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1章
37話
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私がどうすれば良いか分からずに止まっていると、領主様に声を掛けられた。
「私はもう完治しているから、エクスとドリスに魔法を使ってくれ」
「はい」
私は領主様に最低限の返答をしつつも、考え続けていた。
領主様は私が魔法をかける前と違って、かなり楽になっている様子だった。
ただ、それでも黒いモヤモヤはかなり残っているので、さっきまでが危険な状態であったことに間違いはないと思った。
領主様の様子からして、黒いモヤモヤを薄くするだけでも、エクス様とドリスさんなら大丈夫な気がしてきた。
魔法はイメージが大切だとエクス様も、ドリスさんも、エステールさんも、ミュディー様も言っていたから、このまま魔法を掛けても大丈夫な筈。
でも、どうしても止まってしまう。
この場でエクス様とドリスさんに魔法を掛けなければならないのは決まっている。
ただ私が知らない、よりよい方法があるのではないかと伸ばしている手が、魔法をイメージしている思考が、魔法を発動させる為に準備している魔力が止まってしまう。
特にエクス様は黒いモヤモヤが一番濃い場所が頭だからこそ、このまま魔法を掛けて良いのか分からない。
頭だけでも重点的に魔法をかけるべきなのか。
それにドリスさんの黒いモヤモヤが一番酷い場所である背中は、普通に魔法を掛けるだけで良いのかも分からない。
エクス様も、ドリスさんも、一番酷い場所は私が骨折している時に見る黒いモヤモヤの量も、濃さも軽く超えている。
だから、私は無理矢理にこの場まで来たのに、止まってしまった。
そんな私を見て不審に思ったのか、エステールさんが話しかけてきた。
「アリア様、領主様の怪我は既に問題ない程度になりました。
エクス様と主任に魔法を掛けても問題ありません」
私はエステールさんの言葉に返答することが出来なかった。
私の様子に周りの人がおかしく思い始めた所で、私をここまで運んでくれたユーノと呼ばれていた女の子が話しかけてきた。
「失礼かと思いますが、アリア様はエクス様とドリス様に魔法を掛け、完治させるイメージが出来ないのではありませんか?」
私はその指摘に頷くしかなく、それを見た周りの人は動揺していた。
ただユーノと呼ばれていた女の子は動揺する様子もなく、私に言った。
「今すぐに、お二人を無理に完治させる必要はありません。
最低限だけでも回復させ、城壁まで運ぶ事が出来るようになれば、危険はほとんど無くなります。
ですからどうか、お二人に魔法をお願いします」
私はその言葉で、2人の黒いモヤモヤを全て消す事に焦っていた自覚した。
彼女の言葉の通りに、仮に今の魔力が足りなくとも、黒いモヤモヤが濃い所から順番にモヤモヤを薄くして行けばいい。
それにそういう意味だと、魔法を全身に掛ける必要もない。
優先順位を付けて、個別の箇所に、それぞれの箇所に必要な魔力を、使えば良い。
そう考えると、凄く楽になった。
だから私はすぐにドリスさんに近づいて、背中に触れた。
そして、残りの4割の魔力の内、1割を使って背中に魔法を掛けた。
その魔法で背中のモヤモヤは、見た感じ4分の1くらいの濃さと多さになった。
だから更に1割の内で半分を使って、両腕に魔法を掛けて、残りの半分で足に魔法を掛けた。
結果として、足のモヤモヤは消えて、両腕は少しだけモヤモヤが残った。
それを確認してから、私はエクス様に触れた。
それからすぐに残り魔力の半分を使って、エクス様の頭に魔法を掛けた。
その魔法をかけ終わった所で、視界が一瞬揺れたものの、すぐに黒いモヤモヤを確認した。
すると、エクス様の頭のモヤモヤは4分の3程度にしかなかって居なかった。
そして、確認した私は驚きから、目を見開いた。
「え?
なんで?
確かにドリスさんの背中と同じくらいの魔力量を使ったのに」
「あ、たまは、最も脆い、部分。
傷、が深い程に、治療も難しくなる」
私は聞こえてきた声に驚いて、そちらに顔を向けるとドリスさんが目を覚ましていた。
ただ完全に黒いモヤモヤを消せていないからか、かなり辛そうにしていた。
それを見て、エステールさんがすぐに駆け寄った。
「主任、無理はいけません!!」
「うる、さい。
今は、魔法が最優先」
そう言うとドリスさんはふらつきながらも立ち上がって、私に近づいてきた。
そして、私の両肩に手を置いて聞いてきた。
「残りの、魔力は?」
「い、1割です」
「エクス、様の状態、は?」
「黒いモヤモヤは、足が比較的少ないですけど、頭と両手に集中しています」
「なら、残りの全魔力を、頭に」
「で、でも」
「腕、なら、やりようは、いくらでも」
ドリスさんはそこまでいうと再びふらついてしまい、エステールさんに支えられていた。
私はドリスさんの言葉を受けてから、エクス様に再び触れて、エクス様の頭に残りの全魔力を使った魔法を使用した。
「あ、ぐっ!」
その直後、凄まじい頭痛が起こり、私は頭を押さえて、その場で蹲ってしまった。
あまりの痛みに何も考えられずに居ると、突然口の中に液体が入って来て、何かを飲まされた。
それから少しづつ痛みが和らいでいる行くのが分かり、さっきのは薬なのだろうという事が分かった。
それを理解した所で、誰かに体を持ち上げられたのも感じられた。
しかし、それを感じられた所から、少しづつ眠気も強くなってきた。
その眠気は、少しづつ小さくなっている頭痛とは違い、少しづつ大きくなっている。
