『半魚囚人ジル』 深海監獄アビスロックからの脱出

アオミ レイ

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第一章 監獄に吹く新たな風

CHAPTER1 『深海の檻』

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深海監獄アビスロック──そこは、この世で最も凶悪な魚人囚人たちが収監される、絶望に満ちた牢獄だった。
ジルが踏み入れた 第二階層 は、看守の監視がほとんど及ばず、囚人たちが好き勝手に暴れ回る無法地帯と化していた。ここではただ一つのルールしか存在しない。
「強者こそが生き残る」

力なき者は蹂躙され、敗者は容赦なく喰われる。そんな狂気の世界の中、囚人たちはそれぞれの生存戦略として三つの大きな派閥に分かれていた。

第二階層の三大派閥
『沈黙の牙(サイレントファング)』
看守たちと裏取引をし、監獄内で特権を握る組織。表向きは秩序を保つように振る舞うが、実際には陰で暗殺や拷問を行い、徹底的に支配を強めている。



『霧の幻影(ネブローミラージュ)』
監獄内のあらゆる情報を掌握し、暗殺・潜入工作を得意とする謎の多い派閥。彼らは決して正面から戦うことはなく、敵を密かに排除し、影から支配する。



『深海の狂気(ディープマッド)』
ただ純粋に破壊と殺戮を楽しむ危険な集団。理性の欠片すらない連中が集まり、手当たり次第に暴れ回る。戦うことそのものが目的であり、常に血に飢えている。



この三大派閥が勢力争いを繰り広げる中、新入りの囚人たちは、どこかの派閥に属さなければ長くは生き残れないと言われていた。
だが、ジルは派閥に属する気はなかった。誰の命令も受けず、誰にも縛られず――この監獄で、自分の意志だけで生きると決めていた。

──どこにも属さない者は、監獄内で最も生存率が低い。

それを知ってなお、ジルはただ前を向いた。
「俺は――この地獄を自分のやり方で脱出してみせる」


暴力の洗礼

第二階層へ続く巨大な鋼鉄の門が開く。ジルと共に送り込まれた新入りの囚人たちは、おそるおそる中へ足を踏み入れた。
薄暗いランプの光が揺らめき、囚人たちの不気味な笑い声と罵声が飛び交う。そこかしこで暴力が渦巻き、負傷した囚人がうめき声を上げながら倒れている。

「ケヒヒヒ……新入りはまず血の洗礼を浴びるのが、この監獄のルールだぜぇ!」
突然、背後の闇から凶悪な声が響いた。ジルが振り向いた瞬間、ウツボ魚人のロークスが新入りの囚人に襲いかかった。

【キャラクター紹介:ロークス】
種族:ウツボ魚人
所属:深海の狂気(ディープマッド)の幹部
性格:狂気に支配され、理由もなく他人を襲う残忍な性格
能力:異常な柔軟性と高速攻撃、鋭い牙を武器にした戦闘スタイル


「グワアァァァッ!」

ジルの後ろを歩いていた囚人は悲鳴を上げ、そのまま床に崩れ落ちた。鮮血が広がる中、ロークスは狂ったように笑いながらジルに牙を向ける。
「次はテメェの番だぜぇ!」

ジルはロークスの突進を紙一重でかわすと、すかさず懐に踏み込んだ。
左肩に鋭い爪がかすり、血が滲む――だが構わず、右足を振り抜く。

ドガッ!

渾身の蹴りがロークスの腹を捉え、野太い呻き声が響く。
岩壁へ吹き飛ばされたロークスは、砂煙の中からゆらりと立ち上がる。
血まみれの顔に、狂気に満ちた笑みを浮かべた。
「ケケケ……やるじゃねぇか……楽しいぜ、新入り!」

その騒ぎを聞きつけ、周囲に囚人たちが集まり始めた。獣のような眼でジルを睨みながら、口々に嘲笑を浴びせる。
「新入りをぶっ潰せ!」
「こいつをなぶり殺しにしちまおうぜ!」

すでに他の新人たちは我先に逃げ出していた。残されたジルは、囚人たちにぐるりと囲まれている。
獰猛な敵意がひしめいている。
一人が動けば、一斉に群がってくる――そんな空気が肌を刺す。

(……クソ、数が多すぎる)
拳を握りしめ、迎え撃つ構えを取るが、明らかに分が悪い。このままでは袋叩きにされるのは時間の問題だった。


しかし次の瞬間、豪快な笑い声とともに、一人のロブスター魚人が乱入した。
「おいおい、多勢に無勢ってのは感心しねぇな!」

その男は、両腕の巨大なハサミを左右に振るい、ジルに襲いかかる囚人たちをまとめて吹き飛ばしていく。

ゴギャッ! バキンッ!

