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再定義
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帰路に着く。
あのメモ。
蘇遺会の誰かが日付を忘れまいと取った物だろうと、そう思っていた。万年筆を使う奇特な人が、と。
だけど、どうやらそうでは無いらしい。
しんさん...が嘘をつく理由も無いだろう。
それに、あの写真を見せた時の反応も引っかかる。
知っているならあんな反応になるだろうか。
...結局、何も分からない。
時計の頭を叩き、カーテンを開く。
曲がりなりにも蘇遺会がどんな所か分かったからだろうか、昨夜は久しぶりに良く眠れた。
スマホを開く。最近は起きてすぐスマホがルーティンになりつつある。やめたい。
通知バナーは、2件の新着メールを知らせていた。
表はしんさんからだ。
生体認証を抜け、メールを開いた。
ーーー
差出人: ShinziTanaka0928@tutable.com
件名: しんさんです
おはよう陽菜ちゃん。
昨日は来てくれてありがとうね。
昨日も言ったけど、次は2週間後です。
何かあったらいつでも連絡してくれていいからね。
次も待ってます。
田中慎二より
ーーー
...やけにカラフルなメールだ。
おじさん構文。
聞いたことはあったけど実物を見るのは初めてだ。
気持ち悪く口角が上がった。
「ありがとうございます。次回もよろしくお願いします。」
我ながら、当たり障りのない凡庸なメールだ。
一覧に戻り、もうひとつのメールも開く。
ーーー
差出人: v7k2m@temporarymail.net
件名:
本文:
「B408 CLRV概論」
ーーー
...それだけ。
差出人は明らかな捨てアドだ。
しんさん?いや、それならわざわざアドレスを変える意味が...
けど、このメールアドレスはサブの方。
教えたことがあるのは、行政手続きと大企業のキャンペーン応募、そしてしんさんくらい。
他に誰かに教えたりはしてないはず。
それに、この本文。
見覚えがある。
見覚えしかない。
あの本だ。
キャンパスについた。
今日はあの日とは打って変わって乾いた熱気が容赦なく汗を飛ばしてくる。
自動ドアを通り館内へ。
他のことはどうでもいい。
B408。
B408は確かにあった。
...こんな嫌な思いをしたのはあの声を聞いた時以来だ。
B408
「万年筆を大切にしよう!万年筆取扱説明書」
専用PCへ駆け込む。
キーに照準を合わせ「CLRV概論」と打ち込み、Enterを叩く。
ーーー
検索エラー。担当者にご伝達ください。
ーーー
...信じられない。
あの時検索した時は確かに「CLRV概論」と出てきた。
それに、エラーだ。0件じゃない。
ぱっと振り返る。
いるのは勉強中の学生だけ。こっちなんか見てない。
...ストーカー被害者というのはこんな気持ちなのだろう。
B408の場所へ戻り、本を手に取る。
以前とは異なり、本の内容は知っている事ばかりだ。
お願い、偶然であってほしい。
そんな有り得ない願い事はすぐに打ち砕かれた。
本から、1枚の"薄っぺらい紙"が滑り落ちる。
ーーー
昨晩、いい顔をしてましたよ。あなた。
ーーー
あのメモ。
蘇遺会の誰かが日付を忘れまいと取った物だろうと、そう思っていた。万年筆を使う奇特な人が、と。
だけど、どうやらそうでは無いらしい。
しんさん...が嘘をつく理由も無いだろう。
それに、あの写真を見せた時の反応も引っかかる。
知っているならあんな反応になるだろうか。
...結局、何も分からない。
時計の頭を叩き、カーテンを開く。
曲がりなりにも蘇遺会がどんな所か分かったからだろうか、昨夜は久しぶりに良く眠れた。
スマホを開く。最近は起きてすぐスマホがルーティンになりつつある。やめたい。
通知バナーは、2件の新着メールを知らせていた。
表はしんさんからだ。
生体認証を抜け、メールを開いた。
ーーー
差出人: ShinziTanaka0928@tutable.com
件名: しんさんです
おはよう陽菜ちゃん。
昨日は来てくれてありがとうね。
昨日も言ったけど、次は2週間後です。
何かあったらいつでも連絡してくれていいからね。
次も待ってます。
田中慎二より
ーーー
...やけにカラフルなメールだ。
おじさん構文。
聞いたことはあったけど実物を見るのは初めてだ。
気持ち悪く口角が上がった。
「ありがとうございます。次回もよろしくお願いします。」
我ながら、当たり障りのない凡庸なメールだ。
一覧に戻り、もうひとつのメールも開く。
ーーー
差出人: v7k2m@temporarymail.net
件名:
本文:
「B408 CLRV概論」
ーーー
...それだけ。
差出人は明らかな捨てアドだ。
しんさん?いや、それならわざわざアドレスを変える意味が...
けど、このメールアドレスはサブの方。
教えたことがあるのは、行政手続きと大企業のキャンペーン応募、そしてしんさんくらい。
他に誰かに教えたりはしてないはず。
それに、この本文。
見覚えがある。
見覚えしかない。
あの本だ。
キャンパスについた。
今日はあの日とは打って変わって乾いた熱気が容赦なく汗を飛ばしてくる。
自動ドアを通り館内へ。
他のことはどうでもいい。
B408。
B408は確かにあった。
...こんな嫌な思いをしたのはあの声を聞いた時以来だ。
B408
「万年筆を大切にしよう!万年筆取扱説明書」
専用PCへ駆け込む。
キーに照準を合わせ「CLRV概論」と打ち込み、Enterを叩く。
ーーー
検索エラー。担当者にご伝達ください。
ーーー
...信じられない。
あの時検索した時は確かに「CLRV概論」と出てきた。
それに、エラーだ。0件じゃない。
ぱっと振り返る。
いるのは勉強中の学生だけ。こっちなんか見てない。
...ストーカー被害者というのはこんな気持ちなのだろう。
B408の場所へ戻り、本を手に取る。
以前とは異なり、本の内容は知っている事ばかりだ。
お願い、偶然であってほしい。
そんな有り得ない願い事はすぐに打ち砕かれた。
本から、1枚の"薄っぺらい紙"が滑り落ちる。
ーーー
昨晩、いい顔をしてましたよ。あなた。
ーーー
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