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1章 王国編

22話

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その問題とは父が当主代理という立場で、フロービス伯爵家当主であることを証明する印章を書類に使用していた事。

印章とはそれぞれの貴族毎に違いがあり、更に当主の印章と当主代理の印章にも違いある。
他にもルールや使用する物の違いとかも、色々とあるがもっと大事なルールは、当主の印章自体を当主以外が管理又は所持する事は良いが、それを使用した場合はその使用した人間と使用に気が付いていた人間は処罰されるということ。

しかも、使用された印章が高位の貴族家であればあるほど、その処罰は厳しくなり伯爵家以上では拷問の後に、公開処刑される事が多い。

そして、これがバレた時に慌てふためいたのが、何故か同席していた人間だ。
逆に使用した本人である父は慌てふためくどころか、堂々と使用したことを認めたのだ。
しかも、父はその時に「自分が当主なのだから、印章を使って何が悪い」とか言い放ったらしい。
正直に言って、この父が当主だったのにフロービス伯爵家は良く8年も残っているものだと、この話を聞いたときに思った。

そして、慌てふためいた他の立ち会っていた人間達も、ちょっと拷問するとすぐに吐いたらしい。
どうやら金を握らされて印章を使ったのを見逃したらしい。
普通に馬鹿だと思う。

その為、この3人と父の処罰は既に確定されたが、やはり問題は私の妹の出生だった。
印章の件までは調査開始から2日で、ほとんど終わったと聞いたのが、調査開始から6日目の午後だった。

そして、この時点で妹の出生に関する事は、一切調査開始が進んでいなかった。
というのも、どうやら妹の本当の母親である父の愛人は、騎士団がフロービス伯爵家に踏み込んだ時点で、たまたま買い物に出ていて屋敷に居なかったらしい。
その後は王都をくまなく探し、捜査開始から2日目の昼頃に愛人の死体がスラム街で見つかった。

初めは、騎士団の動きを嗅ぎ付けて逃げ出そうとしたのに失敗したために裏の人間に殺されたとか、他国の人間に殺されたかと騒がれたらしい。
しかし、その3日後にスラム街のトップに立っている人間(貴族ではない)が数十人の部下と数人のボコボコな人間を連れて、調査中の騎士団に声をかけたらしい。

なんでも、「貴族には手を出さないという不文律を破った愚か者共は生かして渡し、俺達も事情を話すので、スラム街を潰さないで欲しい」という言葉付きだったという。

父の愛人は、騎士団がフロービス伯爵家に踏み込む当日に、私の褒美に貰う金で目が飛び出るほど高い、オレンジダイヤモンドを買いに行き、その帰りにフロービス伯爵家に踏み込む騎士団を発見。
そのままの足で、唯一門を通らず王都を出入り出来ると噂がある(実際には王都はスラム街を含めて壁に囲われているので、そんな場所はない)スラム街に向かい、オレンジダイヤモンドなんて付けていた為に物取りに襲われたというのが真相だった。
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