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番外編 『王国学園』編
18話
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「それにしても終始睨まれていましたね。探りますか?」
本日の講義が全て終わり、伯爵家の屋敷に馬車で帰っている時に、フィーナが質問してきた。
フィーナが言っているのは、私に話しかけて来た魔眼所持者の事だ。
あの魔眼所持者は、私に倒されてからは私達に声を掛けてくる事はなかった。
しかし、あの男は私に倒されてから、明らかに他の生徒や魔眼所持者達から侮られていた。
明確な言葉にされていた訳では無いが、各々の行動の所々から感じ取れた。
それは、あの魔眼所持者にしてみたら、相当に屈辱な事だったのだろう。
その屈辱を私達のせいだと思い込んでいたのか、講義中は終始こちらを睨み付けていた。
しかし、私達にはそんな事は関係ないので、ずっと無視したし、伯爵家当主の私に手を出す度胸があるとは思えなかった。
それでも絶対は無いということは分かっていたので、私はフィーナの言葉に頷いた。
「そうだね。いくつかの情報屋をあたらせて、情報を集めておいて」
「承知しました」
「それとフィーナ、そろそろ私と一緒に城に行きましょうか」
「城へ?
っ!!私が王国騎士団に所属している件ですか?」
フィーナは首を捻ってから、すぐに理由に気がついたらしい。
そう、フィーナの立場は私の護衛。
しかし、私個人又はフロービス伯爵家が雇っている護衛ではなく、あくまでも王国騎士団に所属している騎士フィーナが、私を護衛しているという形になっている。
そのお陰で、フィーナは馬鹿や第二王子にも物を言えるが、そのままで居ては、何かの拍子にフィーナが護衛から外される可能性もなくはない。
その可能性を消すために、フィーナを王国騎士団から除隊させた後、私が個人的に雇い直す必要がある。
しかし、それによる効果を知っているフィーナは顔を顰めながら言った。
「ローニャ様、私を除隊させようとしている理由は理解しています。しかし、それでは新たな護衛が回されるだけでは?」
「いえ、そっちは考えてあるわ。後はフィーナが王国騎士団を除隊したいか、したくないかの確認だけ。
フィーナはどうしたい?」
私が問い掛けると、フィーナは数秒固まってから、真剣な表情で私を見た。
「可能ならば除隊させて頂き、ローニャ様個人の護衛とさせて頂きたいです」
「フロービス伯爵家の騎士団に入ることも出来るけど、私の護衛で良いの?
フィーナが護衛をする以上は、通常の護衛以上に給料は出すつもりだけど、騎士団に居たほうが扱いは良いよ?」
「いえ、それで無駄に縛られては本末転倒ですので」
「そう、それなら明日にでも王城に向かいましょうか」
私の言葉に、フィーナは驚いた様な顔をした。
そんなフィーナに肩を竦めながら言った。
「まあ、明日は通常の講義があるから、学園を休む事になるけど、馬鹿と第二王子が居る王城よりは、居ない王城の方が良くない?」
「なるほど、確かに」
本日の講義が全て終わり、伯爵家の屋敷に馬車で帰っている時に、フィーナが質問してきた。
フィーナが言っているのは、私に話しかけて来た魔眼所持者の事だ。
あの魔眼所持者は、私に倒されてからは私達に声を掛けてくる事はなかった。
しかし、あの男は私に倒されてから、明らかに他の生徒や魔眼所持者達から侮られていた。
明確な言葉にされていた訳では無いが、各々の行動の所々から感じ取れた。
それは、あの魔眼所持者にしてみたら、相当に屈辱な事だったのだろう。
その屈辱を私達のせいだと思い込んでいたのか、講義中は終始こちらを睨み付けていた。
しかし、私達にはそんな事は関係ないので、ずっと無視したし、伯爵家当主の私に手を出す度胸があるとは思えなかった。
それでも絶対は無いということは分かっていたので、私はフィーナの言葉に頷いた。
「そうだね。いくつかの情報屋をあたらせて、情報を集めておいて」
「承知しました」
「それとフィーナ、そろそろ私と一緒に城に行きましょうか」
「城へ?
っ!!私が王国騎士団に所属している件ですか?」
フィーナは首を捻ってから、すぐに理由に気がついたらしい。
そう、フィーナの立場は私の護衛。
しかし、私個人又はフロービス伯爵家が雇っている護衛ではなく、あくまでも王国騎士団に所属している騎士フィーナが、私を護衛しているという形になっている。
そのお陰で、フィーナは馬鹿や第二王子にも物を言えるが、そのままで居ては、何かの拍子にフィーナが護衛から外される可能性もなくはない。
その可能性を消すために、フィーナを王国騎士団から除隊させた後、私が個人的に雇い直す必要がある。
しかし、それによる効果を知っているフィーナは顔を顰めながら言った。
「ローニャ様、私を除隊させようとしている理由は理解しています。しかし、それでは新たな護衛が回されるだけでは?」
「いえ、そっちは考えてあるわ。後はフィーナが王国騎士団を除隊したいか、したくないかの確認だけ。
フィーナはどうしたい?」
私が問い掛けると、フィーナは数秒固まってから、真剣な表情で私を見た。
「可能ならば除隊させて頂き、ローニャ様個人の護衛とさせて頂きたいです」
「フロービス伯爵家の騎士団に入ることも出来るけど、私の護衛で良いの?
フィーナが護衛をする以上は、通常の護衛以上に給料は出すつもりだけど、騎士団に居たほうが扱いは良いよ?」
「いえ、それで無駄に縛られては本末転倒ですので」
「そう、それなら明日にでも王城に向かいましょうか」
私の言葉に、フィーナは驚いた様な顔をした。
そんなフィーナに肩を竦めながら言った。
「まあ、明日は通常の講義があるから、学園を休む事になるけど、馬鹿と第二王子が居る王城よりは、居ない王城の方が良くない?」
「なるほど、確かに」
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