血の魔法使いは仲間を求める

ロシキ

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2章 第1部 到着と初依頼

55話 2人はどこへ?

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「ん、天井?」

目が覚めたら、天井がある場所で横になっていた。
俺は寝る前の記憶を思い出し、見える天井が木で出来ているので、少なくとも杜の中じゃないと判断できた。

それを判断してから、俺は『サーチ』を使い自分の体の様子を確かめた。
実はこの『サーチ』は魔力によって索敵する為に、ある程度なら『サーチ』の範囲に居る者の状態を確かめることが出来るのだ。
まあ、血が出ていないかやどれくらいの体の大きさなのかくらいしか分からないので、ちゃんと調べるなら『マジックアイ』のほうが便利だが。

そして、『サーチ』によって俺の体に下手な傷がないのを確認すると、体を起こした。

それから自分の格好を見て、少なくとも自分が持っていた服ではないことを確認。
これはアイミナ達が着替えさせてくれたのか、それとも他の誰かが着替えさせたのか。

俺は一瞬だけそんなことを考えたが、今はどうでもいいかと思い、部屋を出た。
部屋を出るとお盆を持っている女性と鉢合わせをした。

鉢合わせした女性は目を見開くと、すぐに俺に聞いてきた。

「あ!!ストレンス様!!目が冷めたのですね!!良かった!!」

俺は目の前の知らない人間が俺の名前をストレンスと呼んだことで一気に警戒度を引き上げたが、それに気がついた女性は慌てて行った。

「ここは魔術師協会で、たまたまストレンス様の顔をしている者が居たのです!!」

「魔術師協会?俺達は冒険者協会で依頼を受けていたはず」

「それが依頼中にストレンス様のお仲間が魔法を使ってしまい、それを複数の冒険者に見られたそうなのです。

その時はストレンス様は死にかけていた状態からようやく回復した程度の時だったらしく、エリーシア様とアイミナ様という方がストレンス様を抱えて、このウモーレの街にある魔術師協会に駆け込んできたのです」

「2人が魔法を?」

「はい」

「それで2人はどこに?」

「申し訳ありません。私はそこまで権限があるものではないので、そこまでは。

ですが、ストレンス様がお目覚めになられたならば、すぐにお知らせするように協会長から指示を貰っていますので、ストレンス様の体調がキツくないならば、これから協会長に『ストレンス様がお話を聞きたがっている』とお伝えしますが」

俺はそう言われて、協会長と会えば正体がバレるから会えないかと判斷を下しかけたが、よく考えたら既に魔術師協会に居るのだから、正体はバレていると考え直した。
そのため、俺は女性の問に頷いた。





俺が女性の言葉に頷いてから、暫くして許可が取れたと戻ってきた。
そして、その後は女性に付いていき、協会長の部屋に入った。
女性は部屋に入ることは無く、協会長の部屋には俺とこのウモーレの街の魔術師協会協会長である、レイアさんが居た。

実はレイアさんとは知り合いで、以前回されてきた緊急依頼で一緒に戦ったこともある。

「お久し振りです、レイアさん。最後にあったのは、この国から俺に依頼が回されたときに行われたパーティー以来ですか」

「ええ、お久し振りです、ストレンスさん。まさか、アステート王国とは魔の森を挟んで真反対である、この国に居るとは思いませんでした」

「色々と事情がありまして。それは今度時間がある時にでも話します。それよりもアイミナとエリーシアは何処に行ったのですか?」

俺がそう聞くと言いづらそうに、レイアさんは肩を落としながら言った。

「その、大変申し上げづらいのですが、エリーシア様とアイミナ様はこの国の王城に強制召喚され、昨日出発されました」

強制召喚とは通常ならば相応の理由さえあれば拒否出来る召喚が強制的にされるもので、逆らったりしたら確実に指名手配されるもので、これが発動されるのは大罪人相手か罪を犯した貴族くらいだ。

だがそんなこの国の国王とはある程度親しく、人も出来ていたので、例え俺達がフリーの魔法使いであり、国として考えればどうしても欲しい人材だとしても、強制召喚はされないと踏んでいた。
しかし、強制召喚され下手に王都に行こうものなら、魔法使いである俺達は気を張って行動しなければ、言葉巧みにこの国に縛られるかもしれない。

そんな俺達に取っては通常よりも危険な強制召喚がされたと聞いて俺は驚いた。

「な!?強制召喚!?2人は特に罪は犯していないだろう!?」

「落ち着いてください、ストレンス様。確かにお二人は罪は犯していませんので、捕まえるためではないでしょう。

そのために魔術師協会も王家に強制召喚を取り消すように要請を出しました。『ストレンス様は現在重症の為に動くことが出来ません。そのお仲間である2人を、重症の仲間を置いて動けと言うのか』という文面を送りました。

ですが、『国家級の魔物を倒したことに対する褒美と表彰』と言われてしまえば、断ることが出来なかったです」
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