血の魔法使いは仲間を求める

ロシキ

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2章 第1部 到着と初依頼

41話 『真実の水晶』

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「まさか副協会長だったとは驚きました」

「失礼しました。本来ならばきちんとした受付嬢がカウンターには居るのですが、本日に限り体調を崩してしまったようでして。私がその受付嬢の代わりを努めていたのです」

「なるほど、そうでしたか。ですが、私達は国籍証を所持していませんが、私達を商人協会に加入させてもよろしいのですか?」

協会が加入の際に国籍証の提示を求めるのは、犯罪者を協会に加入させないためというのが理由の1つにある。
その為に俺はこんな質問をしたのだ。

その質問に対して、ミーディアさんは笑顔を浮かべながら言った。

「えぇ、私は人を見る目には自信があります。それにご不快になるかもしれませんが、当商人協会には嘘を見抜く『真実の水晶』があります。ですので、『真実の水晶』による審査を受けて頂くことにはなりますが、国籍証が無くとも冒険者証と似た効力を持つ商人証を、当協会に加入する事でお渡しする事が出来ます」

『真実の水晶』とは水晶型の現代で複製不可能な道具アーティファクトで、水晶に触れながらなにかの質問に答えると、質問の答えが正しければ何も起こらず、嘘をついたならば赤く光る半透明な水晶だ。
そんな物があるならば例え国籍証が無くとも、商人協会加入証明書、略して商人証が発行できるのも頷ける。

なので、俺達はその場で加入を決めて『真実の水晶』による判定を受けた。
質問は正当防衛以外で人を殺した事があるかや何かの犯罪行為を行ったことがあるか等の簡単なものだった。
簡単な質問の数々にこれでいいのかと思ったが、問題無く商人証も発行されたので、あんな簡単な質問の数々でよかったらしい。

その後は商人証を発行させて貰った御礼のような感じで、まだ出していなかった都市級の魔物の素材を出したらミーディアさんはひっくり返りそうな程に興奮して魔物の査定を始めた。
流石に今は夜で遅い時間と言っても過言ではないので、都市級の魔物の素材を1匹分査定して貰って、その分のお金を受け取って、商人協会が買い取る予定の素材を置いてミーディアさんお勧めの宿に向かった。

因みに都市級の魔物は一匹で金貨25枚になった。
貨幣は一番下が銅貨で銅貨1枚で普通のパンを一つ買えるくらいの価値だ。
銅貨の上は100枚集まると1つ上の貨幣と同じ価値になり、下から銅貨→銀貨→金貨→白金貨→王貨という順になる。

通常の街なら金貨1枚あれば全員で4人家族の平民を3ヶ月は養えるだろう。
なので金貨が25枚もあれば、贅沢しなければ暫くどころかかなりの間遊んでいられるだろう。
まあ、この25枚の他にも商人協会に置いてきたのもあるから、もっと金貨は増えるだろうし、都市級もある程度の数があるので余裕で白金貨に届くだろうし、下手したら白金貨が3枚位の分のお金は得ることが出来るかもしれない。

ただ、ここが『ダンジョン都市』で無ければ都市級の魔物の素材は少なくとも2倍、下手したら5倍の値段で買ってくれる所もあるだろう。
なにせここは『ダンジョン都市』なので、年に3~4回くらいだがかなりの冒険者達が協力して都市級の魔物を仕留めるために、例え都市級の魔物でもそこまでの値上がりはしないのだ。

少し話が逸れてしまったが、宿に向かった俺達は屋台で買った夕食を宿の部屋で食べた。
流石に遅い時間だったので、宿の夕食は終わっていた。

部屋は2人部屋と1人部屋を希望したが、そこは商人協会のお勧めしますの宿、一泊1人あたりが銀貨20枚と高いのに安全性の高さから殆どが満室だった。
まあ、3人部屋は空いていたので、その部屋に止まったんだけどな。

明日の予定は朝の内に商人協会に顔を出し、お金の入金確認(商人協会なので協会でお金を預かって、商人協会ならば何処の商人協会でも出せるような仕組みがある)をして、残りの素材も預けてから冒険者協会に加入だけはして、商人で良さげな護衛や採取依頼が無いかを探すだな。

そんな訳で明日の予定を思い浮かべた事で今日の予定はほとんど終わり、残りの予定は寝るだけである。
おやすみなさい。
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