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シンデレラの絵本
第107話 上原優美✨
しおりを挟む「彼女はムトベエリカとして、別の名前で生きていた」
「えェ……、そうです」
優美は哀しそうな顔で青く澄んだ空を見上げた。
白い雲が、ゆっくりと流れていく。
オレも青い空を見上げ続けて訊いた。
「その後、沢向エリカだと言う証拠があると匂わせたんですか。あの絵本を使って」
「ハイ、私の手元にあったあの養護施設【ソレイユの里】の絵本です」
「ボロボロになった【シンデレラ】の絵本……
アレの指紋を調べれば、彼女がムトベではなく、沢向エリカだとわかるはずだと……」
「そうです。彼女は、その後、どうしてもその【シンデレラ】の絵本を見てみたいからと言って。
そこであの夜、私の部屋で本を出してエリカさんを待っていたんです」
「あの夜ですね。オレたちが密室の中、上原優美さんを救い出した」
「ハイ、あと10分いえ、5分でも遅かったらダメだったでしょう」
「あの夜、約束の時間に知らないイケメンの男性が訪ねてきました」
「イケメン……か。その男性は久遠ヒロシでしょう。
彼もあなたに生きていて貰っては都合が悪いンです」
「え……」
「久遠家の秘密を知られては!!」
「ええ……、とても感じの良いイケメンだったし……
彼もエリカさんの使いだと言って、スイーツを持ってきて……
『シンデレラ』の絵本を預かりたいと」
「なるほど、そのスイーツに睡眠薬が」
「そうでしょう…… スイーツとコーヒーを飲むと急に、眠気が襲ってきて……」
「ッで、【シンデレラ】の絵本も持っていかれた」
「えェ……、でもあの絵本は本物ではありません。
神田の古本屋で偶然、見つけた同じタイトルの【シンデレラ】でした。ボロボロなので見分けがつかなかったのでしょう」
「フフ、なるほど……」
こうして上原優美の機転により、事件は解決へと向かった。
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