異世界チートスキル持ちの奴隷は逆異世界転移させられる

ロシキ

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1章 逆転移編

2話 奴隷は異世界転移させた先で開放される

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「そうだ、異世界だ。それともう時間がないのでな。詳しくは強き者に持たせる物に書いておく。それ読み、理解してくれ。

それでは行くぞ」

「は?え、ちょ、展開が早い!!もう少し話をー」

「悪いが世界崩壊まで時間がないのだ。許せ。【神獣:不死鳥が力と権限をもって、この者の望む世界に転移させよ】」

不死鳥(美女)が俺に手を向けて、そう言うと俺の光出して、数秒後には地面が消えて落下が始まっていた。

落下し始めたことに気が付き、下を見ると地面がとても遠かった。

「は?」

その事に気が付き、呆気にとられたが、このままだと死ぬというのは理解出来る高さだったので、とりあえず一番最後に食べた飛べる魔物の肉体に体を変身させた。
すると、突然体から炎が溢れ出した。

「っ~!?」

俺は突然体から炎が溢れ出した事に声にならない悲鳴を上げてしまった。
というか正確に言えば声が出せないので、声がない悲鳴になった。

しかし、そんな悲鳴を上げてしまっている間に、頭では体の使い方がなんとなく理解出来た。


俺が初めての体の使い方を理解出来たのは『暴飲暴食』の効果の1つ、変身の効果が少し変質したためだ。

俺は奴隷になってから様々な物を食わされた。
貴重な物や値段が高い物、毒があるものなど、とにかく食べてないものは殆どないと言える程に食わされた。

その中の一つに、物に触れれば、その物の使い方を理解出来るスキルを持っていた人間の死体が入っていたのだ。
それを食わせたのは王太子で、死んだ人間は過労死したから俺に代わりをやれと命令された。

しかし、俺がその人間の死体を食わされても、スキルまでは取り込みきれず、ぼんやりとしたつかい使い方が分かるという程度だったのだ。
俺の『暴飲暴食』は固有スキルなので、スキル持ちの死体を食わされればスキル毎取り込める。

なので、何故取り込みきれないのかと思いながら『命令に従いきれません』と報告すると、王太子は慌てて調査し、死んだ人間が待っていたのは、ただのスキルではなく固有スキルだったことが判明した。

それが判明してから、固有スキル持ちを過労死させた王太子は、それはもうきつい罰にあったが、性根は直らなかったらしい。
なにせ、俺も使い潰されかけてるし。


話が逸れたが、俺は『暴飲暴食』が唯一取り込みきれない物が固有スキルだというのが、この事から分かったので、神獣を食うのは反対だった。
何故なら、神獣という存在自体が固有スキルの様なもの、またはそれ以上の存在であると理解しているからだ。
まあ、それでも取り込めたのだから、俺の『暴飲暴食』はおかしいスキルなのだろう。

とにかく、飛び方が分かったので不死鳥の体のままで態勢を立て直して、空を飛んだ。


体を実際に動かすことで、体の使い方を完全に理解してからはゆっくりと地面に降りていった。

そして、地面に足が付くと不死鳥の体の性質だけを維持して、人間の体に戻り、不死鳥の体の性質で出ていた火だけを引っ込めた。

不死鳥というのは意外と便利で、火が体から放出していないといけないのは、飛ぶときと生き返るときだけなので無駄に物を燃やしたりしない。
しかも、飛ぶと時と生き返る時だけ火を体から小さく放出しておけばいいので、やろうと思えば人の体のままで空を飛べるし、死んだあとも勝手に体から火が出て、その火の中から復活できる。

不死鳥の能力が強すぎて、戦闘の時の俺はどうやって不死鳥を一時的にとはいえ殺して、更には肉まで食ったのか知りたくなってしまった。

因みに、不死鳥との戦闘中は無駄な思考が完全に削ぎ落とされていたので、不死鳥との戦闘を記憶しておくという事も出来てなかった。


思考を戻し、上空から周りを見ても見覚えがある景色がない。
そもそも不死鳥の巣は火山だったので、山すら近くに見えないのでは不死鳥が言っていた『異世界』とやらも本当なのかもしれない。
というか、『異世界』というのは、『異界』と違うのだろうか?

とにかく、ここが何処なのな分からない以上は、ずっと飛んでおく訳にはいかないので地面に降りたが、上空から見限り、周りにある建物?にあるのは魔物の根城ばかりだろう。

というか、王城でも上には5階まで作って、残り階は中を殆ど作らないことでなんとか保っていたようなものだった。
因みに、そんな5階から上には俺から手に入る素材を大量に使って未だに建設途中だった。

まあ、俺の体は王城と比べたら小さいし、仕方ない。
いや、俺を素材にしたこと自体は仕方無くないし、許さないけどね?

思考が逸れてしまったが、王城でも5階から上は見た目重視で作っただけで使えない物だったのに、周りの建物らしき物の幾つかは背が高すぎじゃないか?
しかも、どの建物もヒビが入ったり、蔦に覆われたりしているが、それさえ気にしなければ5階よりも上も入れそうだ、あれで崩れたりしないのだろうか?

いや、立っているのだから崩れたりしないのだろう。
そんな事を考えていると、頭に結構な勢いで何かが落ちてきた。

「あいた」

突然走った小さな痛みに頭を手で摩りながら、頭に落ちてきたものは何かと足元を見てみれば俺の頭と同じくらいの大きさの白い袋があった。
その袋を拾いながら、自由に話せるのが嬉しくて(奴隷時代は思考が制限されていたので、まともに話せなかった)、ついつい独り言を零してしまう。

「神獣の体でも痛いものは痛いんだな。いや、不死鳥の概念である火を出していれば、痛くないんだろうけどね?」

そんな独り言を零しながら、袋の口を開けた。
すると、服から白い光が放たれて、その光が俺を包み込んだ。

がシャン!!

そんな音がしてから、暫くして白い光が消えた。
何が起きたのか、首が軽くなったのでなんとなく分かったが、それでも信じられず再び足元を見た。

すると、足元には奴隷の首輪が落ちていた。
奴隷の首輪とは全ての奴隷がしているもので、主人の命令を強制的に聞かせる魔導具である。
これを外せるのは主人と魔導具の制作者本人だけだと知識で知っていたが、何故外れたのだろうか?

いや、そんな事よりも奴隷の首輪が外れたということは、俺はもう奴隷では無いという事であり、これからは完全に自由という事か。
それを理解して、空を見上げてしまった。

「これから、どうしようかな」
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