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第4章 貴方へ愛の言葉を
伏兵
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このカインハッタ牢獄に侵入した者。
それは、人ならざる者。
かつては、どうかは知らないけど。
また、でたらめな侵入経路を辿って、この同じ階層に上がってきた。
青い炎を体から浮かばせている、以前の侵入者だと、わかっていた。
何故、僕にはお前の気配がわかる?
僕は。
今度は、ジオグリシェルを、持たずに自分の看守部屋を出た。
僕に、その存在を強く意識させようとしているのか、わからないけど。
敵意を見せなければ、次は逃げる様に消えたりはしないのかと、思いもした。
やはり、前回と同じ方向に向かっている。
目的の場所は、何処だ、と。
消えるな。
姿を消さないで。
このカインハッタ牢獄に、何の執着がある?
僕の知らない事を知っているのなら、教えてほしい。
侵入者は、
通路の角を曲がり、バルケーのいた囚人部屋を通過する。
そのまま進み続けている。
そして。
気配は、まだ残ったまま。
進み続けていた。
その姿は、消えていない。
今度は、会う事ができるのか、と。
果てしなく長い廊下を僕は、一体どのくらい足音を殺しながら、駆けたのだろうか、とわからないくらい、
侵入者の後を、追い続けた。
長い、長い廊下を進み続け、
廊下の十字路を左側に行ったすぐ辺りに気配を感じ、僕はついに、その謎の侵入者と出会う事になる、
そう思った。
いや、正確に言うと、思いはしなかった。
僕が感じた青い炎を浮かばせた侵入者の位置は、そこではなかった。
もう少し、先だ。
でも。
多少の誤差はあるのだろうと思って、僕は微かに感じた違和感を曖昧にして、左に曲がっていったんだ。
目の前に姿を現した者に、僕はとても意外で、そして。
危機感を覚えた。
僕の手には、武器がないんだから。
こいつの存在を、知らないわけじゃない。
ウイプル軍の、何処かへの遠征で、見た事もある。
存在自体は、知っていたけど。
僕に気づき、通路を塞ぐほどのその巨体を震わせ、鼻息を荒く、僕に怒りの目を向けた。
僕をすぐさま、敵と認識したのか、手に持った大きな両刃斧を振り被り、僕を目掛けて、思い切り振り下ろしたんだ。
僕はとっさに左の壁に体をぶつけて、避けられたけど、斧は勢いそのままに、地面の石を砕き、陥没させた。
地響きは、この階層に広く伝わったはずだ。
何という力だ。
それでも、カインハッタ牢獄内、何の話し声一つ、人が動く足音一つ、しなかった。
そうか、と。
ここはもう、カインハッタ牢獄の様で、カインハッタ牢獄ではない。
この怪物のせいだとは、わかっていたんだ。
牛の顔をして、鼻息を荒く撒き散らしているこいつは、
ミノタウロス。
こいつが、このカインハッタ牢獄の建物の構造を変えた。
僕は、竜剣ジオグリシェルを持ってきていない。斧の軌道を変えるため、剣を当てたりなど、できる状況になかった。
この迷宮に、カインハッタ牢獄の者達は、誰もいない。
1人を除いて。
例の侵入者だけは、この構造を崩されたカインハッタ牢獄に巻き込まれている。
いや、意図的にこの中にいるのか、と。
この前、このカインハッタ牢獄に現れた時に気配が消えたのは、ミノタウロスを連れてきていたからか?
カインハッタ牢獄を変えたここは、異空間だとしたら、前にこのカインハッタ牢獄に侵入した時も、その姿を消したのは、この異空間に入ったからなのだろうか。
だとしたら、この中に、何かある?
僕が、武器を持ってきていない事に気づき、僕から逃げるわけじゃなく、仕留めようとしているのか。
僕に敵意を持っている様には思えなかったのは、気のせいか。
青い炎を浮かばせた侵入者の気配は、立ち止まって、様子を見ているかの様だ。
ミノタウロスは、砕いた地面の石片を撒き散らして、再び頭上に大きな斧を持ち上げたんだ。
頭が回らない奴だ、と。
僕目掛けて、斧を力一杯、振り下ろした。
僕は、今度は右側の壁に体をぶつけて、その斧を避けた。
そして、ミノタウロスが地面に叩きつけると同時に、僕は跳んで、斧を握る柄の部分を、踵で思い切り、蹴り落とした。
斧の柄は、ミノタウロスの手から離れ、地面を叩き、跳ね返って、僕の手元にその柄はきたんだ。
一撃一撃が、常に強撃ばかりだと、はずした時の硬直は、相手に反撃の機会を与える。
ミノタウロスは、鼻息を荒らしながらも、戸惑いを見せ、次の行動が少し遅れた。
だから、
僕は柄を両手で握り、地面に刺さっている頭の斧を抜き、
勢いそのまま、ミノタウロスの頭に、弧を描いて、叩きつけたんだ。
避けられもしない。
両手で防ごうとしたんだろうけど、その手を抜け、その頭に。
すぐに死にはしないけど。
その傷は、致命傷だ。
みくびるなよ。
僕を無意味に襲うのなら、決して容赦はしない。
見た目は、人間だけど。
力は、竜に近い。
それは、人ならざる者。
かつては、どうかは知らないけど。
また、でたらめな侵入経路を辿って、この同じ階層に上がってきた。
青い炎を体から浮かばせている、以前の侵入者だと、わかっていた。
何故、僕にはお前の気配がわかる?
