黒色の令嬢と金色の側近

ロシキ

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1章 令嬢の決闘

15話 決闘

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会議室で私が決闘の件を広めたと話すと、国王陛下はフラフラと立ち上がったが、すぐにテーブルに両手を付き、暫くしてから言った。

「決闘は本日の正午に行う。それまでは王城で過ごすでも、構わない」

「承知しました。それならば1度、帰宅しようと思います。正午前には再び登城致しますので」

そう言ってから私達は城を後にした。
行きの馬車と同じように、中の音が聞こえてないようにしてから、ニードレッドと話し始めた。

「予想よりも王妃様が静かだったわね。何時もなら、もう少し騒ぎそうなのに」

「そうですね。それに正午から決闘が開始されるというのも妙です。通常であれば、ルールや決闘後の予定も含めて様々な事を決めてから、明日か明後日に決闘が行われるというのが一般的ですからね」

「ええ、正午からだというのなら、屋敷に着く頃には決闘まで1時間半ほど。ノーザス公爵家とトーテクス公爵家の屋敷は、王城までの距離が大体同じだから、王妃様経由でモーテクス公爵家が準備するとしても、そこまで大掛かりな準備は出来ない筈なのに、決闘を正午からにした。

一体何を仕掛けてくるのか、想像出来わないわね」

「私の『異能』で確認しますか?」

「・・・いいえ、しなくて良いわ。決闘がどんな形になるかは分からないけど、ニードレッドは消耗するべきではないわ。

それに今日中に屋敷が襲われる未来は見えなかったのよね?」

「はい、そうです。一応、屋敷の外で8箇所、屋敷の中で16箇所は見て回りましたが、異常は見られませんでした」

「合計で24箇所の未来を見たというわけね。それなら見た時間の長さから言って、まだ消耗が残ってるわよね?」

「はい、無視できる程度までは、披露が抜けていますが完全に抜けたかと聞かれると」

「そうよね。それなら、それ以上は見なくていいわ。でも決闘が終わってから、私達が無事に屋敷に帰ってから、数箇所だけ見ておいてくれる?」

「はい、分かりました」

そんな話をしながら馬車に揺られ、何事もなく屋敷に戻り、その後に再び王城へと戻り、屋敷以外で何かを仕掛けてくるのではないかと警戒していた私とニードレッドは呆気にとられるほどに何事もなく、決闘の場に立っていた。

決闘の場は王城にある観覧席付きの訓練場だった。
そして、その観覧席には私が情報を流した全ての貴族達がかなり集まっていた。
昨日『情報屋』を使いパーティー会場に居た者が居る家には情報を流したのだが、流石に昨日の今日では情報を流した貴族達(全体の4割から5割ほど)しか集まらなかったか。
情報を流した貴族達が更に情報を流して、貴族全体の8割くらいは集まって欲しかったけど、仕方ないか。

そして、私達の目の前にはボロボロの服を着ている8~9歳前後の年齢に見える男女が立っていた。

「ではこれより、ノーザス公爵家の名誉を賭け、ルーク・エリステン第一王子殿下並びに『アリス・アスレイク嬢』の代理対ローザ・ノーザス公爵並びに『異能者』ニードレッドの決闘を開始する!!

今回は2人組ペアで戦いどちらかが一瞬でも戦闘不能又は死亡になった時点で決闘を終了、戦闘不能になった方の負けとする!!

双方異論はあるか!?」

これを宣言したのは騎士団長だ。
通常のルールならば禁じ手があったり、死亡すると見なされる攻撃を受けまりしたら決着なのだが、今回はニードレッドという時間操作が出来る人間が居るので、一瞬でも戦闘不能になったらという文言が追加された上に、禁じ手がないのだろう。

私達が頷いてから、馬鹿の代理で出てきた男女はコクリと頷いた。
それにしても目の前の男女は、何故馬鹿の代理になれたのか意味がわからない。

そもそもモーテクス公爵は汚いものが嫌いで、平民達の事も下賎な民と言って蔑み、内心では上位貴族家以外は貴族家として認めず、むしろ平民として扱っている程だ。
そんな人間が彼らを代理にする意味がー

「ローザ!!避けて!!」

ニードレッドの声が聞こえた次の瞬間には私の体の自由がなく、地面に膝を付いていた。
それを認識してから、すぐに『異能』を発動させて私を『染め上げ』て難なく、その場から飛び下がった。

私が着地するのとニードレッドが私の元に来たのはほぼ同時だった。
ニードレッドは私の元まで来ると、私を抱き上げ走り出した。

「ローザ様!!大丈夫ですか!?決闘が始まっているのに、ただ立っているだけだなんてローザ様らしくありませんよ!?」

「ごめんなさい、ニードレッド。でも、もう大丈夫」

私はニードレッドにそう言ってから、『異能』を発動させて相手の2人を即座に殺した。
それと同時にニードレッドは私を抱き上げながら走るのを止めて、その場で止まった。

「ルーク・エリステン第一王子殿下の代理である2人が死亡した事を確認しました。よって、此度の決闘はローザ・ノーザス公爵の勝利とす『待ちなさい!!』」

審判である騎士団長の言葉を遮ったのは、王妃様だった。
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