その為に、眠気が頭の痛みを上回り、私は体を持ち上げられてから長く持たずに眠ってしまった。
「私はもう完治しているから、エクスとドリスに魔法を使ってくれ」
「はい」
私は領主様に最低限の返答をしつつも、考え続けていた。
領主様は私が魔法をかける前と違って、かなり楽になっている様子だった。
ただ、それでも黒いモヤモヤはかなり残っているので、さっきまでが危険な状態であったことに間違いはないと思った。
領主様の様子からして、黒いモヤモヤを薄くするだけでも、エクス様とドリスさんなら大丈夫な気がしてきた。
魔法はイメージが大切だとエクス様も、ドリスさんも、エステールさんも、ミュディー様も言っていたから、このまま魔法を掛けても大丈夫な筈。
でも、どうしても止まってしまう。
この場でエクス様とドリスさんに魔法を掛けなければならないのは決まっている。
ただ私が知らない、よりよい方法があるのではないかと伸ばしている手が、魔法をイメージしている思考が、魔法を発動させる為に準備している魔力が止まってしまう。
特にエクス様は黒いモヤモヤが一番濃い場所が頭だからこそ、このまま魔法を掛けて良いのか分からない。
頭だけでも重点的に魔法をかけるべきなのか。
それにドリスさんの黒いモヤモヤが一番酷い場所である背中は、普通に魔法を掛けるだけで良いのかも分からない。
エクス様も、ドリスさんも、一番酷い場所は私が骨折している時に見る黒いモヤモヤの量も、濃さも軽く超えている。
だから、私は無理矢理にこの場まで来たのに、止まってしまった。
そんな私を見て不審に思ったのか、エステールさんが話しかけてきた。
「アリア様、領主様の怪我は既に問題ない程度になりました。
エクス様と主任に魔法を掛けても問題ありません」
私はエステールさんの言葉に返答することが出来なかった。
私の様子に周りの人がおかしく思い始めた所で、私をここまで運んでくれたユーノと呼ばれていた女の子が話しかけてきた。
「失礼かと思いますが、アリア様はエクス様とドリス様に魔法を掛け、完治させるイメージが出来ないのではありませんか?」
私はその指摘に頷くしかなく、それを見た周りの人は動揺していた。
ただユーノと呼ばれていた女の子は動揺する様子もなく、私に言った。
「今すぐに、お二人を無理に完治させる必要はありません。
最低限だけでも回復させ、城壁まで運ぶ事が出来るようになれば、危険はほとんど無くなります。
ですからどうか、お二人に魔法をお願いします」
私はその言葉で、2人の黒いモヤモヤを全て消す事に焦っていた自覚した。
彼女の言葉の通りに、仮に今の魔力が足りなくとも、黒いモヤモヤが濃い所から順番にモヤモヤを薄くして行けばいい。
それにそういう意味だと、魔法を全身に掛ける必要もない。
優先順位を付けて、個別の箇所に、それぞれの箇所に必要な魔力を、使えば良い。
そう考えると、凄く楽になった。
だから私はすぐにドリスさんに近づいて、背中に触れた。
そして、残りの4割の魔力の内、1割を使って背中に魔法を掛けた。
その魔法で背中のモヤモヤは、見た感じ4分の1くらいの濃さと多さになった。
だから更に1割の内で半分を使って、両腕に魔法を掛けて、残りの半分で足に魔法を掛けた。
結果として、足のモヤモヤは消えて、両腕は少しだけモヤモヤが残った。
それを確認してから、私はエクス様に触れた。
それからすぐに残り魔力の半分を使って、エクス様の頭に魔法を掛けた。
その魔法をかけ終わった所で、視界が一瞬揺れたものの、すぐに黒いモヤモヤを確認した。
すると、エクス様の頭のモヤモヤは4分の3程度にしかなかって居なかった。
そして、確認した私は驚きから、目を見開いた。
「え?
なんで?
確かにドリスさんの背中と同じくらいの魔力量を使ったのに」
「あ、たまは、最も脆い、部分。
傷、が深い程に、治療も難しくなる」
私は聞こえてきた声に驚いて、そちらに顔を向けるとドリスさんが目を覚ましていた。
ただ完全に黒いモヤモヤを消せていないからか、かなり辛そうにしていた。
それを見て、エステールさんがすぐに駆け寄った。
「主任、無理はいけません!!」
「うる、さい。
今は、魔法が最優先」
そう言うとドリスさんはふらつきながらも立ち上がって、私に近づいてきた。
そして、私の両肩に手を置いて聞いてきた。
「残りの、魔力は?」
「い、1割です」
「エクス、様の状態、は?」
「黒いモヤモヤは、足が比較的少ないですけど、頭と両手に集中しています」
「なら、残りの全魔力を、頭に」
「で、でも」
「腕、なら、やりようは、いくらでも」
ドリスさんはそこまでいうと再びふらついてしまい、エステールさんに支えられていた。
私はドリスさんの言葉を受けてから、エクス様に再び触れて、エクス様の頭に残りの全魔力を使った魔法を使用した。
「あ、ぐっ!」
その直後、凄まじい頭痛が起こり、私は頭を押さえて、その場で蹲ってしまった。
あまりの痛みに何も考えられずに居ると、突然口の中に液体が入って来て、何かを飲まされた。
それから少しづつ痛みが和らいでいる行くのが分かり、さっきのは薬なのだろうという事が分かった。
それを理解した所で、誰かに体を持ち上げられたのも感じられた。
しかし、それを感じられた所から、少しづつ眠気も強くなってきた。
その眠気は、少しづつ小さくなっている頭痛とは違い、少しづつ大きくなっている。
その為に、眠気が頭の痛みを上回り、私は体を持ち上げられてから長く持たずに眠ってしまった。
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