血の魔法使いは仲間を求める

ロシキ

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2章 第1部 到着と初依頼

54話 眠気(ストレンス視点)と合流(エリーシア視点)

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「ひゅ~、ひゅ~」

『アサシンモンキー』の首は切り飛ばしたが、腹に穴が空いてしまったせいで、意識が遠のく。
だから残った魔力を使って『回復』の魔法を掛けたが、腹に穴が空いているせいで、効果が薄い。

というか、いま自分が立っているのか、倒れているのかも分からない。
あの馬鹿を庇わなければ、無傷で勝利出来た筈なのに、つい体が動いてしまった。

というか、あの馬鹿は魔物は人間の魔法や魔術に反応して、動くというのを知らないのだろうか?
魔物は魔法または魔術を発動しようとする者を優先的に狙うために、誰かが魔物と戦闘したら、その周囲(少なくとも目視範囲)では魔法や魔術は使わないのが常識だ。

それを知らないなんて、馬鹿としか、言いようがない。
というか、眠くなってきた?
なんか、寒いときに朝、起きたくない感じ?

少しだけ、寝よう、かな。
魔法は、起きて、から、で、いいや





◇エリーシア視点

『例え『特殊身体強化』をしていたとしても、それは動体視力を高めるだけで決して自身の体のコントロールする力を高めるものじゃない。だから長時間、10倍以上の『身体強化』をしていると何が起こるかわからないから、検証するまでは使うなよ?』

私の得意な魔法を見せて、「これで私も2人の役に立てます!!」と意気込んでいるときに、ストレンス殿にそう言われた。

それでも魔法なのだから大丈夫だと踏んで使用した結果、『緑』の『アサシンモンキー』は殴り殺せたが、『暴れ猿』と『アサシンモンキー』に『身体強化』が強制解除されて動けないタイミングで来られたのは最悪すぎた。

そもそも何故『身体強化』が強制解除されたのかが分からない。
私がなんとか『緑』の『アサシンモンキー』を殴り殺したと同時に強制解除され、それからすぐに『暴れ猿』と『アサシンモンキー』に囲まれた。

魔法は普通に使えそうなのに、体が全く動かない。
それになんだが視界がボヤケている気もする。

そんなボヤケている視界でも『暴れ猿』や『アサシンモンキー』が近づいてくるのは分かった。
体は動かず、下手な魔法では数体の魔物を倒すのが限界で、その魔物達は既に魔法一発を放ってしまえば一息に詰められる位置にいる。

しかし、このまま何もしなければ死は必定。
それなら、一か八かで自分すら巻き込む威力と範囲の魔法で、魔物を倒すしかない!!

「エリーシア!!」

私が一か八かで魔法を使おうとした時、アイミナの声が聞こえた。
そして、その次の瞬間には私はアイミナに抱きかかえられていた。

それを認識すると、これはチャンスだと思い、アイミナにお礼を言いながら、魔法を発動させていた。

「ありがとう、アイミナ。お陰助かりました。今から、あの魔物に魔法を放つので、そのまま移動を続けてください」

私の言葉に頷いたアイミナのお陰で魔物達は倒すことが出来た。
それから倒した魔物を全て回収して、ストレンス殿と合流するべく移動を開始した。









アイミナに『回復』を掛けてもらい、なんとか動ける様になった私はストレンス殿と合流するべく、ストレンス殿が向かったという方向に歩いてきたが、そこで驚くべき光景が目に飛び込んできた。

なんとストレンス殿の腹に穴が空いており、呼吸はしているものの変な呼吸になっているし、確実に死にかけている姿だ。

「「ボス(ストレンス殿)!!」」

それを見た私とアイミナはストレンス殿に駆け寄り、急いで魔法を掛けた。
アイミナが『欠損回復』、私は『生命維持』というアイミナの『欠損回復』でストレンス殿が回復しきるまで確実に生きていられるように魔法を掛けた。

それから暫くしてストレンス殿の回復が終わり、ストレンス殿の呼吸も普通になったことを確認すると、私とアイミナは安堵から息を吐いた。
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