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固い握手
しおりを挟む「まあ、とにかく。そういうことなら、君は僕らと同じな訳だ。歓迎するよ。僕は、田中慎二。皆からはしんさんと呼ばれてる。まあ、呼び方は何でも好きにしてもらって構わないよ。よろしく。 」
そう言っておじさんは手を差し出してきた。
「清水陽菜と言います。こちらこそよろしくお願いします。しんさん。」
私は、その手を両手で受け取った。
おじさんの強く握るその手は、妙に優しかった。
固い握手。
数秒、いや、それ以上。
手汗が滲んできた頃、
ようやくしんさんは私を中へと案内してくれた。
ワックスがけされた木目調のフロアが、白い水銀蛍光灯の光を淡く反射している。
部屋に入ると、白い長方形のテーブルが環状線のように置かれていた。
「あの子も最近入ってきたんだよ。まあ、君とは違ってちゃんと紹介だけどね。」
そうやってしんさんは、口元にピアスを開けた金髪の女の子を指さす。
ドアから見た時は分からなかったが、私と同年代らしき3人のグループが、部屋の角に集まっていた。
「ねえ、」
金髪の女の子が近づいてくる。
「しんさんが連れて来たみたいだけど...君も紹介?」
彼女は黒ジーンズを握りしめ、私を見上げた。
「いや、私は...たまたま来ちゃって。」
どう説明すれば良いのかわからず、言い淀む。
「え?たまたま?」
彼女はこちらを睨みつける。
「あんた、本気で言ってんの?」
彼女を満足させる答えを、私は持っていない。
口から言葉にならない音を垂れ流す。
やがて彼女は突き放すように後ずさり、ボソッと呟いた。
「そんな訳あるか。」
「ここは秘密の場所なんだから。」
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