血の魔法使いは仲間を求める

ロシキ

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2章 第1部 到着と初依頼

52話 救出へ

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「ボスは何を隠しているのです?」

俺を見透かしたようにアイミナはそう質問してきた。
確かに俺はアイミナに隠し事をしている。
ただ、それは隠しても問題ない物だし、俺が対象しようとしていたから、アイミナは知る必要のない物だった。

だから、俺は知らなくても良いと言おうとしたが、アイミナの真剣な顔に口を一度閉じた。
そして、数秒考えてから再び口を開いた。

「俺が向かう方に『暴れ猿』が15匹と『アサシンモンキー』一匹がいる。だが、問題は奴らが人間を捕まえているという点と捕まっている人間というのが冒険者協会で俺達に話しかけてきた男とそのパーティーメンバーだろう3人の女であり、意識があるという点だ」

俺が話した内容にアイミナは目を見開いて驚いた。
まあ、この依頼は俺達に回されたので、通常なら居ない筈の人間が捕まっていれば驚きもするだろう。
しかも、意識があるせいで俺達は魔法を使えないときている。

なので、何も知らせずにアイミナには反対側に行ってもらって、もしも俺がやられたら俺の代わりに魔物を排除してもらうつもりだった。

それを全てアイミナに話すと、アイミナは少しだけ下を向いたあとに、俺が行ってほしいと言った方向を見ながら言った。

「分かったのです、私は向こうに向かうのです。でも、もしもボスが死んだり、正体がバレたりしたら、エリーシアと一緒にボスの恥ずかしい話を人に話して回ってやるのです」

そう言ってから走り出したアイミナに、俺はアイミナの遠回しの言葉にため息を付きながら、呟いた。

「素直じゃないのは別に良いが、恥ずかしい話を話し回られるのはゴメンだな」







アイミナと別れてから移動を開始したので、魔物共が動き始める前に奴らを魔法で狙える位置に着けた。

基本的には魔力の動きに敏感な魔物相手ならば如何に魔力を隠しても、魔法を使おうとすればバレる。
そう基本的には、だ。

俺はそれを魔法でなんとかした。
魔物にも気取られない位置で『魔力隠蔽』という自身の魔力の動きや量なんかを隠す魔法を使用したのだ。
なので、今の俺は奴らに魔力を気取られないはずだ。

ただ長時間発動していたらバレるかもしれないので、さっさと行動を開始する。
今はある程度の距離で木の上に登っているので、まず威力が出やすいように血剣を全て血弓ちきゅうに変える。

剣から弓に変えたので、不要になった剣が出てきたが、それは『収納』に入れて出来上がった10本の血弓に『岩の矢』をセットする。
そして、意識があるせいで抵抗している人間には当たらないように、ここから魔力を隠した状態では倒せないであろう『アサシンモンキー』は狙わずに『暴れ猿』に狙いを定めた。

そして、一度深呼吸をしてから全ての血弓を同時に発射。
それからすぐに再び『岩の矢』を装填して、さっき狙わなかった5匹の『暴れ猿』と、残りの矢は『アサシンモンキー』に狙いを定めて発射した。

発射が終わったと同時に俺は気を飛び降りて、『身体強化』5倍にしながら、血弓にしている血を全て一本の剣にした。
それと同時に『暴れ猿』10匹に最初の『岩の矢』が正確に頭を撃ち抜いた。

そして、急に死んだ『暴れ猿』に『暴れ猿』と『アサシンモンキー』が混乱している間に、更に俺の追撃である『石の矢』5本が『暴れ猿』に命中。
流石に全てが致命傷ではなかったが、二匹は致命傷だろう。

『アサシンモンキー』には『岩の矢』が全て弾かれたが、今度は違う魔法の射程圏内に入ったので、魔法を使用した。

「『樹縛』!!」

『樹縛』とは俺が魔の森を出る前から考えて居た魔法だ。
その効果内容は周辺の木を利用して、相手を拘束する事。
ただ拘束するために使う木を部隊級の魔物であるトレントと同じでよくしなり、それでいて固く、更には魔法で燃えにくくした。

この魔法の行使は今回初めてだが、問題は無いはずだ。
一応念の為、『アサシンモンキー』を拘束するときに、右手と右足は外に引っ張るように拘束し、逆に左手と左足は胴体と一緒に拘束することで拘束力を上げた。
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