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大きな都
――おんぼろギルド。ギルド長は優男。ちゃんとしたギルド。ギルド長はオネエさん――
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俺たちが連れていかれたギルドは公園の片隅に作られたちっちゃいちっちゃい小屋だった。プレハブランクである。
「それじゃ、冒険者ライセンスを見せろ」
「ラ、ライセンス!?」
冒険者になるのに免許がいるの!? そりゃそうか、どうしようこの国での身分証明書なんて何も持ってないぞ! 持ってるのは車の免許証とマイナンバーカードのみ! 使えますかマイナンバーカードォオオ!
「ひょっとしてライセンスがないのか?」
「え、ええ、まぁ、その。でも仕事は真面目にこなすつもりですから働かせてください!!」
がばりと頭を下げる。
「やぁ、お客さんかい? 珍しいね」
奥のドアを開いて長身の、といってもレオンハルトさんよりはやや低い男が入ってきた。
艶々とした黒髪ストレートで、まつ毛がビシバシとしてやや女顔だが端正な顔の男性。この人は普通の人間だ。
「勧誘してきた。お前も客を捕まえてこい」
「はは、それは任せるよ。初めまして、ギルド長のハーヴェルといいます」
肩に抱えていた荷物を床に下ろして俺に握手の手をさし伸ばしてきた。
「はじめちてのー!」
「!?」
にこやかな笑みを浮かべていたハーヴェルさんがカウンターに飛び上がったチビたちを見て目を見開いた。が、それは一瞬だった。
「ライセンスが無いそうだ。この用紙に魔力を注げ」
イリアさんが紙を差し出してきた。
「え」
ま、魔力を注ぐってどうすればいいんだ?
わかんないけど、手形の絵が描かれていたので線に合わせて手のひらを乗せる。思わずテカラジャーが発動して用紙を水びだしにしてしまった。
「おい、舐めてんのかてめえ」
「す、すいません」
「そう乱暴な言い方をするものじゃないよ。それにしても魔力量が低いね。これじゃ紹介できる仕事は…」
ま、魔力量低いの? ちょっとショック。まあ保父だし一般人と変わんないんだろうな。
「ローズランド伯爵からの依頼かな。庭の雑草の駆除作業だね。報酬は6000ルド。子供連れなら丁度いい依頼かもね」
「はい! 是非やらせてください!!!」
考える間もなく飛びついてしまった。
草むしりならチビ達に危険はなさそうだし、6000ルドあれば昼御飯が食べられるぞ!
すぐに俺の顔写真と名前が入ったカードが手渡された。
「冒険者ランクは一番下のFだね。受けられる依頼は家事の手伝いや薬草集めといった軽作業だけ。お金を稼ぎたいなら沢山依頼をこなしてランクアップすること。そちらのお兄さんは『鉄壁の魔装銃』のレオンハルトさんですよね? 貴方は別の仕事を受けますか?」
「いや、ユイたちと一緒でいい。パーティーを組むつもりだ」
レオンハルトさん、通り名があったのか。確かに強そうだもんなあ。
「ランクSのアンタがFランクと組んでいいのか? Fからやりなおしだぜ?」
イリアさんが眉根を寄せて問いかける。
「ああ、構わない」
「ならパーティー名を決めやがれ」
パーティー名?
「お前が決めて良いぞ、ユイ」
「え、俺っすか?」
急にふられても何も浮かんでこないなぁ。どうせならカッコいい名前がいい。
「『ナイトメア』!」「駄目なの」「『アクシオス』!」「わかんないの」「『エクスカリバー』!」「そのパーティー名はすでにあるから却下だ」
イリアさんに切り捨てられた。
「駄目だ……俺にはセンスがない」
ユウチャが俺の目線の高さまで飛んでくる。
「『光の番人』がいいのでつ」と答えた。
「それがいいの! 分かりやすいの。お兄ちゃにもピッタリの!」
他のチビ達も飛びながら喜ぶ。
「これで正式に仲間だ。よろしく頼む、ユイ」
「そんな、こちらこそ! 助けて貰ってばっかりですいませんがよろしくお願いします!」
がばりと頭を下げる。
「んじゃ早速行ってきますね! みんな、出発するぞー」
「はいのー」「のー」
「ユイくん」
ギルド長に呼ばれて足を止める。
「子供達は、幸せそうにしてるかい?」
「え?」
質問の意味が解らず聞き返すように声を漏らしてしまう。
が、すぐに
「幸せだと良いと思ってますよ。会ったばっかりですけどね」
と頬をかきながら答えた。
「ならよかった」
「よかったじゃねえか」
ハーヴェルさんとイリアさんが異口同音に同じことを言う。
「はい…?」
「ユーチャはちゃーわせなの! お兄ちゃと一緒、たのちたのちだもん」
「マーチャも! ちゃわちぇ! ご飯がおいちいの!」
「ケンチャもなのー! お兄ちゃと会えてよかったの! お空が飛べるの!」
「キーチャも」
子供達が飛びついてきて、反射的に撫でてしまう。
二人の大人の視線が優しくなったような気がした。
地図をもらっておんぼろギルドを出、ローズランド邸に向かおうとするとレオンハルトさんが足を止めた。
「ローズランド邸に行く前に、ギルドに寄って行っていいか?」
「え?」
「もともとは違うギルドから依頼を受けてあの村へハーフデビルの討伐へ行っていたんだ。こちらだ」
「はい」
ギルドっていくつもあるんだな。そりゃそうか。こんな大きな都にあのおんぼろギルドだけなはずがないか。
俺たちが連れていかれたのは、この街に入ってすぐに目に入った立派な巨大な建物だった。
さっきの建物とは比べ物にならない、広く豪華な中に入ると、見るからに屈強な冒険者たちが受付に並んでいたりソファに座ったりしていた。
なんか銀行みたい。
レオンハルトさんは空いたカウンターへ向かう。そこはランクA受付窓口と書かれていた。
持っていたトランクから取り出したとは思えない大量の牙を取り出す。
レオンハルトさんもインベントリを使えるんだな。
「レオンハルト様、オーク討伐お疲れ様でした。これが今回の報酬、二百万ルドになります」
札束が二つほど積まれた。
か、金持ちだ…!
