血の魔法使いは仲間を求める

ロシキ

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1章 第2部 街へと二人目

27話 都市級魔法

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「くっそが!!魔物が減るどころか!!増えてるんだが!?

『浄化』!!しかも!!魔の森では出現しない筈の死霊系の魔物も出るし!!『浄化』!!」

「口を!!動かすなら!!手を!!動かして!!下さい!!」

「わ~ん、敵が全然減りませんよ、ボス~」

俺とアイミナとエリーシアはお互いに背中を守れるようにある程度固まって、全方位から延々と襲って来る魔物達と戦闘をしていた。
その魔物達は魔の森の深部でよく出る『キライマ』から始まり、深部で偶に見かける『軍隊アリ』という一体だけなら単独級なのに『軍隊アリ』が一体居た周囲に最低25体は居るために評価自体は最低部隊級で最高では都市級の嫌な魔物が居るし、人の骨や魂なんかが突如して魔物に変化した死霊系の魔物である『スケルトン』の上位種の『スケルトンナイト』や『ゴースト』の上位種である『リッチ』(どちらも都市級)なんかだ。

そして、なんでこんな状況になっているのかと言うと、少し前に遡る。
俺とアイミナとエリーシアが拠点を出発してから一日で深部と呼ばれる都市級の魔物ばかりが出現する場所に突入していた。

これはかなり順調に進んでいるためで、本来ならば単独級と部隊級の魔物が出る範囲を抜けるのに2日づつ掛かる。
そんな範囲を順調に抜けたが、深部に付いて半日経ってから様相が変わり始めた。

『キライマ』が単体でばかりが出ていたのに、急にその数が増え始めた。
以前一度だけ深部まで踏み込んだ事がある俺は、それに違和感を感じ、魔力が多い俺とアイミナで交代しながら『キライマ』を討伐し、更には『キライマ』が行く手を阻むように居るので『サーチ』や『鷹の目』は意味がないと判断して使用を辞める等をして、極力魔力の残量が一人だけ極端に減らないように工夫した。

エリーシアも参加したいと言ってきたが、俺とアイミナは魔力量がエリーシアの10倍はあるので却下した。
というか、エリーシアは魔術師とはいえ魔力が魔術師の平均と同じくらいしかないので、仕方ない。

そして、俺とアイミナで迅速に魔物を倒しながら前に進んでいると、前から魔物の大群が出現したのだ。
それには『キライマ』だけではなく、様々な魔物が含まれていた。
それを見て、これ以上は不味いと判断して後退しようとしたが、前からだけでなくあらゆる方向から魔物が迫ってきていた。

このタイミングで周囲を探る魔法は魔力の無駄遣いだと判断して使用していなかった事を悔やんだ。
しかし、そんな事を悔やんでも今更なので俺達3人はお互いに背を任せあって魔物の掃討を開始したというわけだ。

それから、かなりの時間が経っているが魔物に終わりの数が見えない。
魔力の少なかったエリーシアはこれ以上魔術を使用すれば戦闘が出来なくなってしまうギリギリまで魔術を使用し、アイミナは魔力の限界はまだだが体術と魔法を併用する戦法なので体力が限界に近付いてきている。

俺は体力は大丈夫だが、都市級の魔物が多い為に魔法を連発させられた。
しかも死霊系の魔物は魔法の属性の1つである『聖』系統の魔法や魔術、『聖』系統の力が付与されている武器等でしか倒せない上に、『聖』の属性は他の属性の2倍は魔力を使わないければ発動出来ない。
そんな魔法を長時間何度も発動させていた為に、魔力残量が既に2割近くなっている。

このままじゃジリ貧だ。
俺の魔力かアイミナの体力が切れたら、そこで負けが決まる。
それなら一か八か、やるしかない。

俺は覚悟を決めてから、2人に指示を出した。

「今から都市級魔法を使う!!俺が良いと言うまでは俺から離れるなよ!!

それと都市級魔法を使用した後は動けなるかもしれないから、ミスったら後は頼むぞ!!」

俺は叫んでから左手の肩から下に一直線に血剣で切った。

都市級魔法とは正しくその魔法一度で都市の丸ごとを吹き飛ばせる威力の魔法の総称。
しかし、俺が今使おうとしている都市級魔法は少し毛色が違う。
都市級魔法は破壊した結果生物が死ぬ魔法だが、俺が使おうとしている都市級魔法は生物が死んだ結果破壊する魔法だ。

そんな都市級魔法は魔法使いでも使えるものが少ない程に必要な魔力が多いが、例外として自身の得意な魔法の属性の都市級魔法ならば魔力消費は少なくて済む。
その為に俺が今から発動させる都市級魔法は血が属性である都市級魔法だ。

その名もー

「『血集玉ちしゅうだま』」
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