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ロリコン万堂……

矢作警部補……

　無精ヒゲの男は振り返って私の顔色を伺った。



「フウゥン……」私は無視して､その場を立ち去ろうと足を早める。



「おいおい、待てよ。お姉ちゃん。
　名前は。どこの高校だ？」
　だが無精ヒゲのハギは私を逃がすまいと回り込んできた。かなり脚は早いようだ。



「どけよ。知るか。個人情報だろ」
　


「ハッハハ、さっきから刑事だって紹介しただろォ」


「ケェ……､ウソつけェ。アンタが刑事だって言うなら私だって横浜のプリンセスだよ」
　


「おいおい、マジだって信じてくれよ」

「フフゥン､信じてくれは詐欺師の常套句だろう。
　騙されるか！」
　こんな怪しいヤツが刑事のワケがない。
　早くこんな胡散臭いヤツから解放されたい。
　


「オレは神奈川県警の矢作やはぎだ」
　馴れた仕草で警察手帳を提示した。　　
　『矢作』と記されている。


「やづくり……」変な名前だ。どうして若い刑事から『ハギ』ッて呼ばれているんだろう。


「やづくりじゃねえェよ……。『やはぎ』だ！！」

「やはぎィ……？」


「そうです。小木矢作の矢作《やはぎ》ですよ。ボクは同じく県警の富田です」
　ジャニーズ系イケメンも警察手帳を提示した。



「小木  矢作《やはぎ》か……」だから『ハギ』と呼ばれているのか。



　なにしろ､こっちは小学校すらまともに行っていないので､簡単な漢字すら読めない。


「ほらァ、ここが万堂さんの屋敷だ」
　矢作がアゴで差した。目を見張るような大きな邸宅だ。

　だが、それ以上に驚くことは､アキラの高級マンションのすぐ隣りに建っていることだ。



　マジか。
　こんな偶然があって良いのか。











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