血の魔法使いは仲間を求める

ロシキ

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2章 第1部 到着と初依頼

50話 VS『アサシンモンキー』の群れ

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「ストレンス殿。あの『アサシンモンキー』ですが、少し弱すぎませんか?」

そう言ったエリーシアに俺とアイミナは動きを止めた。

確かに、目の前に倒れているのは『アサシンモンキー』だ。
しかし、目の前の『アサシンモンキー』は周りに居た取り巻きが邪魔をしていた為に、強く感じたが本体の強さ自体は都市級の中でも中の上くらいに分類されるだろう。
それにあの『アサシンモンキー』は俺達に岩を投げてきた時に岩に風を纏わせず、通常の『アサシンモンキー』と同じ様に『身体強化』しなかった。

それつまりー、

「っ!!ボス!!」

「なんだー」

俺の思考の途中でアイミナが叫び、それに反応して振り返ると目の前に大きな何かが迫ってきていた。
本来ならば魔法で防御するのだが、対象があまりにも近すぎた為に俺は反応が出来なかった。

そんな俺を何かは的確に捉えて、俺の体の右側の外を向いていた手や足に凄まじい衝撃を受けて、俺は吹き飛ばされた。

その勢いはあまりにも凄く、何十本もの木を俺の体でへし折ってやっと止まるほどだった。
一応戦闘中は『身体強化』を出来るだけ使うようにしていたが、それが無ければ即死。
さっきは使って居たものの、声は血が含まれている咳しか出ないし、痛みで全身が痛いし、何かにぶつかられた右手と右足は完全に変な方向に曲がっているし、体内で折れた骨の一部が刺さったのか体の所々から血が地面に流れ出している。

かなりの痛みになかなか集中出来ず、少しだけ手間取ったがなんとか『痛覚鈍化』を自分にかけて、更に自分の中の血を『操血』で無理矢理操って立ち上がった。
立ち上がった際に、意識が飛びそうな程の痛みが走り、『痛覚鈍化』『操血』の両方が解けかけたが、そこは意地で魔法を維持し、このまま戻るのは無理だと判断して、自分に『欠損回復』と『回復』を掛けた。

それ相応の魔力(魔力総量の1割)を使い、なんとか元通りにしたが、俺が使う『回復』系の魔法は普通の魔法使いが使う『回復』系の魔法とは違い、万能では無いので体の中はボロボロだ。
あんまり激しく動くと再び傷が開いて、治った骨なんかも再び折れるだろう。

それでも国家級に分類される程の魔物相手に魔法使い2人では厳しいのだから、いかないと。

「ウキキ!!」

その声が聞こえてきた時に、俺は無意識に全方位に『針血』を使用した。
そして、それは正解だったのだと理解できた。

それは俺の周りから猿の叫び声が聞こえてきたからだ。

「狙われてたのにも気が付けて居なかったか。相手は『緑』の『アサシンモンキー』だけじゃなく、『暴れ猿』も居るんだ。しっかりしろ」

そう自分に言い聞かせながら歩こうとすると、後ろから魔力の反応を感知した。
通常の自然界では魔力の反応なんて無いので、これは魔物からの攻撃だろうというが見当は付いたが、今からだと魔法を発動出来ても一回だけ。
なので、俺は魔力消費を無視して『転移』を発動させ、斜め上に飛んだ。

その直後に俺が居た場所に岩が飛んできた。
しかも、上からではなく俺の周囲に展開していた『針血』を突き破るようにして岩を飛ばしてきたので、『転移』を使用しなければ危なかっただろう。

俺はそれを理解すると、すぐさま岩を飛ばした犯人を探した。
すると、『暴れ猿』の中に一体だけ真っ黒い体をしている個体を見つけた。
それを見つけると、俺は俺達が一番最初に倒した『アサシンモンキー』が弱かった理由にも見当がついてしまった。

恐らく、『緑』の『アサシンモンキー』は他の『アサシンモンキー』を従えているのだろう。
魔物は群れを作る魔物以外は群れにはならないが、魔物にある一定以上に知性と強さがある時は群れになる時があるので、今回はそれだろう。

しかも、俺が吹っ飛ばされてからそこまで時間は経っていないので、俺達が最初から相手取っていた『アサシンモンキー』とこの『アサシンモンキー』は別だと考えられる。
要するに今回は『緑』の『アサシンモンキー』だけが相手では無くなった訳だ。

それを理解した俺は地上で俺の死体を探しているのか、俺が解除した『針血』の中心ウロウロしている『暴れ猿』や『アサシンモンキー』を見ながら、苦い顔をした。
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