異世界チートスキル持ちの奴隷は逆異世界転移させられる

ロシキ

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1章 逆転移編

14話 元奴隷は魔物の食べ方を教える

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ムタイと同居する事に決まってからは、色々と常識を教えてもらいつつ、俺は魔物の食べ方を教えた。

「なるほど、魔物を食うには解体して魔石を抜いてから3時間放置する必要があったのか。魔石を抜くまでは試していたが、3時間も放置はしていなかったな」

「ああ、魔力は生物毎に質が違うからな。人は自分達よりも圧倒的に弱い魔力を持っている豚や鳥、牛なんかの家畜は普通に焼けば食える。

だが、魔石という魔力の核を持っている魔物の肉体には、それぞれが持っている魔力が流れ込んでいるんだ。人間はその魔力を処理せずに食うと毒になる。

だが、手足と頭、胴体を切り分けてから、魔石を抜いて、3時間放置することで肉体に流れている魔力を抜くことが出来る。まあ、解体せずにそのまま放置してもいいが、それだと1日掛かるからな」

「そんなの分かるわけが無い。最初のこそ、魔物の生態を知るために解体していたが、今は倒しても魔石を抜き、必要な素材を解体して、後は焼いて処分するだけだからな。

今回の事が分かっただけでも、中々荒れそうだ」

ムタイが言った『荒れる』という言葉の意味が分からず、首を傾げた。

「荒れる?なんでだ?」

「ん?ああ、元々放置するという案は出ていたが、それで食べれるかどうかは、実際に食べなければ分からない。だが、魔物の肉は食べると最低でも腹を下すし、最悪の場合は倒れてしまうからな。何回も食べたい人間は居ない。

それを曲げて食べろと言うのだから、荒れる。更に食べれたとして、なんで今まで気が付かなかったのかと研究班に非難が向くかもしれん。まあ、研究班は最近では魔導具の方に注力し過ぎていたから、いい薬にはなるかもしれないが」

「研究班なんてあるのか。という事は、ムタイの白い杖2本も研究班が作った物か?」

「いや、この2本は名付きネームドが落としたドロップだな。私しか、まともに扱えなかったから私が使っているが」

ムタイのドロップという言葉の意味が分からなかったので、あとで聞くことの中に入れて、どんな効果なのかを聞いた。

「ふぅ~ん。どんな効果なんだ?」

「効果か。簡単に言えば、自身の手が増えたような物だな。

この杖には『共鳴』というスキルがある。そのスキルで私と杖が繋がっていて、杖が私自身の様になっているんだ。更に『浮遊』というスキルも付いてる。

そのスキルで杖を浮かし、敵に接近させる。そして『共鳴』というスキルで遠隔で、杖から魔法を発動させる。まあ、『浮遊』に『共鳴』のスキル、更に魔法を発動させるとなると、6つは別々の事を思考していなければならないから、敵の目の前でできることではないな」

「6つ!?お前、凄いな。俺は3つが限度だ。流石に戦闘中は2つが限界だ。それに、その効果だと確かにまともに使える人間は少ないだろうな。ただ、使えれば強いか」

「ああ、お陰で上手くやれば名付きネームドも倒すことが出来るよ。それはそうと、ヒロは何か武器は使わないのか?」

「俺が武器か。普通なら良いんだろうが、俺は不死鳥の炎を使うからな。下手な武器じゃあ溶けて使えないからな。それに奴隷時代は素手が基本だったから、今はそっちで慣れているしな」

俺の言葉を聞いて、苦笑いしつつ『なるほど』とムタイがつぶやいた後も、どんな戦闘が得意か、戦闘の際の2人で戦う際の立ち回り、その他にも一般常識の知識や俺の元居た世界の常識などを、夜遅くまで詳しく話し合った。




夜遅くまでムタイと話し合った後は、別々の部屋で寝て、今日は日が登る前に起きる事が出来た。
日が登る前に起きたのはムタイも同じで、『暴飲暴食』のスキルを説明していた事もあって、俺とムタイは手早く朝食を済ませた。

因みに、朝食は普通の人間の一食分だけ、ムタイが料理をしてくれた。
その料理は普通に旨くて、『苦手なことは無いのか?』と本気で考え込んでしまった。


その後は手早く出発準備を済ませて、家から外に出た。

「さて、それじゃあ。オークの群れが居たモールまで行くか」

ムタイがそう言って、体をほぐし始めた。
結構な距離があるが、ここから走って俺がオークの群れを倒した建物、ムタイいわくモールとやらに向う為だ。

しかし、不死鳥で飛んできたから、ここまでは早かったが、走って向かうとなるとかなり時間が掛かるだろう。
ムタイいわく、『朝早く出れば、頑張れば夜には着く』らしいが。

それでも1日走り続けるのは疲れるので、ムタイに一度却下された提案を再びしてみた。

「ああ、だがやっぱり飛んで行かないか?お前の杖を使えば、飛んでいけるだろ?」

「昨日も言ったが、走らないと実際の移動時間の計算が出来ないだろう?だから、行きだけは走らないと駄目だ」

俺はムタイの言葉に若干憂鬱なりながら、ため息をついてしまった。
そんな様子を見ていたムタイは苦笑いをしつつ言った。

「まあ、私も1日中走り続けるのは面倒だが、杖を飛ばすのは若干魔力を使うからな。いつ何があるか分からない以上は無駄な魔力消費は避けねばならないからな。ほら、そろそろ行くぞ」

そう言ってからムタイは走り出したので、俺はムタイを後ろから追い掛けた。

走る速度は、そこまで早くなかった。
ムタイならば、今の5倍以上は早く走れるだろうに、なぜ遅く走っているのだろうと思っていると、少しして生け垣で囲われた、この場所の出口でムタイは足を止めた。

それに釣られて俺も足を止めようとしたが、周りに魔物の気配がし、更にムタイに襲い掛かりそうだったので、即座に加速してムタイの前に躍り出た。
それと同時に周りから10匹のフォレストウルフ(森の中を住処とする狼の姿の魔物)が同時に襲って来た。

襲って来た間合いが魔法使いには不利な間合いだったので、両手から不死鳥の炎を出しつつ、ムタイを守りながら戦わなければならないことに舌打をした。

「ちっ」

俺が舌打ちをしたと同時に3匹のフォレストウルフが俺の間合いに入った。

フォレストウルフは上位種にならなければ魔法を使って来ないので、倒すのは簡単だ。
3匹の内、1匹は左手で頭を掴み、不死鳥の炎の火力を上げて噴射することで焼き殺した。
残りの2匹は右足に力を入れて全力で蹴ることで蹴り殺した。

それを見ても、残りのフォレストウルフは怯むどころか、こちらの隙を伺っていた。

(下手に同時に掛かってこられると面倒になりそうだ。それなら一気に片付けるか)

そう考えて、両足から不死鳥の炎を出した。
靴は駄目になってしまうが仕方ない。
俺が急に両足から炎を出したことに驚いたフォレストウルフ達はビクリと体を反応させて怯えの表情を見せた。

それを好機と捉えて一気に加速し、回し蹴りをしつつ、回し蹴りの勢いで不死鳥の炎をムタイが居る後ろ以外に噴射した。
それにより、フォレストウルフ達は不死鳥の炎に身を焼かれ苦しみ始めたので、俺は戦闘どころではなくなったフォレストウルフの頭を吹き飛ばす事で確実に殺していった。
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