剣士アスカ・グリーンディの日記

sayure

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第4章 貴方へ愛の言葉を

僕と腐神皇アーデ

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ベリオストロフ・グリーンディの囚人部屋の壁に描かれた文字。







物の形を表した象形文字が使われている。









僕の記憶が確かなら、あれは何処かの島で使われていたはずだ。








日常では使われず、何か特殊な使い方をしていた気がする。








ベリオストロフ・グリーンディの手記に、ヘイル・サイン騎士隊の活動を示す隠語がある。




彼の元に訪ねてきた者達に、何か指示をしていたのだろうか。




手記の中の言葉は、明らかにベリオストロフ・グリーンディが主導で物事を動かしている様に感じるんだ。






予言、破滅、抑止。








手記の中で、僕が目を引いた文があった。







滅びを示す赤子の誕生、《滅び》を絶てずとも、残された1つの希望、神より選ばれし赤子の示す救世主の聖矢を、滅びを示す赤子に放て、と。








神より選ばれし赤子の示す。










その言葉を見て、いい印象がなかった。











ブルーシーズが復讐に燃え、僕さえ、駒として動かそうとしていた時。









ドメイル教信仰国デンパルネードの司教ダマズルが死に、デンパルネードから脱出した時、僕は道もわからず進み続け、僕は険しい山岳地帯を背にした白い教会に辿り着いた。










その教会の中に入ると、1人のバドァという聖職者がいて。











そのバドァから話を訊いた。













神より選ばれし赤子。













その神より選ばれし赤子が指差したのは。











光の救世主。











その名は。













アーデ。














あの腐神皇アーデだ。














ドメイル教徒どもが、聖戦という名の殺戮を行う目的でもある、腐神皇アーデの復活。















滅びを示す赤子は、誰の事だ。












それがもし、













僕の事なら。













神より選ばれし赤子が救世主を選択したのは、10年前と言っていた。








僕が死ななかったから、次は、あの邪神アーデが僕を?













でも、僕は、そこまで圧倒的な存在じゃない。












あの教会にいたバドァは、神より選ばれし赤子が光の救世主アーデを選択したという、その証拠が、教会の向こう側にあると。





とても険しい山岳地帯の中に、あるんだ。






ドメイル教よりも前の教えでは、アーデは、光の救世主だと言っていたけど。













僕が再び、邪教国デンパルネード領に入り、あの白い教会、そしてその向こう側の山岳地帯に入る事は、現実的じゃない。












ドメイル教国本山の聖オルディール王国と隣り合わせでもあるデンパルネードに単独で入る理由に、国王を納得させるだけのものがない。










ブルーシーズと共にいた僕じゃないんだ。












確証もないのに。













できない、か。












だからといって、ウイプル王国軍が入っていくのは、もっと現実的じゃない。











同盟国だけではなく、邪教国以外の国という国全てが旗を上げ、邪教国を一斉攻撃をするくらいの準備が整っていなければ、軍を動かしてあの場所まで辿り着けはしない。







邪教国本山の聖オルディール王国が動いてしまえば、それがウイプルではなくても、例えば、南にいる大国のカーディア帝国でさえ、滅びてしまうだろう。








僕が自在に竜となる事ができれば、ドメイル教の秘密とも言える険しい山岳地帯に、姿を気にせず、うまく入り込む事もできるかも知れないけど。















また、人間に戻れるだろうか。








ジスマリアの22日
     カインハッタ牢獄内にて
___________



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