レオンハルトさんは札束を一つだけ手にして、もう一つは受付嬢さんへと渡した。
「この金はいつものように」
「はい、リーリス孤児院への寄付ですね。いつもありがとうございます」
寄付までしてるのかあ。孤児院への寄付なんて、やっぱり子供を亡くしてるのかな…。
「あら、レオンハルトちゃんじゃない」
入口がきらびやかに光ったかと思ったら、宝石で着飾って体のラインが出る真っ赤なドレスを着た金髪坊主頭褐色肌の男性…もといおネエさんが入ってきた。レオンハルトさんと同じぐらいに身長が高い。
「ルティナか。…今日、イリア殿に声をかけられたよ」
「あら、珍しい。あいつが真面目に仕事をするなんて」
「今日からこちらのユイとパーティーを組んだ。Fランクからになるから今まで通り仕事は受けられなくなるがよろしく頼む」
「え、困るわぁ。あんた正気? Fランクから始めるなんて――って、あんた、その子供たちは」
俺があやすで浮かしていたちび達に目をむく。
「はじめまちて、ユーチャなのー」
「ケンチャのー」
「マーチャなのでつ」
「キーチャ…」
驚きに見開かれていたオネエさんの目が一気に優しくなる。
「まぁ、なんて可愛らしいの! ぷっくぷくじゃない!」
「むぎゅー」
ユーチャのほっぺたを挟んでギューッと押さえつける。
「皆可愛いわぁ。食べちゃいたいぐらいよ!」
「うふふ、食べちゃダメなのー! 食べられたくないのー」
きゃっきゃはしゃぎながら子供たちが逃げまどう。
「イリアが仕事をした理由がわかるわ。そう、元気だったのね。ところであんたは何者?」
ずい、と顔を近づけられ一歩下がってしまう。
「お兄ちゃはユーチャ達の保父さんなのでつ」
「保父ぅ?」
「は、はい、そうです。ユイです。よろしくお願いします」
「ふうん、そうなの。ユーチャちゃん達はユイのことが好き?」
なんだかイリアさんに聞かれたみたいなことを聞かれてしまった。
「だいつき!!」
「お布団がふかふかなの!」
「黄色い卵焼きがおいちいの!」
「カレー好き」
とびかかってきて頬ずりしてくる。
「ならいいわ。その子たちをよろしくね」
「あ、あの、ユーチャ達のことを知っているんですか?」
「あら? あんた知らないの?」
「はい、何か知ってれば教えて欲しいんですけど……!」
こいつらの家庭環境とか! 親とか! 親族とか! 本当の家とか! なんでもいい、少しでも情報が欲しい。
持っていた扇子を閉じて、その扇子で俺の顎をくい、と持ち上げる。
「その子たちが話さないならワタシからいうことは何もないわぁ。話してくれるまで待ちなさい」
「は、話してくれるって……?」
ちび達はちび達だけで行動している。話から想像するに、四人は好きに冒険してはいるが、暖かい食事をしらず、眠る時にベッドさえ使わない過酷な生活をしていた。まるで獣みたいに。
「ワタシの名前はルティナ。このギルドのギルド長よ。困ったことがあったらいつでもいらっしゃいな」
「はい……」
ルフィナさんは背中を向けると(物凄く開いてて褐色の肌が見えていた)レオンハルトさんの肩に手を置いた。
「その子たちをよろしく頼むわよ。あなた、やっぱり見る目があるわね」
「そうか」
かつん、とピンヒールを鳴らしてルティナさんは去っていった。
「それじゃ、冒険者ライセンスを見せろ」
「ラ、ライセンス!?」
冒険者になるのに免許がいるの!? そりゃそうか、どうしようこの国での身分証明書なんて何も持ってないぞ! 持ってるのは車の免許証とマイナンバーカードのみ! 使えますかマイナンバーカードォオオ!
