剣士アスカ・グリーンディの日記

sayure

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第4章 貴方へ愛の言葉を

青き炎に包まれて

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行き止まりの壁を背に、本物の看守長ゲーベルドンは、険しい目をしながらも、僕に言葉を発したんだ。








僕はそれを予測していなかった。









口を開く事はないと思っていたから。








この壁に体ごと釘を打たれ、張りつけられ、死んでいった者達の声。








ゴルイルの魔女を貼りつけにし、死に至らしめたのは、失敗だった、と。








その恨めしさから死しても、なお響く声は、恐ろしい呪文となり、死に絶えたはずの紫の海賊達を、死の淵から目覚めさせた。








後、35人の生贄を捧げれば、囚われた自分の体が解放される、と。












ゲーベルドンは、獲物を見る様な目で、僕を見つめ、笑った。











このゲーベルドンは看守長だった時、何かの理由で、魔女に対して、処刑に近い拷問を行い、殺したんだ。









その呪いが、その身に降りかかり、その呪いを解く手段が、生贄を捧げる事だと知ったんだろう。









囚人を私物化して、今さら後悔などしても、遅い。











偽看守長ゲーベルドンの体に海水を浴びた臭いがするのは、もしかしたら。












ゴルイルの魔女の呪文で目覚めさせた海賊の1人か。










本当のゲーベルドンはどんな役割をしている?









海賊に囚人を生贄として送る役割か。










僕は誘き出され、この場から海賊船へ生贄として送るつもりか。






ゲーベルドンは何も武器は持っていない。それでも、その体にまとう青い炎が僕に触れると、どういう影響を及ぼすのか。










ゲーベルドン不敵な笑み、とても自信がありそうだ。











僕は、逃げるつもりもない。


















ゲーベルドンは、体から青い炎を浮かばせ、生気があまり感じられない。あの状態から、また蘇る事があるのかと、思った。











どうでもいい事だ。











私利私欲のため、囚人の命を悪魔に売り続けた、お前の罪は決して軽くはない。









カインハッタ牢獄の構造が歪み、縮小し始めた。ミノタウロスが、もうすぐ息絶える。











ゲーベルドンの、僕を見る目が変わった。










小さく灯る恐怖の炎は、膨らみ、次第に大きくなっていく。











僕の瞳は、ゲーベルドンにどう伝わったか、その表情でわかったんだ。










そうだ。









これが、獣の瞳














竜の瞳だ。










お前も、ウイプル人なら、ウイプルがどういう国かはわかるだろう。









竜と共に生きた、竜と人間の国。












ウイプルは、人間だけじゃない、未だ竜も存在していると、実感させてやる。











人に裁きを下せても、竜に裁きを下す事など、できはしないだろう。













僕は、容赦をつもりはなかった。










お前に、さよならを告げる相手など、不要だろう。











潔く散れ、












ゲーベルドン。








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