血の魔法使いは仲間を求める

ロシキ

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2章 第1部 到着と初依頼

49話 VS『アサシンモンキー』

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背に腹は代えられないので、俺が全員に『飛翔』を掛けて飛ぶことおよそ30分ほどで少し開けている場所が見えた。

そこには数え切れない程に多数の人の倍程の背丈がある茶色い単独級の魔物である猿の『暴れ猿』という最初に発見した人が魔物だと気が付かなかったから付いた名前の魔物と、その猿達よりも一回り大きい黒い猿である『アサシンモンキー』が居た。
その場所を素早く『鷹の目』で確認してから、2人に言った。

「見つけた!!あそこだ!!他の魔物も大勢居るが、ここからは『飛翔』を切って突っ込むぞ!!互いのフォローは最低限に、使う魔法は任せる!!最速で『アサシンモンキー』を倒して逃げるぞ!!」

「「分かったのです(りました)!!」」

俺はそう指示を出してから、2人が返事をしたのを確認し、『飛翔』を切った。
それから地面に落下が始まったが、俺はそれを気にせずにすぐに小さいために魔物相手には使えないナイフを懐から取り出して
両手を軽く斬りつけた。

「『増血』『操血』『収納』『形血』」

手から血が出たのを確認してから、何時も通りの過程に『収納』から街で買った剣を取り出す工程を入れた物で血剣を作った。

俺はその血剣で一回り大きい猿を直接攻撃しようとしたが、周りの猿が一回り大きい猿の変わりに攻撃を受けて邪魔をしてきた。

それに俺が舌打ちをするのと同時に、アイミナが体の一部を変化させて『風爪』で、エリーシアは剣に風を纏わせて『アサシンモンキー』に攻撃を仕掛けた。
それも周りにいた猿が受けて攻撃が邪魔され、逆に攻撃を受けられて隙が出来た2人に『アサシンモンキー』が近くに置いてあった岩を投げてきた。

流石にこれは不味いと悟った俺は2人を『飛翔』で急いで引き寄せてから物理結界で守った。

それからすぐに、『ガキン!!』という結界と岩がぶつかる音が周囲に鳴り響いた。
それからすぐに『魔散』を掛けようとしたが、岩には魔法が掛かっていない事に気が付いた。

それをラッキーだと思い、使用するつもりの無かった魔法を使用した。

「『加重』!!」

俺がかなりの魔力ーといっても全体の1割ほどの魔力ーを使用して発動させた『加重』は『暴れ猿』を地面に縫い付け、半分以上はそのまま死亡、残りもある程度のダメージを負ったのか暴れることすらしなかった。
しかし、『アサシンモンキー』は岩を投げた直後なのに地面に両手を付けて倒れないように踏ん張っていた。

そもそも俺が『加重』を使わない判断をしたのは、都市級に分類されるだろう魔物には足止め程度でしか使えないし、逆にこちらの不利になる場合があるからだ。
その上、もしも『アサシンモンキー』が一部とはいえ『加重』を上回る出力の『身体強化』をされて岩を投げられたら、こちらに逃げ場が無いのも要因になっている。

しかし、今回は2人が危なかったのもあるが、2人に攻撃するために『アサシンモンキー』が体勢を崩してくれたから使えた。

とにかく、『アサシンモンキー』の動きを封じたので後は『アサシンモンキー』が起き上がってくる可能性があるので、その時間与えないためにも、時間さえかけなければ煮るなり焼くなり自由に出来る。

俺はそう思って2人に聞いた。

「2人共、あいつどうやって倒す?一応俺から少し離れたら『加重』の範囲に入っちゃうから、あんまり離れられないけど」

俺がそういうとアイミナは元気に答えた。

「はい!!ボスと一緒に近付いて首を折るのが良いと思うのです!!」

「首を?でも折るよりは、切ったほうが確実だし楽じゃないか?それに折るほどに近づけば流石に『加重』の効果が外れるから却下だな」

「あ、そうだったのです」

「それならエリーシアはどう倒す?一応魔法も『加重』に邪魔されるからある程度は近付くのは決まってるけどね」

俺がそう言っても、エリーシアからの返答が無かった。
その為にエリーシアの方を向くと何かを考え込んでいるようだった。
そして、暫くそのまま悩んでいたエリーシアは俺に顔を向けながら言った。

「ストレンス殿。あの『アサシンモンキー』ですが、少し弱すぎませんか?」
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