「ひょっとしてライセンスがないのか?」
「え、ええ、まぁ、その。でも仕事は真面目にこなすつもりですから働かせてください!!」
がばりと頭を下げる。
「やぁ、お客さんかい? 珍しいね」
奥のドアを開いて長身の、といってもレオンハルトさんよりはやや低い男が入ってきた。
艶々とした黒髪ストレートで、まつ毛がビシバシとしてやや女顔だが端正な顔の男性。この人は普通の人間だ。
「勧誘してきた。お前も客を捕まえてこい」
「はは、それは任せるよ。初めまして、ギルド長のハーヴェルといいます」
肩に抱えていた荷物を床に下ろして俺に握手の手をさし伸ばしてきた。
「はじめちてのー!」
「!?」
にこやかな笑みを浮かべていたハーヴェルさんがカウンターに飛び上がったチビたちを見て目を見開いた。が、それは一瞬だった。
「ライセンスが無いそうだ。この用紙に魔力を注げ」
イリアさんが紙を差し出してきた。
「え」
ま、魔力を注ぐってどうすればいいんだ?
わかんないけど、手形の絵が描かれていたので線に合わせて手のひらを乗せる。思わずテカラジャーが発動して用紙を水びだしにしてしまった。
「おい、舐めてんのかてめえ」
「す、すいません」
「そう乱暴な言い方をするものじゃないよ。それにしても魔力量が低いね。これじゃ紹介できる仕事は…」
ま、魔力量低いの? ちょっとショック。まあ保父だし一般人と変わんないんだろうな。
「ローズランド伯爵からの依頼かな。庭の雑草の駆除作業だね。報酬は6000ルド。子供連れなら丁度いい依頼かもね」
「はい! 是非やらせてください!!!」
考える間もなく飛びついてしまった。
草むしりならチビ達に危険はなさそうだし、6000ルドあれば昼御飯が食べられるぞ!
すぐに俺の顔写真と名前が入ったカードが手渡された。
「冒険者ランクは一番下のFだね。受けられる依頼は家事の手伝いや薬草集めといった軽作業だけ。お金を稼ぎたいなら沢山依頼をこなしてランクアップすること。そちらのお兄さんは『鉄壁の魔装銃』のレオンハルトさんですよね? 貴方は別の仕事を受けますか?」
「いや、ユイたちと一緒でいい。パーティーを組むつもりだ」
レオンハルトさん、通り名があったのか。確かに強そうだもんなあ。
「ランクSのアンタがFランクと組んでいいのか? Fからやりなおしだぜ?」
イリアさんが眉根を寄せて問いかける。
「ああ、構わない」
「ならパーティー名を決めやがれ」
パーティー名?
「お前が決めて良いぞ、ユイ」
「え、俺っすか?」
急にふられても何も浮かんでこないなぁ。どうせならカッコいい名前がいい。
「『ナイトメア』!」「駄目なの」「『アクシオス』!」「わかんないの」「『エクスカリバー』!」「そのパーティー名はすでにあるから却下だ」
イリアさんに切り捨てられた。
「駄目だ……俺にはセンスがない」
ユウチャが俺の目線の高さまで飛んでくる。
「『光の番人』がいいのでつ」と答えた。
「それがいいの! 分かりやすいの。お兄ちゃにもピッタリの!」
他のチビ達も飛びながら喜ぶ。
「これで正式に仲間だ。よろしく頼む、ユイ」
「そんな、こちらこそ! 助けて貰ってばっかりですいませんがよろしくお願いします!」
がばりと頭を下げる。
「んじゃ早速行ってきますね! みんな、出発するぞー」
「はいのー」「のー」
「ユイくん」
ギルド長に呼ばれて足を止める。
「子供達は、幸せそうにしてるかい?」
「え?」
質問の意味が解らず聞き返すように声を漏らしてしまう。
が、すぐに
「幸せだと良いと思ってますよ。会ったばっかりですけどね」
と頬をかきながら答えた。
「ならよかった」
「よかったじゃねえか」
ハーヴェルさんとイリアさんが異口同音に同じことを言う。
「はい…?」
「ユーチャはちゃーわせなの! お兄ちゃと一緒、たのちたのちだもん」
「マーチャも! ちゃわちぇ! ご飯がおいちいの!」
「ケンチャもなのー! お兄ちゃと会えてよかったの! お空が飛べるの!」
「キーチャも」
子供達が飛びついてきて、反射的に撫でてしまう。
二人の大人の視線が優しくなったような気がした。
地図をもらっておんぼろギルドを出、ローズランド邸に向かおうとするとレオンハルトさんが足を止めた。
「ローズランド邸に行く前に、ギルドに寄って行っていいか?」
「え?」
「もともとは違うギルドから依頼を受けてあの村へハーフデビルの討伐へ行っていたんだ。こちらだ」
「はい」
ギルドっていくつもあるんだな。そりゃそうか。こんな大きな都にあのおんぼろギルドだけなはずがないか。
俺たちが連れていかれたのは、この街に入ってすぐに目に入った立派な巨大な建物だった。
さっきの建物とは比べ物にならない、広く豪華な中に入ると、見るからに屈強な冒険者たちが受付に並んでいたりソファに座ったりしていた。
なんか銀行みたい。
レオンハルトさんは空いたカウンターへ向かう。そこはランクA受付窓口と書かれていた。
持っていたトランクから取り出したとは思えない大量の牙を取り出す。
レオンハルトさんもインベントリを使えるんだな。
「レオンハルト様、オーク討伐お疲れ様でした。これが今回の報酬、二百万ルドになります」
札束が二つほど積まれた。
か、金持ちだ…!
