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第二章 熱き炎よギルロに届け、切なる思い
その399裏ノ弍
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エズアは何事にも動じる事がないほど、とても強い精神の持ち主だった。
願い事のために、ひとり、またひとりとエズアのいる場所を訪ねて来る。
みんな、自分本位な事ばかり言う。
それでも、エズアは最初から否定をする事なく、耳を貸して、助言をしていった。
俺は、まだ幼獣で、考えが至らないから、理解をする事ができないんだと思っていたな。
成獣になれば、きっと俺もエズアの様に多くの住人達の事を理解し、尊敬される存在になれる。
そう思っていた。
だけど、成獣になっても、何にもなれないゼドケフラーはいる。
頼られても、何もできない。
何も語る事もできない。
成獣になる事は、俺にとって何よりも優先させる目標だった。
そう思っていたけど…。
俺は、きっと。
神獣とも呼ばれる成獣のゼドケフラーに。
人望、不屈の精神、そして圧倒的な力を持ち合わせる、エズアになりたかったんだ。
「獣。お前らはかつて神獣とも呼ばれた存在であったと、耳にした事があったが。今は、地に堕ち、無様な存在と成り下がった」
「もう存在意義のない種。滅びの一撃を、食らい、この世から消え去るがいい」
エズアが一度、強大な魔力を持つ魔物に襲われた事があった。
その時に放った術…。
この成獣になった今の俺の姿なら、その術ができる可能性はある。
ただ、成獣になって本当に間もない未熟な俺が、あの術を放つ危険は計り知れない。
しかし、このまま戦い続けても、魔族に勝ち切る事などできるだろうか?
相手がどのくらいの余力があるのかわからないけど、きっとこのままだと、俺の方が先に力尽きる。
遠くの方でまだ残っているオーロフ族と東角猫族が見えるけど、あいつらは力を貸そうとして留まっている訳じゃない。
早く逃げれば良かったものを。
エズアを助けなかった輩。
正直に言うと、恨みの矛先をあいつらに向ける気持ちが心の奥底にはまだ燻っている。ただ、そんな事をしてエズアが喜ぶはずもない。
この戦いは、エズアと、我が友に捧げる。
「ギャッシャァアッ!魔力が溢れていくのを感じるぞ…」
「俺も、そこまで力がある訳じゃない。だけど、お前もまた大概だ」
カシャッ…。
カシャッ…。
「両足を揃えて、指と指を重ねて。戦の姿勢とは思えないが、お前は潔く私の剣に打たれ、死ぬ覚悟ができたという事だな?」
「もしかしたら、俺のゼドケフラーとしての限界を、感じてしまったのかも知れない」
「ならば、この一撃で冥界へ送ってやろう…」
「!?」
「急激に魔力がまたさらに下がり続けている。まさか、獣よ。自害でもするつもりか?」
「そんな事はしない。戦いの場で自害するほど愚かな行為はないだろう」
「…」
「………」
「そんな事が」
「貴様、何をした?」
「魔力が減り続け、魔力を感じなくなっただと?」
魔力を感じなくなった、か。
エズア。
俺がエズアに少し近づく事ができるかどうか、ここで試される。
「ギャッシャアアアッ!!」
ブォオンッ!!
「!?」
「どうした、魔族よ。そして、ハムカンデよ。もっと冷静に俺を狙ったらどうだ?」
「早く、斬れ。お前は、お前達は、俺を倒す力を抑えていたんだろう?遠慮はいらない。本気で来てくれて構わないと言っている…」
「ギャッシャアアアッ!!」
ブォオンッ!!
ブォオンッ!!
「手加減をした訳ではなかったと、認めたらどうなんだ?」
「俺は、お前達に対しての手加減を…」
「止める事にするよ」
エズアの敵討ち、果たさせてもらおう。
「天狐仙術・霊幻…!」
願い事のために、ひとり、またひとりとエズアのいる場所を訪ねて来る。
みんな、自分本位な事ばかり言う。
それでも、エズアは最初から否定をする事なく、耳を貸して、助言をしていった。
俺は、まだ幼獣で、考えが至らないから、理解をする事ができないんだと思っていたな。
成獣になれば、きっと俺もエズアの様に多くの住人達の事を理解し、尊敬される存在になれる。
そう思っていた。
だけど、成獣になっても、何にもなれないゼドケフラーはいる。
頼られても、何もできない。
何も語る事もできない。
成獣になる事は、俺にとって何よりも優先させる目標だった。
そう思っていたけど…。
俺は、きっと。
神獣とも呼ばれる成獣のゼドケフラーに。
人望、不屈の精神、そして圧倒的な力を持ち合わせる、エズアになりたかったんだ。
「獣。お前らはかつて神獣とも呼ばれた存在であったと、耳にした事があったが。今は、地に堕ち、無様な存在と成り下がった」
「もう存在意義のない種。滅びの一撃を、食らい、この世から消え去るがいい」
エズアが一度、強大な魔力を持つ魔物に襲われた事があった。
その時に放った術…。
この成獣になった今の俺の姿なら、その術ができる可能性はある。
ただ、成獣になって本当に間もない未熟な俺が、あの術を放つ危険は計り知れない。
しかし、このまま戦い続けても、魔族に勝ち切る事などできるだろうか?
相手がどのくらいの余力があるのかわからないけど、きっとこのままだと、俺の方が先に力尽きる。
遠くの方でまだ残っているオーロフ族と東角猫族が見えるけど、あいつらは力を貸そうとして留まっている訳じゃない。
早く逃げれば良かったものを。
エズアを助けなかった輩。
正直に言うと、恨みの矛先をあいつらに向ける気持ちが心の奥底にはまだ燻っている。ただ、そんな事をしてエズアが喜ぶはずもない。
この戦いは、エズアと、我が友に捧げる。
「ギャッシャァアッ!魔力が溢れていくのを感じるぞ…」
「俺も、そこまで力がある訳じゃない。だけど、お前もまた大概だ」
カシャッ…。
カシャッ…。
「両足を揃えて、指と指を重ねて。戦の姿勢とは思えないが、お前は潔く私の剣に打たれ、死ぬ覚悟ができたという事だな?」
「もしかしたら、俺のゼドケフラーとしての限界を、感じてしまったのかも知れない」
「ならば、この一撃で冥界へ送ってやろう…」
「!?」
「急激に魔力がまたさらに下がり続けている。まさか、獣よ。自害でもするつもりか?」
「そんな事はしない。戦いの場で自害するほど愚かな行為はないだろう」
「…」
「………」
「そんな事が」
「貴様、何をした?」
「魔力が減り続け、魔力を感じなくなっただと?」
魔力を感じなくなった、か。
エズア。
俺がエズアに少し近づく事ができるかどうか、ここで試される。
「ギャッシャアアアッ!!」
ブォオンッ!!
「!?」
「どうした、魔族よ。そして、ハムカンデよ。もっと冷静に俺を狙ったらどうだ?」
「早く、斬れ。お前は、お前達は、俺を倒す力を抑えていたんだろう?遠慮はいらない。本気で来てくれて構わないと言っている…」
「ギャッシャアアアッ!!」
ブォオンッ!!
ブォオンッ!!
「手加減をした訳ではなかったと、認めたらどうなんだ?」
「俺は、お前達に対しての手加減を…」
「止める事にするよ」
エズアの敵討ち、果たさせてもらおう。
「天狐仙術・霊幻…!」
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