血の魔法使いは仲間を求める

1章 第1部 追放と一人目

14話 金色の『ハイ・フォレストウルフ』①

元々戦闘が終了した時点で日が傾きかけていた事もあり、日が完全に沈んで暫くしてからから、ようやく拠点周囲の片付け所々が終わり、今日は2日目に作った簡易的な拠点を作るに止めて、今日の活動は終了した。

とりあえず、次の拠点はもう少し川を下に下るかしないとここら辺は血の匂いが漂い過ぎている。
正直に言えば『フォレストウルフ』の群れとの戦闘が終了してから、すぐにでも動き出したかったのだが、『加重』の魔力消費が予想以上に多く、残り魔力が3割以下になりそうだったので下手に動けなかったのだ。

いや、本当なら動いた方が良いのは分かっているのだが、半日も気を張っていた戦闘でかなり疲れていた為に、その気力が無かったのだ。
一応、周囲には生物を感知する罠と、その感知した生物を倒すために発動する罠を向こう岸にも合計で50個も仕掛けた。

まあ、強い魔物には効かないが『キングスネーク』くらいなら、簡単に倒せる。
そんな訳で移動しなかったのだが、俺が『命血』を試すのをやめて夕食を食べていると、何故か俺と戦った後よりも遥かにボロボロになっている金色の『ハイ・フォレストウルフ』が再びやってきた。

俺はその事に気が付き、「罠が突破されたか」と警戒したが、金色の『ハイ・フォレストウルフ』は30m級の『キングスネーク』を咥えて持ってきた。
それをまるで俺に献上する様に、差し出した。

俺はそれに驚き、何をしたいのか理解できなかった。
それに正直『ハイ・フォレストウルフ』が3体も居る集団とは出来るだけ事を構えたくない（既に構えてしまった感じはあるが）ので、前に聞いた事のあるので魔物を仲間にする事が出来る魔法使いが使っていたという『翻訳』の魔法を使った。

その魔法を使用しつつ、『ハイ・フォレストウルフ』に話しかけた。

「おい、俺の言葉が分かるか？何がしたい？」

俺の言葉に金色の『ハイ・フォレストウルフ』は俺の言葉に反応して、声を出した。

「ウォン分かります！！ウォン、ウォンボスになって下さい！！」

俺はその言葉？に意識に空白が生まれた。

「・・・は？ボス？何を言ってるんだ？」

「ウォンウォン、ウォン自分を傷つけられるのは、今まで居なかった！！ウォンウォン、ウヮォーンだから自分をこんなに出来る人の下に付きたい！！」

俺はそんな事を言う金色の『ハイ・フォレストウルフ』にありえないものを見る目で見てしまった。
そして、俺は顔を引き攣らせながら質問した。

「お、お前な。お前の足を引き千切ったのは俺だぞ？その俺の子分になると？」

「ウォンそうです！！ウォン、ウォンウォンでもボスは私を殺さずに放置した！！ウォン、ウォンウォンウォンそれつまり、ボスは私を子分にしたいという現れ！！ウォン、ウォンウォンウォンそれならば、強者の願いに従うは弱者の努めですから！！」

『ハイ・フォレストウルフ』はそう胸を張ったように言いきった。
俺は言いきった『ハイ・フォレストウルフ』に顔を引き攣らせながら、話を逸らすつもりで聞いた。

「そ、そうか。それはそうと、俺と戦った時よりもボロボロじゃないか。どうしたんだ？」

「ウォンウォン、ウォンこれは足を1つ失ってバランスが取れずに、倒れた跡です。ウォン、ウォン、ウォン足を1つ失ったくらいで、その蛇に少し手こずってしまいましたウォン恥ずかしいです」

俺はその言葉に驚いて、質問した。

「お前、まさかその体で『キングスネーク』と戦闘したのか？いや、よく考えたら、それしか無いか。
なんでその『キングスネーク』、じゃないか蛇と戦闘になったんだ？偶然遭遇したのか？」

「ウォン違いますウォン、ウォンウォンボスに献上して、子分にして貰う為に探しました！！ウォンウォンそれで子分にしてくれますか？」

「な、なんで、そこまで俺の子分になりたいんだ？お前を傷つけられる存在くらいなら、この森の奥に行けば多く居るだろうに」

「ウォン確かにそうです。ウォン、ウォンウォンでも、奥いるのでも私を舐めている相手しか無いので、ウォンウォン私が本気を出せば簡単に倒せました。ウォン、ウォンウォンウォンだから、私を相手にして無傷で傷を付けたボスの子分になりたいんです！！」