとラッカーが一斉にタイタンへ突っ込む。
その賑やかな光景を少し離れた場所から見つめながら、イェーガーが隣に立つカインにぽつりと呟いた。
「……やれやれ、稽古なのか喧嘩なのか、わからねえな」
カインは小さく笑みを浮かべ、淡々と返す。
「戦う前に、仲間の力量を知っておくのは悪くないさ。たとえ……少し騒がしくても、な」
明日、アビスロック兵団は初の戦地へと向かう。
その前夜、狂気と解放が交わる地で、獣たちは静かに牙を研いでいた。
翌日、第二階層階段前広場
沈黙の牙、霧の幻影、深海の狂気、そして蒼海の解放軍の面々が、隊ごとに整列していた。
隊列の先――階段の前には、セドロスの姿がある。
「……全員、集まったようじゃな」
老将の低い声が響く。
「これより、アビスロック兵団の一員として――呪石の首飾りを一人ずつ装着してもらう。付け終えた者から、順に第一階層へ上がってもらう」
看守たちが動き出し、黒い箱から順に首飾りを取り出す。
「うっ……なんか怖いな、これ……急にギチッとか来ないだろうな……」
レクスが顔を引きつらせながら首元を差し出す。
「フッ、どんと構えとけ。腹括った奴のほうが楽に付けられるぜ」
バレルが笑って背を押す。
ジルは黙って首を差し出す。冷たい首飾りの感触が首筋に触れる。
「……これが“呪い”の首飾りか…恐ろしい物を考え出すな…早いとこ、これ無しで外に出られるようになりたいもんだな」
「わしらがシャドウレギオンを叩き潰しゃあ――すぐじゃろうが!」
タイタンが後方で豪快に笑う。
装着が進み、囚人たちが順に階段を登り始める。
一歩、また一歩――その足取りは、誰もが違った覚悟を滲ませていた。
第一階層階段前大広間――
階段の上部にある鉄扉がゆっくりと開かれ、薄明かりの差す空間へ、次々と囚人たちが姿を現した。
その顔には、長き牢獄生活では見られなかった、まばゆいものに触れた者の表情が浮かぶ。
「うお……!光だ!」
レクスが目を細めて立ち止まり、天井近くの小窓から差す光を見上げた。
「……これが、外の光か…」
ヴォルグが静かに呟き、どこか懐かしげに天を仰ぐ。
「ぬおっ、まぶしいのう!」
タイタンは目を覆いながらも、豪快に笑った。
「ハッハッハ!目が潰れそうじゃ!だが気持ちええわい!」
ジルは右手で呪石首飾りにそっと触れながら、目を細めて階段を踏みしめる。
「……この光の先に、俺たちの戦場がある!」
ぞろぞろと階段から現れる囚人たちの列が続く中――
第一階層の階層間リフトが静かに音を立てて上昇してきた。リフトの扉が開き、そこから姿を現したのは、長衣をたなびかせたセドロス。
彼は一歩ずつ、老体とは思えぬ凛とした足取りで大広間へと進み、全体を見渡すように顎を引いた。
最奥、ひときわ高く設えられた壇上。
その中央には、威厳を湛えたギルバートが立ち、両隣には副監獄長グレンダルと戦闘教官オルドが控えていた。
その姿はまさしく、これより外界へと打って出る“兵団”の背中を押す、統率者たちの構えであった。
壇上の中央に立つギルバートは、威風堂々とした姿勢で兵団を見渡した。
その鋭い眼差しには、決して囚人という色眼鏡はなかった。ただ、これから共に戦場を駆ける“戦士”としての敬意があった。
「よくぞ集まった、アビスロック兵団の諸君」
ギルバートの声が大広間に響く。
その一言で、ざわついていた空気がぴたりと静まり、全員の視線が壇上に向けられた。
「これより貴様らは、監獄の枠を越え、一個の兵として世に打って出る。敵は闇に潜む巨悪――シャドウレギオン。そしてその背後に控えるのは、バルデマーという亡国の毒だ」
グレンダルとオルドが無言でうなずく。ギルバートは言葉を続ける。
「我々の使命はただ一つ。そいつらを根こそぎ潰し、正義を地上に取り戻すことだ」
一瞬の沈黙を置き、ギルバートの声にさらに力がこもる。
「貴様らの力に、私は賭ける。貴様らの武勲に、私は大いに期待している。首に呪石を巻かれようと、お前たちが魂まで囚われているとは思っていない」
ギルバートは右手を拳にし、高く掲げた。
「見せてみろ。お前たちの――底力を!」
その言葉に、広間にいた囚人たちからどよめきが湧き起こった。たとえ“首輪付き”の兵団でも、今この瞬間、彼らの胸には確かに火が灯っていた。
そしてギルバートたちの背後――鋼鉄で封じられた巨大な扉が、重々しい音を立ててゆっくりと開かれた。
その先には、深海に通じる巨大な監獄港。
手前に停泊しているのは、全長百メートルを超える黒塗りの巨艦ドロモン船。紋章も国籍も見当たらず、まるでその正体を意図的に覆い隠しているようだった。
無印の艦体は、不気味な静けさの中に佇んでいた。
「……それでは、覚悟のできた者から――乗り込め!」
ギルバートが静かにそう告げると、囚人たちの表情に緊張が走った。
誰ともなく歩き出し、次第に流れとなって、ギルバートたちの横を通り過ぎながら船へと乗り込んでいく。
「……ドゥーム、頼むぞ」
ギルバートが小さく声をかける。
「フフフフ……汚ねぇ蟲ケラどもを弄んでやるとしよう」
ドゥームは唇を吊り上げ、不気味な笑みを浮かべた。
「ギルバート!俺たちは必ず――シャドウレギオンを打ち倒すぞ!」
ジルが鋭い目で振り返りながら叫ぶ。
「…貴様らの武運を祈ろう」
ギルバートは短く、それでも力強く応じた。
「バレル!シャドウレギオンをバチバチにシバいてこいよ~!」
オルドが笑いながら拳を回す。
「おう!もちろんだ!」
バレルは拳を突き上げて応え、仲間たちと共に乗船した。
やがて囚人たち全員が艦内に入り終えると、看守隊と隊長たちの姿が甲板に現れた。
その中心に立つのは、看守隊隊長――クラヴィス。
「……全員、配置につけ。出航するぞ!」
低く響くその声が、広がる緊張の幕を切り裂いた。
――ギィィィ……ガガガガガ……
監獄港の入口、深淵の錠前と呼ばれる巨大門が開き始める。
鉄と石が擦れ合う地鳴りのような音を立てながら、閉ざされた海路がゆっくりとその姿を現した。
黒き艦は、揺るがぬ意志を乗せて――静かに、しかし確かに進み出した。
監獄アビスロックを背にしながら。
その先にある、血と硝煙の戦場を目指して。
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