骨の折れる音と悲鳴が入り交じり、数人が宙を舞って地面に叩きつけられた。

囚人たちはその異様なパワーと存在感に思わず怯み、足を止めた。

【キャラクター紹介:バレル】
種族:ロブスター魚人
性格:陽気で豪快、面倒見の良い兄貴肌。
能力:強靭な甲殻と巨大なハサミを使った攻防一体の戦闘力
備考:かつて監獄の看守だったが、その事実を隠している。


ロークスが怒声を張り上げる。
「テメェら、怯んでんじゃねえ!死んでもコイツらを叩き潰せッ!」

その一喝で、荒くれどもが再び咆哮を上げながら突撃してくる。
鋭い鉈を振り下ろす者、鉄パイプを構える者――群れは狂気に駆られた獣のように、ジルとバレルへと殺到した。

「来るぞ!」
ジルが低く声を飛ばし、拳を握り締める。足を踏み込んで重心を下げ、その拳を正面から突き出した。

ドガッ!

ごつい男の顔面に炸裂し、鈍い音とともに吹き飛ばす。後続の囚人もその勢いに巻き込まれ、崩れるように倒れた。

「どけぇッ!」
バレルは両手の巨大なハサミを振るい、襲いかかる敵をまとめて薙ぎ払う。
甲高い金属音と悲鳴が交錯し、数人が弾き飛ばされ、鉄柵や壁に叩きつけられた。

一瞬で状況は逆転し、血気盛んな囚人たちも足を止めた。

ロークスは舌打ちをし、踵を返す。
「やってくれるじゃねえか、調子に乗っていられるのも今のうちだぜ……へへへ…帰るぞ」
仲間を促して足早に通路の奥へと消えていった。


バレルはジルに向き直り、不敵に笑った。
「…ふう、新入りにしては、やるじゃねぇか」

ジルは息を整えながら、目を細めて答える。
「……借りができたな。助かったよ」


バレルは片眉を上げ、ニヤリと笑った。
「へっ、気にすんな……で、どっかの派閥に入る気はあるのか?」

ジルは小さく息をつき、ゆっくりと口を開いた。
「派閥?……興味がないね」


バレルは肩の力を抜き、軽く肩をすくめた。
「俺もだ。派閥なんざ、結局は看守の都合に合わせた道具だ。そんなくだらねぇ枠組みじゃなく、もっと自由な生き方をしたいと思わねぇか?」

ジルは一瞬だけ目を伏せ、すぐに顔を上げた。
「……フッ、俺はただ、自分の腕だけでこの監獄を抜け出すつもりだよ」


バレルはジルをじろりと見て、ニヤリと笑った。
「……監獄を抜け出す、ねぇ。口にするヤツは多いが、本気で言えるヤツはほとんどいねぇ」

バレルはジルに目を向け、声のトーンを少し落とす。
「とはいえ……いきなり脱獄なんてのは夢物語だ。まずは、この地獄で生き抜く術を身につけなきゃなんねぇ」


そして、ほんの一瞬、笑みを浮かべた。
「あんな状況で、決して折れない目をして怯むことなく立ち向かってた……普通のヤツなら、腰抜かしてさっさと逃げ出してるぜ。
だけどオマエは、この地獄でも自分の意志で立ってた……そんな目をしたヤツを、ずっと待ってたんだ」


一拍置いて、バレルは大きなハサミをぐっと掲げる。
「どうだ? 俺たちで同盟を組まねえか?」

ジルは目を細めた。
その瞳はどこまでも静かで、だが確かな熱を秘めていた。
「目的が同じなら……力を合わせるのも悪くないな」


バレルは笑いながらジルの横に並んだ。
「お互い、派閥には馴染めねぇタイプだろ?」

ジルもわずかに口元を緩め、薄く笑った。
「まあな……自由にやる方が性に合ってる」

バレルは続ける。
「だがよ、このまま“ただの無所属”でいると、いずれ潰されるだけだぜ」


ジルは眉をひそめ、バレルを見返した。その瞳には警戒と、わずかな苛立ちが浮かぶ。
「……俺は仲良しごっこがしたいわけじゃないぜ」

「俺だってそうだ」
バレルはふっと肩をすくめ、背後の鉄格子越しにうっすら響く囚人たちの怒声に目をやった。
「だが“連中”は、そういう孤独な奴から狙ってくる。この監獄じゃ、“ひとり”は弱さだ」


