1 / 1
短編
しおりを挟む
この世界には何もなかった。
ただひたすらに黒く、上にも、下にも、右にも、左にも、前にも、後ろにも何も無かった。
しかし、そんな世界を管理していた神様はそんな黒いだけの世界に飽きてしまった。
だから、神様は大地を作り、海を作り、空を作った。
でも、それを作っても神様は殆ど変化のない世界に飽きてしまった。
だから、神様は人間に魔物、エルフやドワーフに獣人といった多種多様な種族を作り出した。
神様は種族を作り出した時に、それぞれ原始の存在を作り出した。
原始の存在はその種族が持っている能力が特に強くなっていた。
人間ならば子を成す能力が、魔物ならば他を取り込み己が糧とする能力が、エルフならば永遠にも思える寿命が、ドワーフならば鉱石を扱う能力が、獣人ならば体の能力が、神とすら思える程に強くなっていた。
しかし、それ故にそれぞれの種族は原始の存在を神と崇め、他種族に対して自身の種族の原始の存在を神と崇めるようにとお互いが言い合いになった。
その言い合いが、喧嘩になり、決闘になり、戦になり、生存競争になるまでそう長くの時間は掛からなかった。
唯一、魔物だけはこの争いには関わらなかったが、それぞれの種族は疲弊し、このままでは魔物以外の種族が滅亡すると思った魔物の原始の存在はある決断をした。
魔物の原始の存在は魔物をかき集め、全種族に『それほどまでに滅びたいならば、我らがその命を貰い受ける』と宣言した。
それまで友好的だった魔物という種族は一斉に牙をむき、他種族は滅亡しかかった。
しかし、魔物という共通の敵が現れた事で、他種族は協力しあう事で、今日まで生き延びている。
創世神話史書・序章より抜粋
「ごめんなさいね、フィネアス」
エルフの原始の存在であり、名前を呼ぶのさえ躊躇われる程に貴い、私のお母様は少しづつ動かなくなっていく体で、私に言った。
「いえ、お母様。私を養子と迎えて下さったお母様の願いならば応えるのが、当然でございますから」
私はお母様のお願いを叶えるために、みんなから反対されても強引にエルフの里を飛び出した。
お母様は神様が各種族を作られた時より存在している原始の存在にして、生きる宝。
そんなお母様は原始の存在以外では、金髪金眼であるエルフなのに黒髪黒目で生まれた私を原始の存在の2代目だと認めてくれた方。
もしかしたら、原始の存在であるお母様も黒髪黒目だから私を受け入れてくれたのかもしれないけど、お母様は尊敬できるから、我がままやお願いを言わないお母様が初めて言ったお願いを断る選択肢は無かった。
例え、その選択で私が奴隷になってしまったとしても。
私は下手を打ってしまった。
みんなからは人間は狡猾で平均的な魔法技術は私達に劣っていても、私達よりも魔法が上手い者は存在するから油断するなと言われていた。
それでも心の何処かで人間はエルフよりも魔法技術で私が負けるわけがないと慢心していたのだろう。
人間が変身魔法で人間の子供を子供のエルフに化けさせて、それを私の前で嬲るように痛めつけて、私に投降するように言ってきたのだ。
それを見て、私は武器を捨てて投降してしまった。
そして、私は奴隷の首輪を嵌められてから、エルフの子供に化けさせられた人間の子供は殺された。
それから私は魔物との戦いの戦闘に立たされて、戦い続けさせられたけど、奴隷の首輪に必死に抵抗して純潔やそれに付随する行為はしなかった。
流石に裸を見られたりはかなりしたけど、それが3年も続いけば私もまだ恥ずかしいケド慣れてしまったし、私を奴隷にした人間達も勇者と呼ばれるようになってから少しは落ち着いた。
でも、そんな生活も長くは続かなかった。
人間達はなんと魔物の原始の存在を殺そう計画していたのだ。
確かに魔物は今日に置いても大変脅威であり、原始の存在を殺せば魔物達も落ち着くかもしれない。
でも、魔物の原始の存在は他の魔物とは一線を確する存在だ。
お母様に聞いた話では、魔物の原始の存在はひたすらに強いらしい。
ただ魔物の原始の存在は面倒くさがりな性格だが、他の種族が滅ばないように魔物に他種族を襲えと命令する様な存在だとも言っていた。
