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1章 第1部 追放と一人目
18.5後編 魔の森へ(エリーシア視点)
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しかも、ストレンス殿だけが気が付いて居なかったが、私が救われたときの『キライマ』は異常発生の個体であり、尚且幼体であった。
そのため、あの時に倒せずにそのまま成体になっていた可能性が高いと思うと、ぞっとしてしまう。
そんな風にストレンス殿に命を救われた私だが、ストレンス殿が居なければこの国が終わりだというのは本当だ。
そもそも魔物の脅威の殆どをストレンス殿が跳ね除けて居たのだ。
それが無くなり、魔物の討伐をまともに行って来なかった魔物討伐部隊や他の余剰戦力分の騎士達でなんとか魔物を討伐しているのが現状。
最初こそこの国を守るために騎士になった私だが、最近はストレンス殿の扱いの悪さや貴族連中のバカ過ぎる行動に、いくら正しい情報が無いとは言え好き勝手にストレンス殿を罵る民衆達に私は国を見限っていた。
それでもストレンス殿が国の為に我慢していたから、私も少しでもストレンス殿を手伝おうとしていたが、それも無駄になった。
だから、私は最早待つ意味は無い考え、きちんと騎士を辞めストレンス殿を追おうとしたが、辞める基準には完璧に到達しているのに王に却下された。
曰く、『ストレンスが居なくなっただけでなく、ベテランの騎士達が減っている今は、お前に抜けられては困る』、と。
私は王がストレンス殿は『居なくなった』という言葉を使った事を聞いて、何をおかしなことを言っているのだと思った。
なにせストレンス殿は居なくなったのではない。
アイリス王女に説明しなければいけなかった事をしなかった王や重鎮達の皺寄せを受け、嵌められたのだ。
私は心を決めた。
ストレンス殿の扱いをきちんとしていれば、いやせめて噂を公式に否定しればその言葉に従っただろうが、今の私にこの言葉に従う通りはない。
そんな事を思っても真正面からストレンス殿を追ってもすぐに連れ戻されるのは目に見えている。
なので一か八かストレンス殿と合流するべく、唯一私が消えても暫くは誰にも気が付かれない真夜中に自室から『転移玉』で魔の森に移動しようとした。
そして私がその旨を書き記し、『騎士を辞任いたします』という事も書き終え、『転移玉』で魔の森に移動しようとしたその時、いきなり声がした。
「やはりエリーシアはストレンスを追うのですか?」
私がその声に驚き声の方を振り向くと、そこには第二王女殿下であるエリザべス王女殿下が居た。
私は自室の中とはいえ気を抜きすぎて居たと反省したが、それも後の祭りだ。
こうなったらなんとか王女殿下の隙をつき『転移玉』で移動しなければ、私は王の指示に従わなかったとして殺されるか、指示に逆らえないように奴隷にされるだろう。
そうなれば私はストレンス殿に会うどころでは無くなる。
それならばいっそ、指名手配をされる覚悟でエリザベス王女に一撃を入れ、その隙に逃げるしか!!
私がそう考えて魔術を使われる前にエリザベス王女に一撃を入れるため剣を抜くと同時に、エリザベス王女は右手を私に向けた。
「「彼の者を縛れ『束縛』』」
私はその魔術によって動けなくなってしまった。
しかし、魔術は前準備が無ければ最低でも5秒は準備がいる上に、その間は魔力も感知されるし、最低限の魔術では精々が10歳児の子供の身動きを止める程度の力しかない。
それなのに魔力を感知出来ず、私が全身に力を込めても抜け出せない程の『束縛』。
こんな事は筆頭魔術師すら実行不可能な筈なのに、一体どうやって。
いや、そんなことよりもこの状況をどうにかしなければ!!
