剣士アスカ・グリーンディの日記

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第2章 竜の血を持つ者

竜の計画

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教会が鐘を2回打つと、そしてドメイル教徒達は集会場であるメーデンラーというかつての闘技場へ集い始める。

僕とマーティス王国元弓兵もまた、そこへ向かっていった。

ただ、遅れて向かう様に、と。

ブルーシーズは、元ドメイル教徒と共に行動し、僕らとは別行動だった。

ダマズル司教は、ドメイル教団において、重要な座に就いているのだろうか。

彼を倒せば、ドメイル教は衰退する?

僕は、その時、何か嫌な予感がしていたんだ。



集会場に着くと、マーティス王国元弓兵は、僕に会釈をして、離れていった。

辺りに集うドメイル教徒は、外套に頭巾を被り、顔の表情は見えない。

ただ、腰に剣は持参している。

例の刻印の入った、剣なのだろう。

そして、僕も剣を携帯している。

集会場は、扇状に石造りの椅子が並び、前方に見下ろす様に、壇上がある。

集会は、そう時間もかからずに始まり、そして壇上に、ダマズル司教が、姿を現した。

___________________

ドメイル教の集会は、ドメイル教徒達による不思議な言葉のかけ声が繰り返し行われ、一度手を叩き、再びかけ声、そして最後に、アード、またはアゥワートドゥという言葉を発し、開会した。

この行為に、どの様な意味があるのだろうか。

このすぐ後に、異変を感じた。

ダマズル司教が、祈りの言葉を捧げている時、壇上にドメイル教徒が急ぎ足で上がり、彼に耳打ちをする。

これは、僕らの計画に、想定外の影響が出るのか、

それとも、計画通りなのかと、思った。

ダマズル司教は、目を剥き、逃げる様に、壇上の後ろのカーテン奥に消えて行ってしまった。

そのすぐ後に、僕の背後に気配を感じた。

その気配は、僕の着ていたドメイル教徒の外套を掴む、

そして、それをそのまま剥ぎ取っていく。

僕の、リガード竜騎士の鎧姿が、晒された。

僕は、ドメイル教徒数人に囲まれ、

そして、彼らに、

報告通りだ、と言われた。

僕を注視するドメイル教徒数人が、数十人、百人、と、増えていく。

これが、ブルーシーズの言っていたおとりというものか。

周辺のドメイル教徒が一斉に、剣を抜いた。

ブルーシーズは言ったな。

僕を死なせはしないと。

死にはしないと、いう意味だったのか。

そう、思った。

ドメイル教徒達の目が殺気立つ。

1人が、僕を人質に取るのか、と言った。

その言葉の意味は、その後に続く言葉でわかった。

ウイプルとの戦いは、まだ続いているから、と。



ウイプルは、滅びてはいない?

まだ、生きているのか。



その時、壇上のカーテン向こう側の、さらに左奥の空間から、断末魔の叫びが上がる。

僕は、悟った。

ブルーシーズが、ダマズル司教を殺したのだと。

異様な空気が漂う中、心の奥に竜の覚醒を促すかの様に、竜の共鳴が響く。

ブルーシーズ、

僕を、竜の姿へと変えようと、しているんだ。

___________________

見事だ、ブルーシーズ。

僕を囮にして、そして目的を達成したら、僕を竜に変え、ここを破壊させるつもりだな。

ドメイル教信仰国の戦力は、ゴブリンや骸兵などの魔物とも言われる様な者達もいるのだ。

もしかして、僕は、捨て駒か。

心が裂け、獰猛なものが全て吐き出されそうだ。

だけど、思い通りには、いかないぞ。

生前のお母様の様に、苦痛の日々を過ごす事になる、前に。

ウイプルは、まだ死んではいないのか。

それを確かめるまでは、死ぬ事が、できるはずもない。

僕は、腰にある竜剣ジオグリシェルを抜き、僕の異変を感じ取って襲いかかるドメイル教徒に剣を振り抜いた。

ブルーシーズに命を救われた時に、竜の活性化をしたと言っていたな。

僕の力は、以前の何倍にもなっていた。

これが、さらなる竜の力。

でも、竜の姿には、ならない。

何十人も斬り殺して、壇上のカーテン奥に行った。

通路は、左右にあって、右に行くと、そこには、家族を殺され、敵討ちを誓う元ドメイル教徒が、死んでいた。

ブルーシーズ、君だな。

これが、君の、竜としてのやり方なのか。



僕は、そのまま突き進み、集会場の外に出て、地下水路を突き進んだ。

必死に進み、ここが何処だかわからない。

でも、黒い教会ではなく、白い教会が見える。

今は、もう少し、この岩間の中にいよう。

そして、その後に、君の場所へ向かうよ。

ブルーシーズ、君の真意を、訊き出す。



日付不明
       岩間にて
___________________
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