レオンハルトさんは札束を一つだけ手にして、もう一つは受付嬢さんへと渡した。
「この金はいつものように」
「はい、リーリス孤児院への寄付ですね。いつもありがとうございます」
寄付までしてるのかあ。孤児院への寄付なんて、やっぱり子供を亡くしてるのかな…。
「あら、レオンハルトちゃんじゃない」
入口がきらびやかに光ったかと思ったら、宝石で着飾って体のラインが出る真っ赤なドレスを着た金髪坊主頭褐色肌の男性…もといおネエさんが入ってきた。レオンハルトさんと同じぐらいに身長が高い。
「ルティナか。…今日、イリア殿に声をかけられたよ」
「あら、珍しい。あいつが真面目に仕事をするなんて」
「今日からこちらのユイとパーティーを組んだ。Fランクからになるから今まで通り仕事は受けられなくなるがよろしく頼む」
「え、困るわぁ。あんた正気? Fランクから始めるなんて――って、あんた、その子供たちは」
俺があやすで浮かしていたちび達に目をむく。
「はじめまちて、ユーチャなのー」
「ケンチャのー」
「マーチャなのでつ」
「キーチャ…」
驚きに見開かれていたオネエさんの目が一気に優しくなる。
「まぁ、なんて可愛らしいの! ぷっくぷくじゃない!」
「むぎゅー」
ユーチャのほっぺたを挟んでギューッと押さえつける。
「皆可愛いわぁ。食べちゃいたいぐらいよ!」
「うふふ、食べちゃダメなのー! 食べられたくないのー」
きゃっきゃはしゃぎながら子供たちが逃げまどう。
「イリアが仕事をした理由がわかるわ。そう、元気だったのね。ところであんたは何者?」
ずい、と顔を近づけられ一歩下がってしまう。
「お兄ちゃはユーチャ達の保父さんなのでつ」
「保父ぅ?」
「は、はい、そうです。ユイです。よろしくお願いします」
「ふうん、そうなの。ユーチャちゃん達はユイのことが好き?」
なんだかイリアさんに聞かれたみたいなことを聞かれてしまった。
「だいつき!!」
「お布団がふかふかなの!」
「黄色い卵焼きがおいちいの!」
「カレー好き」
とびかかってきて頬ずりしてくる。
「ならいいわ。その子たちをよろしくね」
「あ、あの、ユーチャ達のことを知っているんですか?」
「あら? あんた知らないの?」
「はい、何か知ってれば教えて欲しいんですけど……!」
こいつらの家庭環境とか! 親とか! 親族とか! 本当の家とか! なんでもいい、少しでも情報が欲しい。
持っていた扇子を閉じて、その扇子で俺の顎をくい、と持ち上げる。
「その子たちが話さないならワタシからいうことは何もないわぁ。話してくれるまで待ちなさい」
「は、話してくれるって……?」
ちび達はちび達だけで行動している。話から想像するに、四人は好きに冒険してはいるが、暖かい食事をしらず、眠る時にベッドさえ使わない過酷な生活をしていた。まるで獣みたいに。
「ワタシの名前はルティナ。このギルドのギルド長よ。困ったことがあったらいつでもいらっしゃいな」
「はい……」
ルフィナさんは背中を向けると(物凄く開いてて褐色の肌が見えていた)レオンハルトさんの肩に手を置いた。
「その子たちをよろしく頼むわよ。あなた、やっぱり見る目があるわね」
「そうか」
かつん、とピンヒールを鳴らしてルティナさんは去っていった。
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