愚かな勇者(ピエロ)の末路

ロシキ

文字の大きさ
11 / 13

壊れてしまった皆

しおりを挟む
「あ、あぁ」

僕は助けなければと思っていた皆と会えたとあうのに、恐怖から情けない声を出してしまった。

しかし、それは仕方ないのではないかと思った。
何故ならラセットは部屋に入ってから、というよりも入る前から右手の親指の爪を噛みながらブツブツと何かを呟いており、僕を見た瞬間には僕の腰の辺りにしがみつき、「頂戴、早く頂戴」と狂ったように今尚叫び続けている。

マールブランは立ったまま色んな所から色んな液体を垂れ流しにしていた。
もちろん、それ以外は見た限りではおかしな様子は無いのだが、「え、えへ、えへへ」とずっと繰り返し呟いており、目の焦点は完全にずれており、どこを見ているのか分からない。

フィーネは首だけの状態で生きていた。
これにも驚いたが、ずっと何かをブツブツと呟いていた。
よく聞いてみると、魔法の研究成果を早口で口に出しているらしいが、その顔は何処か鬼気迫っていて、時折だが魔法の研究成果を呟く途中で、「消えたくない、消えたくない」と呟かれる時があった。

そんな皆を見て、「これはもう駄目だ」と思うと同時に恐怖してしまった。
そんな僕を見て、3人と一緒に入ってきたメイド長が言った。

「どうしたのですか?せっかく他に言い包めて三人を生かしておいて貰ったのに、もっと喜んで頂かないとサファイス様が退屈してしまうではありませんか」

僕はそういったメイド長にありえない物を見る目で見てしまった。
そんな僕の様子を見たサファイスが、口の辺りを触りながら言った。

「ふむ、やはりを壊すのは、ドッペルゲンガーの計画通りの方が良さそうだな」

僕はサファイスが言った「ピエロ」という言葉に反応して、サファイスを睨みつけた。
僕が「ピエロ」という言葉に反応した理由がある。
僕が幼い頃、それこそまだ僕が6歳にあと少しでなることが出来る時期に、サファイスは僕の婚約者になったのだが、その初顔合わせでサファイスが「王子様のお名前は、最近劇団で見たピエロの様ですね」と笑顔で言ったからだ。

その時にはサファイスは周りから怒られ、色々と言われたらしいが、僕的にはそんなことはどうでも良かった。
問題なのは、それが何故か噂として出回り、しかも「王子様は婚約者を喜ばすためにピエロとなっている」という噂に落ち着いたからだ。

僕はその事に激怒した。
僕の名前はピレネエ・マースロレであり、決して「ピエロ」という名前ではないし、僕の名前であるピレネエは古代語で「勇敢な者」という意味を持つ為に、僕は誇りに思っていた。
だから僕は噂を消そうと使える手は何でも使い、様々な事をしたが噂は全く消えず、今でも残っている。

そんな事にした張本人が、恐らく僕を「ピエロ」と呼んだのだ。
睨みつけて当然である。
僕がそう思い睨んでいると、サファイスは今までで1番のありえない発言をした。

「そう怒るなよ、ピエロさん?せっかく名前の文字を消せば「ピエロ」と読めるような名前にしてやったのに、怒ってばかりじゃ駄目だよ?」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します

白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。 あなたは【真実の愛】を信じますか? そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。 だって・・・そうでしょ? ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!? それだけではない。 何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!! 私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。 それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。 しかも! ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!! マジかーーーっ!!! 前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!! 思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。 世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。

【完結】あなたに知られたくなかった

ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。 5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。 そんなセレナに起きた奇跡とは?

サレ妻の娘なので、母の敵にざまぁします

二階堂まりい
大衆娯楽
大衆娯楽部門最高記録1位! ※この物語はフィクションです 流行のサレ妻ものを眺めていて、私ならどうする? と思ったので、短編でしたためてみました。 当方未婚なので、妻目線ではなく娘目線で失礼します。

とある令嬢の断罪劇

古堂 素央
ファンタジー
本当に裁かれるべきだったのは誰? 時を超え、役どころを変え、それぞれの因果は巡りゆく。 とある令嬢の断罪にまつわる、嘘と真実の物語。

真実の愛は水晶の中に

立木
恋愛
学園の卒業を祝うパーティーの最中、レイシア・マレーニ侯爵令嬢は第三王子とピンク髪の女、その取り巻きたちによって断罪されようとしていた。 しかし断罪劇は思わぬ方向へ進んでいく。 ※AIイラスト使用 ※「なろう」にも重複投稿しています。

もしかして寝てる間にざまぁしました?

ぴぴみ
ファンタジー
令嬢アリアは気が弱く、何をされても言い返せない。 内気な性格が邪魔をして本来の能力を活かせていなかった。 しかし、ある時から状況は一変する。彼女を馬鹿にし嘲笑っていた人間が怯えたように見てくるのだ。 私、寝てる間に何かしました?

愛していました。待っていました。でもさようなら。

彩柚月
ファンタジー
魔の森を挟んだ先の大きい街に出稼ぎに行った夫。待てども待てども帰らない夫を探しに妻は魔の森に脚を踏み入れた。 やっと辿り着いた先で見たあなたは、幸せそうでした。

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

処理中です...