黒いモヤの見える【癒し手】

ロシキ

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1章

6話 魔力の使い方

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「今なんて言った?」

「え、あ、すみません」

私があまりの心地良さにふわふわした感覚て居ると、エクス様が私の顔を覗き込んできて、質問してきた。

「『凄く、心地良い』、今そう言ったな?」

「す、すみません。
決して集中していなかった訳ではなくて」

私が慌てて否定すると、エクス様は悩んだ様に口を手で覆った後、エステールさんに指示を出した。

「魔力を止めて、手を離してみてくれ」

「エクス様、流石に早すぎるかと」

「ああ、流石に早すぎると思う。
だが、魔力の捉え方は人それぞれだが、1度感覚を掴めば使えるようになる者が多い。

特にアリアはジャックが取り出した魔道具から何かを感じ取っていた。
触れてもおらず、俺よりも離れた場所に居たにも関わらずだぞ?

ならば、今の短過ぎる時間でも感覚を掴んだ可能性は十分にある」

「それは、確かにそうですね。
分かりました。

アリアさん、今から手を離しますが、今の状態を維持出来るか試してみて下さい。
ただし、今の短時間では出来ない事が前提ですから、出来なくとも焦らなくて良いですよ」

そう言って、エステールさんは私の手を離した。
すると、エステールさんの魔力はすぐに消えて体は暖かくなくなり、私の魔力も感じれなくなってしまった。

そんな時にエクス様が、私に声をかけてきた。

「魔力を使う時は、一番初めに感じたイメージが大切だ。
だから、さっき『心地良い』と言っていた時の感覚を思い出して、自分の体がそうなる様にイメージしてみてくれ。

それと始めのうちはイメージしやすいように目を瞑るといいだろう」

そう言われたので、目を瞑って、さっきエステールさんに手を握られていた時の事を思い出してみた。

きっと魔力はとても暖かい物で、その魔力を理解する事で、私はお日様の下で寝転がってるみたいに暖かくなれる。

そんなイメージを暫く続けていると、実際に体が暖かくなってきた。
更にそのイメージを続けていると、体はどんどん暖かくなっていって、魔力が体の隅々で行き渡ったのが分かった。

その時、私の肩に何かが触れたので、目を開けるとエクス様が私を近くから見ていた。

「ひゃ!?」

「ああ、すまない、驚かせたな。

だが、魔力が使えているようだったからな声を掛けたのだが、集中していたのか気が付かれなくてな。
魔力の使い始めの最初は、誰でも加減が分からないから、早めに止めておこうと思ったんだ。

しかし、魔力を知覚するだけでなく、魔力を流せるとは驚いた。
正直、心臓周りの魔力が活性化する程度の事を期待していたんだが、これが真性の天才か」

「アリアは確かに天才のようですが、今はまだ感覚面の方でしょう。

エクス様は実戦面で天才ですし、研鑽を続ければ成人前には歴代でも最強に近い領主様以上の魔法使いになられていますよ」

「俺もそれは父上から言われているから研鑽は続けているが、目の前に天才が居ると、どうしても目を引いてしまう」

「まあ、その気持ちは分かります。
私も天才だなんだと持ち上げられた時期はありましたが、同世代に主任が居ましたから」

「ああ、それは仕方ないな。
あれは魔法狂いだから、同じ魔法狂いでないと追い付けないだろうよ」

「あはは、以前は対抗意識を向けていた時期もありましたが、私も年を取りましたかね。

さて、無駄話はここまでとして、アリアさん。
おめでとうございます。
無事に魔力が使えていますよ」

「ま、魔力を?
私が、ですか?

でも、魔法は使えていませんよ?」

「ええ、魔法は魔力が必要になる関係上、魔力が集まっている場所からしか発動出来ません。

しかし、逆に言えば全身に魔力を張り巡らせる事が出来れば、全身どこからでも魔法が放てるようになっています。
そして、この状態を30分間、自分だけで維持出来る様になった状態を、魔力が使えている状態と呼んでいるんです。

ですから、アリアさんは魔力が使えていますよ。
おめでとうございます」

「あ、ありがとうございます?
って、30分間も維持してませんよ?」

「いえ、アリアさんは集中していた為に気がついて居ないのかもしれませんが、既に30分経過しています。
かなり集中出来ていましたよ」

「そ、そうなんですか」

「ええ、さてアリアさんが魔力を使えるようになりましたし、予定よりもかなり早いですが、適性検査をしてしまいましょうか。

エクス様、アリアさん、領主様を呼んでまいりますから、少し待っていて下さい」

エステールさんはそう言ってから、部屋を出て行ってしまった。

私が領主様を呼んでくると言うエステールさんの混乱していると、エクス様が私に説明を始めた。

「魔法使いは最も多い【属性使い】でも貴重な存在だ。
特に常に魔物の襲撃を警戒しなければならない辺境では、最も強力な戦力になり得る。

だから、魔法使いの才能があり、まだまだ若いアリアは欲しい人材なんだ。
もちろん、最終的な決定権はアリアから、辺境伯家の魔法使いになりたくないなら断ってくれても構わない」

「へ?
えっと、お話を受けたら領主様が私を雇ってくれる、という事でしょうか?」

「ああ、相応の給金は出すだろうし、魔法使いの役割は基本的には城壁上からの魔法攻撃が多いから、前線の兵士や騎士に比べると危険は格段に少ない。

ただし、それでも格段に少ないだけで、絶対に危険がないとは言えないし、飛行能力がある魔物は魔法使いを優先的に狙ってくる傾向が強いから、魔法だけでなく近接戦の能力もある程度は鍛える必要がある。

ただその分、兵士や騎士と同じか、それ以上に様々な事で優遇される事があるから悪い提案にはならない筈だ。
まあ、他の貴族家に伝があるなら、そちらを頼るのも悪い手ではないが、伝はあるか?」

「い、いえ、他の貴族様に伝なんてありません。
両親は辺境から出た事が無いそうですし」

「そうか、それならドーラス家の魔法使いになってくれるなら嬉しい。
同年代の魔法使いは、流石にまだ居ないからな」

「ドーラス家?」

「うん?
ああ、そういえば、まともな自己紹介すらしていなかったか。

俺はエクス・ドーラス、この辺境を収め、王国の盾であり続けているドーラス辺境伯家の第一夫人、サラ・ドーラスの子供であり、【属性使い】の魔法使いだ」

「え、あ、はい。
えっ、えっと、私はアリアです。
学校後の見習いのお仕事はまだ決まってません」

「そうか、そう言えば学校は卒業前にどこで見習いをするか決めるのだったな。
そういう意味では、アリアの見習い先が決まっていない事は僥倖だな。

決まっていると、そちらにも根回しをしないといけなかったし」
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