愚かな勇者(ピエロ)の末路

ロシキ

文字の大きさ
5 / 13

謁見の間へ

しおりを挟む
「勿論です。お前達が心を開き、信頼していたのは演技ですよ」

僕がそのメイド長の言葉に混乱していると、父上はがっくりと肩を落としながらもメイド長に再び質問した。

「それでは貴方様が謁見の間へ案内して下さるのですか?」

父上がそう質問すると、メイド長は笑顔で頷いた。

「ええ、私以外の者は案内には適しませんからね。仕方のない事です。そうそう、これから謁見の間へと行きますが、くれぐれも謁見の間へと向かっている途中でも、謁見の間の中でも、許可なく言葉を発さないように」

そう言うと、メイド長はくるりと僕達に背を向けて9階に向けて歩き出した。
父上はそれを見たあとに唾を飲み込むように喉を鳴らしたあと、僕達の方に振り返り僕達と他国の重鎮の方々に言った。

「ここから先は決して声を出すなよ。魔法も魔道具も全て外しているな?決して無礼があってはならない。例えこの先で無理難題を言われても、他の者は庇えないし、庇わない。だから無理難題を言われたら、その通りにするか、生を諦めるかだけだ。

全員、覚悟は良いな。逝くぞ」

僕は父上の言葉に、そう言えばここに来る前に魔道具は全て外させられたなと、思い出した。
そして、それと同時に僕に掛かっていた『沈黙』の魔法が解除された。

その事に気が付いた僕は周りに、これはどういう事なのかを質問しようとしたが、周りのあまりの覚悟の決まっている顔にその言葉を飲み込まざる負えなかった。

僕は仕方なく父上達に続き8階から9階への階段を登って行った。
しかし、8階から見えていた部分を通り過ぎ、逆に8階から見えない部分になると城の様子が様変わりした。

この城は、というかこの世界にある国の王城は基本的に立て直すという事をしない、正確には出来無い。
何故なら、城のような巨大な建物を正確に、歪みなく、そして長く持ちこたえるようにする技術がないのだ。
なので、各国の城は『国の象徴』と呼ばれ、複製不可能な魔道具アーティファクトと並ぶ、またはそれ以上に貴重な物であり、「『国の象徴』が無ければ国ではない」と言い切るその手の専門家がいるくらいだ。

ただ不思議なことは、この『国の象徴』の城はそれぞれに何処か侵入してはいけない場所があるのだ。
例えば、地下の独房の全エリアや逆に城の中の一部屋とその部屋に繋がる廊下等だ。
それらは各国が決して侵入してはいけないとしており、侵入した者は他国の重鎮ですら処刑する。
因みに、我が国の王城では9~10階の全エリアがそれにあたる。

その我が国の9~10階は、1~8階までとは全く異なり、現在の世界では消失したと言われている貴重な芸術品やそれがあるだけで国の力関係が変わると言われている神話の時代の複製不可能な魔道具アーティファクトが、ずらりと並んでいた。

そんな専門家達が見たら、いや専門家でなくとも見たら発狂するレベルの貴重品の数々がずらりと並んでいる階段と廊下を進み、扉だけで各国の国家予算を超えるだろうと見ただけで分かる程に凄い扉の前でメイド長が立ち止まった。

「ここが謁見の間です。今まで以上に慎重に振る舞うように。

なにせ、私程穏やかな者はこの中では少数ですし、我らがはまだお部屋におりません。今回の分配分の者以外は、下手をすれば魔王様が来られる前に殺される事もあるでしょうから」

メイド長はそう言ってから、僕達の反応を確かめる前に扉を開けた。 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します

白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。 あなたは【真実の愛】を信じますか? そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。 だって・・・そうでしょ? ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!? それだけではない。 何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!! 私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。 それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。 しかも! ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!! マジかーーーっ!!! 前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!! 思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。 世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。

【完結】あなたに知られたくなかった

ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。 5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。 そんなセレナに起きた奇跡とは?

サレ妻の娘なので、母の敵にざまぁします

二階堂まりい
大衆娯楽
大衆娯楽部門最高記録1位! ※この物語はフィクションです 流行のサレ妻ものを眺めていて、私ならどうする? と思ったので、短編でしたためてみました。 当方未婚なので、妻目線ではなく娘目線で失礼します。

とある令嬢の断罪劇

古堂 素央
ファンタジー
本当に裁かれるべきだったのは誰? 時を超え、役どころを変え、それぞれの因果は巡りゆく。 とある令嬢の断罪にまつわる、嘘と真実の物語。

真実の愛は水晶の中に

立木
恋愛
学園の卒業を祝うパーティーの最中、レイシア・マレーニ侯爵令嬢は第三王子とピンク髪の女、その取り巻きたちによって断罪されようとしていた。 しかし断罪劇は思わぬ方向へ進んでいく。 ※AIイラスト使用 ※「なろう」にも重複投稿しています。

もしかして寝てる間にざまぁしました?

ぴぴみ
ファンタジー
令嬢アリアは気が弱く、何をされても言い返せない。 内気な性格が邪魔をして本来の能力を活かせていなかった。 しかし、ある時から状況は一変する。彼女を馬鹿にし嘲笑っていた人間が怯えたように見てくるのだ。 私、寝てる間に何かしました?

愛していました。待っていました。でもさようなら。

彩柚月
ファンタジー
魔の森を挟んだ先の大きい街に出稼ぎに行った夫。待てども待てども帰らない夫を探しに妻は魔の森に脚を踏み入れた。 やっと辿り着いた先で見たあなたは、幸せそうでした。

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

処理中です...