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紅い蜘蛛✨✨
萌絵✨✨202○年夏……
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敵対するグループによる犯行と報道されていた。
私たちとは、まったく世界が違う。
『それが、アイツら『ヤバい女』に手を出したんだよ』
また萌絵が顔を寄せて囁いてきた。
「えェッ? ヤバい女……」誰よ。ヤバい女ッて。
『次に狙われるのは、田山か、吉木公平か、マジーらしいの』
「なッ、マジーッて、あのバスケの真島真二郎君?」
『そォ、あのマジーよ。あのバスケでジュニア代表だった。ケガでバスケ辞めて、紅い蜘蛛の幹部になってるんだけどね。今は……』
アイスコーヒーのストローに口をつけた。
「そんな話しを誰から聞いたの。なんで萌絵が知ってるのよ」
私は穿った見かたをした。
『ンうゥ……、清川よ。清川から聞いたのよ』
萌絵は、少し考えながらつぶやいた。
「えェ……? なんで清川仁から……」
清川仁は長年、私をストーカーしている。
小学校からの同級生だ。
『もぉ、バカなのよ。アイツら、『ヤバい女』に手を出したから』
萌絵は頭を抱えそうな勢いだ。
「何を言ってるのよ。さっきから言ってるヤバい女ッて誰なのよ」
『アイツら、みんな殺されるのよ』
さらに声をひそめて囁いた。
「えェッ、みんなッて、何のコト。アイツって誰なの? いったい誰に殺されるのよ」
何を言っているのか。私には、まったく話しがわからない。
『蒼井正義よ』
「なッ、何言ってるの。蒼井君は……、七年前に」
『そうよ。校舎の屋上から飛び降りて。
でも、蒼井正義がみんなを殺しに来るの!
知らないのよ! みんな、蒼井正義の怖ろしさを』
「あのねえェ……。萌絵!!」
オカルトかよ。死んだ蒼井正義が殺し回るッて。
『みんな、ミオがイケないのよ。あのときミオが、蒼井正義を止めなかったから』
「なッ、何を言ってるの。どうして私がイケないの」
ムチャクチャな論理だ。なんで私の所為になるんだ。
『ミオの所為だから! あなたが、あのとき蒼井正義を止めていれば、こんな事にはならなかったのよ!』
アイスコーヒーを一気に飲むと萌絵は私を睨みつけた。
「ン……」こっちだって気分が悪い。
「じゃァ……」
伝票を持って精算し、さっさと帰ってしまった。
「なッ、おいおい!!」
まったく私はワケがわからなかった。
呆然として彼女を見送った。
店内にはショパンの『雨だれ』が流れている。
知らぬ間にメロディに合わせて、指先が軽やかに動いていた。
☆゚.*・。゚☆゚.*・。゚☆゚.*・。゚☆゚.*・。゚☆゚.*・。゚☆゚.*・
私たちとは、まったく世界が違う。
『それが、アイツら『ヤバい女』に手を出したんだよ』
また萌絵が顔を寄せて囁いてきた。
「えェッ? ヤバい女……」誰よ。ヤバい女ッて。
『次に狙われるのは、田山か、吉木公平か、マジーらしいの』
「なッ、マジーッて、あのバスケの真島真二郎君?」
『そォ、あのマジーよ。あのバスケでジュニア代表だった。ケガでバスケ辞めて、紅い蜘蛛の幹部になってるんだけどね。今は……』
アイスコーヒーのストローに口をつけた。
「そんな話しを誰から聞いたの。なんで萌絵が知ってるのよ」
私は穿った見かたをした。
『ンうゥ……、清川よ。清川から聞いたのよ』
萌絵は、少し考えながらつぶやいた。
「えェ……? なんで清川仁から……」
清川仁は長年、私をストーカーしている。
小学校からの同級生だ。
『もぉ、バカなのよ。アイツら、『ヤバい女』に手を出したから』
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「何を言ってるのよ。さっきから言ってるヤバい女ッて誰なのよ」
『アイツら、みんな殺されるのよ』
さらに声をひそめて囁いた。
「えェッ、みんなッて、何のコト。アイツって誰なの? いったい誰に殺されるのよ」
何を言っているのか。私には、まったく話しがわからない。
『蒼井正義よ』
「なッ、何言ってるの。蒼井君は……、七年前に」
『そうよ。校舎の屋上から飛び降りて。
でも、蒼井正義がみんなを殺しに来るの!
知らないのよ! みんな、蒼井正義の怖ろしさを』
「あのねえェ……。萌絵!!」
オカルトかよ。死んだ蒼井正義が殺し回るッて。
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「なッ、何を言ってるの。どうして私がイケないの」
ムチャクチャな論理だ。なんで私の所為になるんだ。
『ミオの所為だから! あなたが、あのとき蒼井正義を止めていれば、こんな事にはならなかったのよ!』
アイスコーヒーを一気に飲むと萌絵は私を睨みつけた。
「ン……」こっちだって気分が悪い。
「じゃァ……」
伝票を持って精算し、さっさと帰ってしまった。
「なッ、おいおい!!」
まったく私はワケがわからなかった。
呆然として彼女を見送った。
店内にはショパンの『雨だれ』が流れている。
知らぬ間にメロディに合わせて、指先が軽やかに動いていた。
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