蘇るなかれ

かきたね

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蘇遺会

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「秘密の場所?」

ここには微妙に噛み合わない表現に感じられて、聞き返す。

「そうだよ。なんであんたは紹介も無くここに来れたんだよ」


電撃戦のような詰問。
そこに、しんさんが割って入った。

「まあまあ、凛ちゃん、落ち着いて。僕が大丈夫だと思ったから入れたんだよ。」

彼女の目には未だ私が映っている。

「冗談でしょ?なんでこんなぽっと出のやつが...」

突如、彼女の肩が握られた。
「おい、静かにしろ。あっち。」
振り向くと、皆、こちらを見ている

「後で説明するから。ね?」
そうやってしんさんは彼女を連れていった。

 


「す、すみません。私が急に来たから」
「いやいや、お前のせいじゃないよ。佐藤はいつもああなんだ。なんかあったらすーぐ噛み付く。まだ犬の方がおとなしい。」
彼...先程止めに入ってくれた男子が笑う。
グレーのパーカーをフードごと被っていた。

「あはは...」

言葉に困っていると、もう1人の女の子もやってきた。
「まあ、せっかく貴重な若者同士なんだし、仲良くしようよ。名前なんて言うの?」

そう話しかけてきた彼女。
言葉にはどこか影が混じっていた。


「清水。清水陽菜です。そっちは?」

「俺は津田大雅。」

「私は神田明日香。よろしくね。」

「よろしくお願いします。」

「ねえ、全然タメ語でいいよ?敬語使われるとなんかムズムズしちゃう。」

彼もそうだと言うかのように頷く。

「じゃあ...タメ語で。」

とは言っても、私はいいよと言われてはい分かりましたとなれる人種ではない。

「もう、固いなあ。下の名前で呼ぼう。陽菜ちゃんね」

「じゃあ...明日香ちゃんと大雅くんって呼んでもいいですか?」

2人とも、相槌をうっているので、肯定と受け取った。

「でさ、陽菜ちゃん。誰からも紹介されてないって言ってたじゃん?」

「はい」

「じゃあどうやってここ知ったのかなって気になっちゃって。」

明日香が首を傾げる。その瞳の奥には、好奇心とは別の、もっと濁った何かが張り付いているように見えた。

「えっと、メモを見つけて...」

2人に、しんさんに話したものと同じ内容を話した。

「じゃあ、完全にたまたまってこと?」

「そう...なるんですかね?」

「そんなこともあるんだな。まあ、悪い奴じゃ無さそうだし、俺はいいけど。」

まるで昼食を決める時のような雰囲気だ。

「別に決めるのはしんさんだからね。私たちは適当にやるだけだし」

「でも、しんさんはなんで私を入れたんだろう?自分で言うのもなんだけど、明らかに怪しいのに。」

「まあ、しんさんだし。あの人、面白いこと大好きだから。」

そういう大雅は、金髪の女の子...佐藤と呼ばれていた女の子を見つめていた。
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