「落ち着いて下さい、エリーシア。私は貴方に何かをするつもりはありませんよ。ただストレンスと会った時の為に伝言を頼みたいだけです」
私はその言葉を聞き、怪訝な表情をしながらも了承の意味も込めて頷いた。
するとエリザベス王女はそれを汲み取ったのか、『束縛』を解除し私に伝えて欲しい伝言を頼み、私の部屋から出ていった。
正直、伝言の正確な意味は掴みかねるが、伝言を口にしたときの表情からしてエリザベス王女がストレンス殿に対して恋心を抱いているのが見て取れた。
その為、伝言はストレンス殿に出会えたならば伝えるものの、出来れば会わないで欲しいと思いながら『転移玉』で魔の森に転移した。
※1章第1部END
そのため、あの時に倒せずにそのまま成体になっていた可能性が高いと思うと、ぞっとしてしまう。
そんな風にストレンス殿に命を救われた私だが、ストレンス殿が居なければこの国が終わりだというのは本当だ。
そもそも魔物の脅威の殆どをストレンス殿が跳ね除けて居たのだ。
それが無くなり、魔物の討伐をまともに行って来なかった魔物討伐部隊や他の余剰戦力分の騎士達でなんとか魔物を討伐しているのが現状。
最初こそこの国を守るために騎士になった私だが、最近はストレンス殿の扱いの悪さや貴族連中のバカ過ぎる行動に、いくら正しい情報が無いとは言え好き勝手にストレンス殿を罵る民衆達に私は国を見限っていた。
それでもストレンス殿が国の為に我慢していたから、私も少しでもストレンス殿を手伝おうとしていたが、それも無駄になった。
だから、私は最早待つ意味は無い考え、きちんと騎士を辞めストレンス殿を追おうとしたが、辞める基準には完璧に到達しているのに王に却下された。
曰く、『ストレンスが居なくなっただけでなく、ベテランの騎士達が減っている今は、お前に抜けられては困る』、と。
私は王がストレンス殿は『居なくなった』という言葉を使った事を聞いて、何をおかしなことを言っているのだと思った。
なにせストレンス殿は居なくなったのではない。
アイリス王女に説明しなければいけなかった事をしなかった王や重鎮達の皺寄せを受け、嵌められたのだ。
私は心を決めた。
ストレンス殿の扱いをきちんとしていれば、いやせめて噂を公式に否定しればその言葉に従っただろうが、今の私にこの言葉に従う通りはない。
そんな事を思っても真正面からストレンス殿を追ってもすぐに連れ戻されるのは目に見えている。
なので一か八かストレンス殿と合流するべく、唯一私が消えても暫くは誰にも気が付かれない真夜中に自室から『転移玉』で魔の森に移動しようとした。
そして私がその旨を書き記し、『騎士を辞任いたします』という事も書き終え、『転移玉』で魔の森に移動しようとしたその時、いきなり声がした。
「やはりエリーシアはストレンスを追うのですか?」
私がその声に驚き声の方を振り向くと、そこには第二王女殿下であるエリザべス王女殿下が居た。
私は自室の中とはいえ気を抜きすぎて居たと反省したが、それも後の祭りだ。
こうなったらなんとか王女殿下の隙をつき『転移玉』で移動しなければ、私は王の指示に従わなかったとして殺されるか、指示に逆らえないように奴隷にされるだろう。
そうなれば私はストレンス殿に会うどころでは無くなる。
それならばいっそ、指名手配をされる覚悟でエリザベス王女に一撃を入れ、その隙に逃げるしか!!
私がそう考えて魔術を使われる前にエリザベス王女に一撃を入れるため剣を抜くと同時に、エリザベス王女は右手を私に向けた。
「「彼の者を縛れ『束縛』』」
私はその魔術によって動けなくなってしまった。
しかし、魔術は前準備が無ければ最低でも5秒は準備がいる上に、その間は魔力も感知されるし、最低限の魔術では精々が10歳児の子供の身動きを止める程度の力しかない。
それなのに魔力を感知出来ず、私が全身に力を込めても抜け出せない程の『束縛』。
こんな事は筆頭魔術師すら実行不可能な筈なのに、一体どうやって。
いや、そんなことよりもこの状況をどうにかしなければ!!
「落ち着いて下さい、エリーシア。私は貴方に何かをするつもりはありませんよ。ただストレンスと会った時の為に伝言を頼みたいだけです」
私はその言葉を聞き、怪訝な表情をしながらも了承の意味も込めて頷いた。
するとエリザベス王女はそれを汲み取ったのか、『束縛』を解除し私に伝えて欲しい伝言を頼み、私の部屋から出ていった。
正直、伝言の正確な意味は掴みかねるが、伝言を口にしたときの表情からしてエリザベス王女がストレンス殿に対して恋心を抱いているのが見て取れた。
その為、伝言はストレンス殿に出会えたならば伝えるものの、出来れば会わないで欲しいと思いながら『転移玉』で魔の森に転移した。
※1章第1部END
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