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1章 王国編

23話

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父の愛人がスラム街で物取りに殺されのは、なんとも思わない。
しかし、私の褒美で得られる金銭を期待してオレンジダイヤモンドを買った馬鹿が殺され、一番困ったのは私の妹が私の妹ではない事を確かめられなくなった事である。

しかも、この世界では誰が誰を産んだなど、産んだ本人とそれを直接見ていた人間しか分からない。
その為、産んだ本人に死なれ、他の産むのを補助した者達が見つからないとなると大変困った事になり、それが調査の現状と言える。

その事を他の騎士達が焦った様子で、アタフタしているのを見ていたフィーナが、たまたまそれを話題にしなければ調査はもっと伸びていたと思われる。

そもそも私は調査開始が開始されてから王城で、ずっと軟禁状態だった。
まあ、軟禁状態と言ってもフィーナが殆ど付きっきりで護衛をしてくれるし、不本意ではあったもののヨーティス侯爵が1日の3分の1程はお茶をしていくし、それ以外では堂々と使えるようになった右目の魔眼の訓練をしているしで意外と退屈はしなかったので、短い休暇のようなものだと考えれば、そこまで苦痛も無かった。

フィーナが私の妹が私の妹では無いと証明するのに手間取っていると話したのは、仕事に真面目だったフィーナが私とヨーティス侯爵のゴリ押しでお茶の席に座らされるようになった2日目だった。

前日に引き続きお茶の席に座らされ、ちょうど話題が無くなったタイミングでフィーナは話しだした。

「そういえば、フロービス嬢。例の件の調査ですが、どうやら長引きそうですよ」

「長引きそう?どうして?いくら裏付けの調査をしなければいけないとはいえ、裏付けの調査さえ済んでしまえば、後は関係者全員にそれぞれ質問して終わりでしょ?」

「あぁ、調査が長引きそうなのは私も知っているわ。なんでも、愛人はスラム街の物取りに殺されて、他の出生に立ち会った者達が死亡しているか、他国にいる者が多くて調査が進まないとか」

「調査が進まない?それなら私の父に質問すればいいんじゃないの?どうせ双子という書類を作ったのが父なのだから、自分の子が双子か双子じゃないかくらいは分かってるでしょ?」

私がそう言うと、2人は動きを止めて私を見た。
私を見る目には確かに驚きとその手があったかという納得が見て取れた。

「まさか、私の父は書類偽装ではなくて、フロービス伯爵家の印章の不正使用で調べられているの?元々は私が双子ではないのではないかという調査なのに?」

私がそう質問すると、2人は気まずそうに目を逸らして頷いた。
私はそれを見てため息をつきながらも、私自身も確かに騎士団なら貴族の子が双子かどうかよりも、印章の不正使用の方に目がいってしまいそうだと思ってしまった。
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