人間は、私が魔物の中でも上位に位置する龍を1人で狩る事が出来るために、私と人間達の強者が協力して魔物の原始の存在を殺そうとした。
しかし、その人間の強者達は私の周りで死んでおり、人の形を取っている魔物の原始の存在はただ面倒くさそうな顔をして、こちらに歩いてきている。
「お前がエルフィネスが言っていた、2代目の原始の存在か?」
エルフィネス、それはお母様の名前であり、お母様と同じ原始の存在で無ければ、名を呼ぶことすら出来ない尊い名。
それを知っていた私は首輪の主人が死んだことで自由になった体で、地面に頭をこすりつけながら言った。
「魔物の原始の存在様。私はエルフの原始の存在であるお母様の願いを聞き、魔物の原始の存在様を探していたフィネアスと申します。
お母様が最後に貴方様にお会いしたいと願いを聞き、ここに馳せ参じました。剣を向けたご無礼は私の体を後ほど好きにして頂いて構いませんので、どうかお母様とお会いになって頂けないでしょうか?」
これが後に世界の意思と言われる様になる魔物の原始の存在と、そんな存在と長い間旅をする事になる私の出会いだった。
ただひたすらに黒く、上にも、下にも、右にも、左にも、前にも、後ろにも何も無かった。
しかし、そんな世界を管理していた神様はそんな黒いだけの世界に飽きてしまった。
だから、神様は大地を作り、海を作り、空を作った。
でも、それを作っても神様は殆ど変化のない世界に飽きてしまった。
だから、神様は人間に魔物、エルフやドワーフに獣人といった多種多様な種族を作り出した。
神様は種族を作り出した時に、それぞれ原始の存在を作り出した。
原始の存在はその種族が持っている能力が特に強くなっていた。
人間ならば子を成す能力が、魔物ならば他を取り込み己が糧とする能力が、エルフならば永遠にも思える寿命が、ドワーフならば鉱石を扱う能力が、獣人ならば体の能力が、神とすら思える程に強くなっていた。
しかし、それ故にそれぞれの種族は原始の存在を神と崇め、他種族に対して自身の種族の原始の存在を神と崇めるようにとお互いが言い合いになった。
その言い合いが、喧嘩になり、決闘になり、戦になり、生存競争になるまでそう長くの時間は掛からなかった。
唯一、魔物だけはこの争いには関わらなかったが、それぞれの種族は疲弊し、このままでは魔物以外の種族が滅亡すると思った魔物の原始の存在はある決断をした。
魔物の原始の存在は魔物をかき集め、全種族に『それほどまでに滅びたいならば、我らがその命を貰い受ける』と宣言した。
それまで友好的だった魔物という種族は一斉に牙をむき、他種族は滅亡しかかった。
しかし、魔物という共通の敵が現れた事で、他種族は協力しあう事で、今日まで生き延びている。
創世神話史書・序章より抜粋
「ごめんなさいね、フィネアス」
エルフの原始の存在であり、名前を呼ぶのさえ躊躇われる程に貴い、私のお母様は少しづつ動かなくなっていく体で、私に言った。
「いえ、お母様。私を養子と迎えて下さったお母様の願いならば応えるのが、当然でございますから」
私はお母様のお願いを叶えるために、みんなから反対されても強引にエルフの里を飛び出した。
お母様は神様が各種族を作られた時より存在している原始の存在にして、生きる宝。
そんなお母様は原始の存在以外では、金髪金眼であるエルフなのに黒髪黒目で生まれた私を原始の存在の2代目だと認めてくれた方。
もしかしたら、原始の存在であるお母様も黒髪黒目だから私を受け入れてくれたのかもしれないけど、お母様は尊敬できるから、我がままやお願いを言わないお母様が初めて言ったお願いを断る選択肢は無かった。
例え、その選択で私が奴隷になってしまったとしても。
私は下手を打ってしまった。
みんなからは人間は狡猾で平均的な魔法技術は私達に劣っていても、私達よりも魔法が上手い者は存在するから油断するなと言われていた。
それでも心の何処かで人間はエルフよりも魔法技術で私が負けるわけがないと慢心していたのだろう。
人間が変身魔法で人間の子供を子供のエルフに化けさせて、それを私の前で嬲るように痛めつけて、私に投降するように言ってきたのだ。
