愚かな勇者(ピエロ)の末路

ロシキ

文字の大きさ
12 / 13

明らかにされていく名の由来

しおりを挟む
「は?一体、何を言っているんだ?」

僕はサファイスの言葉を理解出来ずに、素で聞き返した。
しかし、そんな僕の様子にサファイスは「バッ」という効果音が付きそうな様子で僕に背中を見せた。

そして、自分の目的を誰かに語るように話し始めた。

「私が人間の町で食べ歩きをしつつ、有り余っている時間と金を無為に使っていると、ある吟遊詩人小うるさい蠅が、魔王を倒し初代勇者と呼ばれた者の話を、こう語っていた。

『人生とは誰かに意味を与えられものではない!!自分自身で、自分の生に意味を与えてこその人生なのだ!!』とな?
これは初代勇者の言葉らしいが、それを聞いて私は思ったんだ。

『お前が得意げに語っている初代勇者も、魔王から偽物エセ魔王を倒し、私達が人間社会に溶け込み、暇つぶし遊びを楽しむために生涯奔走したのに、それは人生ではないのか?』とな。

そして、こう疑問に思った。
『つまり他者から与えられた意味を知っていたは駄目なのか。それならば他者から意味を与えられたのを気付かずに、与えられた意味通りに生きている人間の生は人生ではないのか?』とな」

僕はそこまで聞いても、サファイスが何を言いたいのか分からなかったし、サファイスの貴族令嬢とは思えない動きと話し方に大いに戸惑った。

なにせ、サファイスは社交界で『完璧な淑女』と呼ばれるほどにマナー等が完璧で、誰かに嫌みを言う時も遠回し過ぎるために、しっかりと貴族の言い回しを勉強していなければ反応出来ない事もある。

それにサファイスが『完璧な淑女』と呼ばれたのは、自分自身を含めて『完璧では物』を全て嫌うからだ。
勿論、些細な間違いや逆に大きな間違いでも、相手が本当に反省していればサファイスも特に何もしないが、相手が反省せずに居るとその相手どころか相手の家ごと、正規の手段で破滅させる。

そんなサファイスを知っている僕が、サファイスの言動に戸惑っているのもお構いなしに、サファイスは話を続けた。

「だから実験することにした。何も知らずに生まれてくる赤子に生まれる前から秒刻みの行動を強いてな。

その証拠としてお前の名前は私が決めたのだ。本来ならば古代語や何処かの言語から、同じ意味の言葉を付けようとしたが止めた。

何故私がそれを止めたかわかるか?」

僕はサファイスの言葉を聞いて、サファイスが何をしたいのか分からなかったが、僕の名前の話も気になったので、素直に「分からない」と答えた。
素直に答えた私の言葉を聞いて、サファイスはこちらを振り返り、口を三日月型に歪めてから言った。

「さっき言っただろう?お前の自身に、お前の人生に、お前の存在に、意味を与えるのは私だ。私だけが、お前に意味を与えるからだ。それならばお前の名に、お前の人生にはある1つの意味を除いて、他の意味は必要ない。

何故なら、お前は富も、名誉も、女も、その他にお前が手に入れたと思っているものは全てが私が与えた物だからだ。

お前の存在意義は、ただ一つ。私を楽しませる事。分かったか?レネ・マースレ、







略して君?」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します

白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。 あなたは【真実の愛】を信じますか? そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。 だって・・・そうでしょ? ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!? それだけではない。 何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!! 私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。 それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。 しかも! ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!! マジかーーーっ!!! 前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!! 思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。 世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。

【完結】あなたに知られたくなかった

ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。 5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。 そんなセレナに起きた奇跡とは?

サレ妻の娘なので、母の敵にざまぁします

二階堂まりい
大衆娯楽
大衆娯楽部門最高記録1位! ※この物語はフィクションです 流行のサレ妻ものを眺めていて、私ならどうする? と思ったので、短編でしたためてみました。 当方未婚なので、妻目線ではなく娘目線で失礼します。

とある令嬢の断罪劇

古堂 素央
ファンタジー
本当に裁かれるべきだったのは誰? 時を超え、役どころを変え、それぞれの因果は巡りゆく。 とある令嬢の断罪にまつわる、嘘と真実の物語。

真実の愛は水晶の中に

立木
恋愛
学園の卒業を祝うパーティーの最中、レイシア・マレーニ侯爵令嬢は第三王子とピンク髪の女、その取り巻きたちによって断罪されようとしていた。 しかし断罪劇は思わぬ方向へ進んでいく。 ※AIイラスト使用 ※「なろう」にも重複投稿しています。

もしかして寝てる間にざまぁしました?

ぴぴみ
ファンタジー
令嬢アリアは気が弱く、何をされても言い返せない。 内気な性格が邪魔をして本来の能力を活かせていなかった。 しかし、ある時から状況は一変する。彼女を馬鹿にし嘲笑っていた人間が怯えたように見てくるのだ。 私、寝てる間に何かしました?

愛していました。待っていました。でもさようなら。

彩柚月
ファンタジー
魔の森を挟んだ先の大きい街に出稼ぎに行った夫。待てども待てども帰らない夫を探しに妻は魔の森に脚を踏み入れた。 やっと辿り着いた先で見たあなたは、幸せそうでした。

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

処理中です...