僕は。
今度は、ジオグリシェルを、持たずに自分の看守部屋を出た。
僕に、その存在を強く意識させようとしているのか、わからないけど。
敵意を見せなければ、次は逃げる様に消えたりはしないのかと、思いもした。
やはり、前回と同じ方向に向かっている。
目的の場所は、何処だ、と。
消えるな。
姿を消さないで。
このカインハッタ牢獄に、何の執着がある?
僕の知らない事を知っているのなら、教えてほしい。
侵入者は、
通路の角を曲がり、バルケーのいた囚人部屋を通過する。
そのまま進み続けている。
そして。
気配は、まだ残ったまま。
進み続けていた。
その姿は、消えていない。
今度は、会う事ができるのか、と。
果てしなく長い廊下を僕は、一体どのくらい足音を殺しながら、駆けたのだろうか、とわからないくらい、
侵入者の後を、追い続けた。
長い、長い廊下を進み続け、
廊下の十字路を左側に行ったすぐ辺りに気配を感じ、僕はついに、その謎の侵入者と出会う事になる、
そう思った。
いや、正確に言うと、思いはしなかった。
僕が感じた青い炎を浮かばせた侵入者の位置は、そこではなかった。
もう少し、先だ。
でも。
多少の誤差はあるのだろうと思って、僕は微かに感じた違和感を曖昧にして、左に曲がっていったんだ。
目の前に姿を現した者に、僕はとても意外で、そして。
危機感を覚えた。
僕の手には、武器がないんだから。
こいつの存在を、知らないわけじゃない。
ウイプル軍の、何処かへの遠征で、見た事もある。
存在自体は、知っていたけど。
僕に気づき、通路を塞ぐほどのその巨体を震わせ、鼻息を荒く、僕に怒りの目を向けた。
僕をすぐさま、敵と認識したのか、手に持った大きな両刃斧を振り被り、僕を目掛けて、思い切り振り下ろしたんだ。
僕はとっさに左の壁に体をぶつけて、避けられたけど、斧は勢いそのままに、地面の石を砕き、陥没させた。
地響きは、この階層に広く伝わったはずだ。
何という力だ。
それでも、カインハッタ牢獄内、何の話し声一つ、人が動く足音一つ、しなかった。
そうか、と。
ここはもう、カインハッタ牢獄の様で、カインハッタ牢獄ではない。
この怪物のせいだとは、わかっていたんだ。
牛の顔をして、鼻息を荒く撒き散らしているこいつは、
ミノタウロス。
こいつが、このカインハッタ牢獄の建物の構造を変えた。
僕は、竜剣ジオグリシェルを持ってきていない。斧の軌道を変えるため、剣を当てたりなど、できる状況になかった。
この迷宮に、カインハッタ牢獄の者達は、誰もいない。
1人を除いて。
例の侵入者だけは、この構造を崩されたカインハッタ牢獄に巻き込まれている。
いや、意図的にこの中にいるのか、と。
この前、このカインハッタ牢獄に現れた時に気配が消えたのは、ミノタウロスを連れてきていたからか?
カインハッタ牢獄を変えたここは、異空間だとしたら、前にこのカインハッタ牢獄に侵入した時も、その姿を消したのは、この異空間に入ったからなのだろうか。
だとしたら、この中に、何かある?
僕が、武器を持ってきていない事に気づき、僕から逃げるわけじゃなく、仕留めようとしているのか。
僕に敵意を持っている様には思えなかったのは、気のせいか。
青い炎を浮かばせた侵入者の気配は、立ち止まって、様子を見ているかの様だ。
ミノタウロスは、砕いた地面の石片を撒き散らして、再び頭上に大きな斧を持ち上げたんだ。
頭が回らない奴だ、と。
僕目掛けて、斧を力一杯、振り下ろした。
僕は、今度は右側の壁に体をぶつけて、その斧を避けた。
そして、ミノタウロスが地面に叩きつけると同時に、僕は跳んで、斧を握る柄の部分を、踵で思い切り、蹴り落とした。
斧の柄は、ミノタウロスの手から離れ、地面を叩き、跳ね返って、僕の手元にその柄はきたんだ。
一撃一撃が、常に強撃ばかりだと、はずした時の硬直は、相手に反撃の機会を与える。
ミノタウロスは、鼻息を荒らしながらも、戸惑いを見せ、次の行動が少し遅れた。
だから、
僕は柄を両手で握り、地面に刺さっている頭の斧を抜き、
勢いそのまま、ミノタウロスの頭に、弧を描いて、叩きつけたんだ。
避けられもしない。
両手で防ごうとしたんだろうけど、その手を抜け、その頭に。
すぐに死にはしないけど。
その傷は、致命傷だ。
みくびるなよ。
僕を無意味に襲うのなら、決して容赦はしない。
見た目は、人間だけど。
力は、竜に近い。
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