それを見て、私は武器を捨てて投降してしまった。
そして、私は奴隷の首輪を嵌められてから、エルフの子供に化けさせられた人間の子供は殺された。
それから私は魔物との戦いの戦闘に立たされて、戦い続けさせられたけど、奴隷の首輪に必死に抵抗して純潔やそれに付随する行為はしなかった。
流石に裸を見られたりはかなりしたけど、それが3年も続いけば私もまだ恥ずかしいケド慣れてしまったし、私を奴隷にした人間達も勇者と呼ばれるようになってから少しは落ち着いた。
でも、そんな生活も長くは続かなかった。
人間達はなんと魔物の原始の存在を殺そう計画していたのだ。
確かに魔物は今日に置いても大変脅威であり、原始の存在を殺せば魔物達も落ち着くかもしれない。
でも、魔物の原始の存在は他の魔物とは一線を確する存在だ。
お母様に聞いた話では、魔物の原始の存在はひたすらに強いらしい。
ただ魔物の原始の存在は面倒くさがりな性格だが、他の種族が滅ばないように魔物に他種族を襲えと命令する様な存在だとも言っていた。
人間は、私が魔物の中でも上位に位置する龍を1人で狩る事が出来るために、私と人間達の強者が協力して魔物の原始の存在を殺そうとした。
しかし、その人間の強者達は私の周りで死んでおり、人の形を取っている魔物の原始の存在はただ面倒くさそうな顔をして、こちらに歩いてきている。
「お前がエルフィネスが言っていた、2代目の原始の存在か?」
エルフィネス、それはお母様の名前であり、お母様と同じ原始の存在で無ければ、名を呼ぶことすら出来ない尊い名。
それを知っていた私は首輪の主人が死んだことで自由になった体で、地面に頭をこすりつけながら言った。
「魔物の原始の存在様。私はエルフの原始の存在であるお母様の願いを聞き、魔物の原始の存在様を探していたフィネアスと申します。
お母様が最後に貴方様にお会いしたいと願いを聞き、ここに馳せ参じました。剣を向けたご無礼は私の体を後ほど好きにして頂いて構いませんので、どうかお母様とお会いになって頂けないでしょうか?」
これが後に世界の意思と言われる様になる魔物の原始の存在と、そんな存在と長い間旅をする事になる私の出会いだった。
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
姉から全て奪う妹
明日井 真
ファンタジー
「お姉様!!酷いのよ!!マリーが私の物を奪っていくの!!」
可愛い顔をした悪魔みたいな妹が私に泣きすがってくる。
だから私はこう言うのよ。
「あら、それって貴女が私にしたのと同じじゃない?」
*カテゴリー不明のためファンタジーにお邪魔いたします。
婚約破棄?一体何のお話ですか?
リヴァルナ
ファンタジー
なんだかざまぁ(?)系が書きたかったので書いてみました。
エルバルド学園卒業記念パーティー。
それも終わりに近付いた頃、ある事件が起こる…
※エブリスタさんでも投稿しています
魅了が解けた貴男から私へ
砂礫レキ
ファンタジー
貴族学園に通う一人の男爵令嬢が第一王子ダレルに魅了の術をかけた。
彼女に操られたダレルは婚約者のコルネリアを憎み罵り続ける。
そして卒業パーティーでとうとう婚約破棄を宣言した。
しかし魅了の術はその場に運良く居た宮廷魔術師に見破られる。
男爵令嬢は処刑されダレルは正気に戻った。
元凶は裁かれコルネリアへの愛を取り戻したダレル。
しかしそんな彼に半年後、今度はコルネリアが婚約破棄を告げた。
三話完結です。
英雄一家は国を去る【一話完結】
青緑 ネトロア
ファンタジー
婚約者との舞踏会中、火急の知らせにより領地へ帰り、3年かけて魔物大発生を収めたテレジア。3年振りに王都へ戻ったが、国の一大事から護った一家へ言い渡されたのは、テレジアの婚約破棄だった。
- - - - - - - - - - - - -
ただいま後日談の加筆を計画中です。
2025/06/22
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる