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上原優美✨

第36話 上原優美

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 見上げると夜空に紅い満月が輝いていた。
 血のように紅く染まっている。


 不吉な予感だ。
 満月の夜は凶悪犯罪が多いという。

 

 『サンセットマンション』の4階、404号室がレイこと、上原優美の部屋だ。

 気持ちばかりが焦ってくる。


 ようやく彼女の部屋の前までやってきた。


 インターフォンを押してみる。


『ピンポォーン』かすかにドア越しにインターフォンの音が漏れた。
 しかし応答はない。


「居ないのかしら……」クリスが大きな胸の膨らみをオレの二の腕へ押しつけた。


『コンコン』
 何回か、ノックをしたが返事は返ってこない。


「ン……」また出直すのか。


 だがヒデが電話を掛けると、かすかに着信音が部屋の中から聞こえた。


「これは……」中に上原優美がいるのか。

「上原さん!!」
 試しにドアノブを回した。

「あ!!」  
 以外にもドアノブは回る。

 カギは掛かっていないようだ。


「開いている!!」
 しかしドアは、ほんの少ししか開かない。


「え……?!」これは!!
 中からドアチェーンが掛かっていた。


 しかも室内から音楽と着信音が聞こえてくる。
 ヒデの掛けている電話だ。



 かすかに異臭がする。


 ヤバい!!


「硫化水素だ!!」
 思わずオレは怒鳴った。
 




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