ジルは視線を逸らし、無言で壁にもたれかかった。
「……自分の力だけで足りるとも思っていない」

「なら話が早ぇ。互いに背中を預けるくらいはしてもいいだろ?」

ジルはしばらく沈黙した。
その間にも、どこかで鉄の扉が軋む音が響く。


やがて、彼は静かにバレルを見て、わずかにうなずいた。
「お前の腹に裏がないならな」

「俺の腹の中は空っぽだぜ。あるのは、怒りと未練だけだ」
バレルは自嘲気味に笑う。

ジルがふっと鼻で笑った。
その顔には、わずかに緊張が解けた気配があった。
「……いいさ。“共闘”とやらを試してみよう」

その言葉に、バレルのハサミが小さく音を立てた。


そして、ふとジルを見やってニヤリと笑う。
「そういや、お互い名前も知らねぇよな」

ジルは少しだけ目を細めると、静かに名を告げた
「ジル・レイヴンだ」

「ジル、ね。いい名前だ。俺はバレル。ロブスター魚人って呼ばれても悪くねぇが、名前で呼んでくれ」

無所属の二人の囚人――監獄の底で、生き抜くための小さな“火種”が、いま静かに灯った。


バレルは腕を組み、口元を少しだけ緩めた。
「ま、こうして名乗り合ったんだ。だったら、俺たちの同盟の呼び名も……欲しくなるだろ?」

「……俺たちの看板か」
ジルが目を伏せ、少しの間黙ってから顔を上げる。

「かつて……俺はブルータイドって組織にいた。弱き者の自由のために立ち上がった集団だったが、政府の手で壊滅した」

彼の声に、静かな怒りと悔しさが滲んでいた。
「……だが、あの連中の意志は、俺の中でまだ生きてる。あいつらの夢を、ここから繋げてみたいんだ」

少しだけ目を細めて、ジルは続けた。
「“蒼海の解放軍(ブルータイドリベレーションズ)”……そう名乗るのは、どうだ?」


バレルは拳を軽く打ち合わせたあと、にやりと笑ってジルに言った。
「決まりだな、相棒……で、リーダーはお前な」

ジルは少しだけ眉をひそめる。
「…勝手に決めるな」

バレルは肩をすくめ、笑いながら言った。
「看板を決めたのはお前だろ?名前には責任がつきまとうもんさ。……それに、お前のほうがまともだ。俺はごちゃごちゃ考えるの苦手なんでね」

ジルは小さくため息をつくと、肩をすくめた。
「……仕方ないな」

バレルは満足げに笑いながら、ハサミを鳴らした。
「決まりだ、舵取りよろしくな!」


軽口を残してバレルがどこかへ去っていくと、ジルはひとり、錆びた柵のそばに腰を下ろした。


喧騒の去った通路に、潮のような静寂が満ちる。
どこか遠くで響く水の滴る音。
重く冷たい空気のなかで、ふと――海の匂いが脳裏をよぎる。
 
それはまだ、“希望”という言葉を信じていた頃の記憶だった。




かつて誓いあった蒼の旗のもとで

 
蒼く広がる海、陽光に煌めく帆。
青い潮と白い翼を描いた旗が、風をはらんでいた。
反体制組織――ブルータイドの象徴。

 
ジルはその中でも、精鋭で編成された少数部隊――“特別遊撃部隊”として任務に就いていた。

急襲、撹乱、救出、密航――
“動ける者”だけが任される、最も危険な現場。

 
「はは、また体鍛えてんのか? ジル、おまえの拳で甲板割れるぞ」
陽気に笑いながら声をかけてきたのは、大斧使いのデラン。
喧嘩っ早くて不器用なやつだったが、誰より仲間を守ろうとする男だった。


「昨日の風は逆だった。補給船のルート、今夜は変えるべきだ」
そう告げたのは、航路分析のプロフェッショナル――フィノア。
静かで無表情。だが、嵐の夜でも彼の判断は絶対だった。


「俺が組んだ作戦で死人が出たら、統計が汚れる。……頼むから生きてくれよ、ジル」
皮肉をまぶした声で笑っていたのは、作戦士官のスレイド。
皮肉屋で現実主義者。でも、誰よりも“帰還率”にこだわっていた。


くだらない冗談を飛ばし合いながらも、
いざ戦場に出れば、背中を預けられる仲間たちだった。

作戦のたびに誰かが傷を負い、
それでも笑って立ち上がる、そんな日々の中で――
ジルは本気で信じていた。
「この旗は、いつか海を変える」と。

 
だがその旗は、政府の罠によって焼き落とされた。

密告。裏切り。爆破。
気づけば、あの船も、あの声も、もうなかった。
 
「……すまない」
言葉は柵に沈み、誰にも届かない。
だが、あの声は今も、風のように胸に響いている。

 
「……俺が繋ぐ。誰もいないなら、俺が立つよ」
ジルは静かに立ち上がる。
この牢獄がどれほどの地獄であろうと、かつての誓いは、今も血の奥で燃えている。
 
ブルータイドの旗は、まだ終わっていない。
そしてその青は、必ず――次の風を呼ぶ。


――誰の声かもわからない怒号に、ジルはふと我に返った。
目の前には錆びた鉄の格子と、薄汚れた石壁。
もうあの海はない。あの仲間たちも、ここにはいない。

それでも――
心の奥には、今も確かに、青い旗の熱が燃えていた。

 
「……舵取り、か」
ジルはぼそりと呟き、口元にわずかな笑みを浮かべる。

ブルータイドリベレーションズ。
その名に込めた願いと、仲間たちとの誓いを――
この監獄の底から、再び世界へ届けるために。
 
「……もう十分だ。過去にすがるのは、ここまでにしよう……ここから必ず、生きて抜け出す!仲間と掲げた“自由への意志”を、もう一度この世界に示すために」


 
こうして『蒼海の解放軍 ブルータイドリベレーションズ』が結成された。
それは、ただの名乗りではなかった。
深海にうごめく闇を裂き、
監獄という名の巨大な獣に、反旗を掲げる狼煙だった。
アビスロックを覆う静寂は、確かに“嵐”の胎動をはらみ始めていた。

そして今――
苛烈な戦いの火蓋が切って落とされようとしていた。


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