黒いモヤの見える【癒し手】

ロシキ

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1章

10話 1週間後

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「そのまま全身に流している魔力を維持しろ。

とりあえずの目標まで後5分だが、魔力切れ前を起こしかけていると判断したら止めるからな」

「は、はい!!」

私は今、魔力を使う、つまり魔力を体中に流し続ける訓練をしている。
最終目標は1時間の間、常に魔力を使い続ける事で、今日の目標は45分の間、魔力を使い続ける事。
そして、今は既に40分が経過していた。


私は、私の適性検査があった次の日からエクス様と魔法に関する訓練をしている。

訓練初日は、私の基礎的な部分の限界を、簡単な試験で探っている感じだったものの、魔力を使う訓練は既に始めていた。

初日では出来るだけ長く魔力を使い続けるように言われて33分の間、魔力を使い続ける事が出来た。
30分くらいまでは何も考えずに使っていても、ただ心地良いだけだった。
でも、31分を過ぎると急に苦しさを感じ始めて、それから1分もせずに体が重くなり始めて、最後の1分は意地で魔力を使っていた結果、最後は魔力を使う事が出来なくなった。

その時は魔力を感じるどころか、ただ息をするのも辛く感じた。
それが暫く続いてから、少し楽になったタイミングでエクス様が説明してくれた。

エクス様いわく、私のあの状態は、魔力切れの状態なのだという。
魔力切れとは、その人が持っている魔力がほぼ無くなった時になる状態で、この状態になるとまともに動けなくなるらしい。

エクス様は『だからこそ、魔法使いには自身の限界を知っておく必要がある』と言った。
私は魔力切れになる前に教えてくれても良いんじゃないかと思ったけど、私の不満は顔に出ていたらしい。

エクス様は不満が顔に出ていた私に、『1度は実際に体験しなければ後々困るのはアリアだ』と言った。
それを聞いて、確かに実際に体験するのと、話に聞くだけの違いは、学校で魔物を始めて見た時にも感じので、言い返せなかった。

しかし、エクス様はその後に私を褒めてくれた。
なんでも普通の魔法使いがで魔力を使い続けると5分も持たずに気絶する者が大半らしい。

全力という部分に首を傾げていると、エクス様は私が魔力を使っている時は常に全力なのだと言った。
この全力とは、魔力を効率を考えずに使っている時の事で、例えるならそれまでに貯めたお金を後先考えずに使い続けている状態らしい。

こればっかりは言葉よりも感じた方が良いと言われて、エクス様が私に魔力を送り始めて、初めて実感した。

エクス様は魔力を流し始めた時はすごく少ない魔力を流していたものの、次第にその魔力は増えた。
エクス様が全力だと言った時の魔力は、エステールさんが私に魔力を流した時の何倍も多くて、とてもびっくりした。

それからエクス様は私に魔力のコントロールを磨くように言った。
ただ、これはとても簡単ではあるものの、とても地味なもので、ただ全身に流していた魔力を少なくする訓練だった。
しかし、この訓練はコントロールを鍛える為に、魔力を使っているので魔力総量を増やす訓練も兼ねている。
その為、魔法使いが行う訓練の中で、最も重要で、基礎的な訓練だと教えられた。

訓練初日から今日までの6日間で、魔法使いの基本的な立ち回りや魔法発動のイメージに必要な知識の勉強、魔力を使い続ける訓練等を行った。
午前は知識面の勉強がほとんどで、午後は逆に実際に体を使っての訓練が多く、毎日とても疲れるけど充実していた6日間だった。

特に魔力を使い続ける訓練では、毎日2分づつ魔力切れまでの時間を伸ばせている。
エクス様は『魔力をコントロール出来るようになれば、俺と同じように3時間は魔力を使い続けられるようになる筈だ』と言っていた。
ただ、まだ連続で1時間も使い続けられない私には、とても遠く感じられた。

だって、魔力切れになる直前もすごく辛い。
それに魔力切れはもっと辛い。
だから、正直に言えば好きで魔力切れやその直前になりたい訳じゃない。

それでも私の訓練中はずっとエクス様は魔力を使って総量を増やそう訓練をしていて、時折魔力切れになって辛そうな顔をしている。
でも、エクス様は私よりも、ずっと前から辛い事を続けて、3時間も魔力を使い続ける事が出来るようになっている。

なんで、あんなに辛い事をずっと続けられるのだろう?
私だって、エクス様が付けてくれたデザートが無いと頑張れない。


そんな事を考えつつ魔力を使っていると、エクス様の声が飛んできた。

「魔力の流す量が増えてきたぞ!!
残り1分だから気合を入れろ、今日も時間を伸ばせたら食事に甘い物が付くぞ!!」

「は、はい!!」

私はエクス様の言葉で、更に集中しつつ『蝶の館』での事を思い出した。


私が適性検査をした、その日に私の『蝶の館』での生活が始まった。
『蝶の館』はとても広くて、学校と同じかそれ以上に綺麗だった。

館には色々な人が居たけど、ほとんどの人が何かしらの才能を見込まれるか、認められている人ばかりだった。
どちらでも無い人も居たけど、それは見込まれたか認められた人の家族で、その人達が『蝶の館』の様々な事を分担していた。

私の両親も、エステールさんに説明された時は商人協会を辞めるのを嫌がっていた。
でも私に魔法使いの才能があると分かると、すんなりとエステールさんの言葉を受け入れて、1週間以内に商人協会を辞めて、『蝶の館』の管理に回る事を決めた。

なんで急に意見が変わったのかと思っていると、お母さんの友達の中に魔法使いの才能がある子が居た事があるから、保護されていない魔力の多い子供は危険なのだと知っていたらしい。

その後は、エステールさんも『蝶の館』に住んでいたので、エステールさんも含めて食事をした。
その時は普通の食事で甘い物も無かった。

しかし、その次の日から始まった訓練での私の疲弊具合を見たエクス様が、訓練の休憩中に甘い物を食べさせてくれた。
甘い物なんて、早々食べられないので目を輝かせて味わっていると、エクス様が『その日の目標を達成出来たら、その日の夕食に甘い物を付けよう』と提案してきた。

その提案で火が付いた私は、ここ6日間の訓練では頑張って目標を更新し続けている。
そして、それは今日も続いた。
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