【都市伝説殺人事件】 クッキー様 ！ とろけるように甘く謎を解決《とい》てください！ 紅い月夜に死者が舞う！！

パンドラ✨✨✨

パンドラ✨✨✨（三人称）

　キャバクラ店『パンドラ』。
　まだ昼過ぎなので開店前だ。



　リオは店前の防犯カメラを確認し､ドアをノックをした。
　

「ごめんください。どなたか、いらっしゃいますか」
　しかし応答はない。
　

「ちょっと、アポを取ってからの方が」
　後ろから富田が声をかけた。


「面倒だろ……。だいたいアポなしの方が相手に準備させないで済むんだから。都合が良いんだよ」
　仕方なく裏口へ回った。

「まァ､そうかもしれませんけど」
　渋い顔で富田もあとに従って続いた。


　リオは裏口の関係者通用口でノックした。
「ごめんください。どなたかいらっしゃいませんか」
　ドアを勝手に開けて声を掛けた。どうやら施錠されていないようだ。



『ハイハイ､なんですッ？  面接ですか』
　店の奥から若い男性の声だけが聞こえた。


「そうねェ……。ちょっと社長はいるかしら？」
　リオも応じた。断りもなく店内へ入り様子を伺っている。
「ヤバいですよ……」
　若い富田は遠慮がちだ。



『ちょっとお待ちください。ハイ、もしもし……』
　どうやら店の者は電話の最中らしい。


『わかりました。その件は､後日。では宜しくお願いします。失礼します』
　そうそうに通話を切った。


　社長室の内から声が聞こえてくる。

「失礼します！！」
　リオは返事も待たず社長室のドアを開けて室内を覗いてみた。
　男がひとりソファにふんぞり返って電話をしていた。



「店長かしら？  それともマネージャー」
　リオは､その男に訊いた。若い黒縁メガネを掛けたイケメンの男性だ。



「ケッケケ、こりゃァ、極上の美女だねえェ……。
　ようこそ『パンドラ』へ。ええェッと木原エリカちゃんだっけ……」
　ニコニコして応対し始めた。イケメンだが、店長にしては若い。



「いいえ……、リオよ」
「ああァそう。いやいや、君ならすぐにナンバーワンだよ。いつから来られる。今晩から？」
　スケジュールを確認しているようだ。




「さァ、ナンバーワンになるつもりはないわ」
「ええェ……、なんで？   もったいないだろォ」



「別に、キャバ嬢の面接に来たワケじゃないわ」
　リオはおもむろに警察手帳を提示した。



「神倉署の者です」後ろから富田も警察手帳を提示し挨拶した。


「はァ、ウソだろォ。女刑事さん」

「ええェ……、イスルギリオです。麻見萌絵のことで参りました」


「アサミ……？  誰だって」

「麻見萌絵です。こちらの」富田がタブレットで画像を出した。



「ああァ、マリアちゃんか。そうか､マリアちゃんが彼氏の遺体を見つけた件ねェ……」
　ようやく彼も納得したようだ。



　どうやら麻見萌絵のこの店での源氏名は『マリア』のようだ。










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