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第一章 オレン死(ジ)ジュースから転生
その17
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ああ!何でだろう!?足が止まらねぇ!
俺、あのお話しライオンに殺されるぞ!?そして、奴の餌になる。それなら、どう食べられるか、あいつに話しておくべきかな。丸呑みにして下さい。そして、喉につっかえてくたばれ!よし、これだ。
俺は、お話しライオンとシュティールの場所へ走る。もう俺は一度死んでるし、この世界でも生きていく自信がない。ギルロの体と魂とか、探し方もよくわからないし、今はシュティールを必要としているのかも知れないし。ただ、はっきり言えるのは、俺は自分に向けられたお話しライオンの矛先を、シュティールに向けた。それは事実で、拭い去れない罪悪感が心一杯に広がっている。まさか、成すすべなく噛まれるなんて…
お話しライオンの尻尾の蛇が、獲物を狙う様な目をして口を開け、真っ赤な舌を伸ばし、今にも襲いかかりそうな素振りを見せる。
この蛇はお話しライオンと一体化。一定の距離を保っていれば、噛まれる事はないだろう。しかし、蛇に睨まれるなんて、あまりいい気はしない。いや、それどころか、最悪だ。気持ち悪いし、恐いし。
お話しライオンから右に10mほどの所に、シュティールがここまで持ってきた大剣が刺さっている。そのまま、大剣を持っていれば、噛まれなくてもよかったかも知れないのに。いや、俺が悪いんだ。その大剣を持ってお話しライオンに振り回して、ラッキースラッシュをかましてやるぞ!
俺の動きに気づいたお話しライオンは、チラ見をしただけで、くわえたシュティールの方に再び目をやった。くそっ!もうダメか!?
俺は大剣まで駆け寄り、歯を食いしばって、大剣を地面から引き抜いた。意外と深く刺さっていたな。
余裕はない!自分の身長にも迫る長さの大剣を引きずりながら、湧いてくる色々な負の感情を無理するかの様に、自分でもよくわからない言葉を発しながら、俺はお話しライオンに向かっていった。
くそっ!こんな鉄アレイを縦にいくつも繋げた様な重さのもの、持ちたくもない!全力で走ってるのに、走っているんだか、速歩きしてるだけなんだか。お話しライオンは俺に気づき、脅威に感じる黄色の目が俺の方へ向く。
やるしかない!
何とか持ち上げた大剣を、そのまま思いっ切り、お話しライオンの頭に振り下ろした。
あれれ?
いない!?
飛び退いて、うまくかわしたな。俺が、下手過ぎるのか。お話しライオンからは、怒りに満ちた視線を向けられている。ああ、もう終わりか、俺。完全に警戒されたぞ。
「フフフ、さて。その次の君の行動はどうする?僕は決して食べられたりはしないから、落ち着いて戦うといいさ。イクト君、この獣の口元から、ゆっくりと君の戦いを拝見させてもらうとしようかな」
シュティール、こいつ。何ともないのか。やっぱり、不死身なんだ。いや、もう死んでいたりして。俺が会った時から。バカだなー、俺。逃げておけばよかった…。
お話しライオンは、シュティールをあぐあぐと噛んでは、不思議そうな表情をして、また意地になって顔に怒りのしわを這わせ、力を込めて噛みついたりしている。うまく噛めないんだ。何て強度を誇るのか、シュティール。もはや、人じゃない。いや、元々人じゃないか。
シュティールを食べようとしながらも、お話しライオンは、俺をチラチラ見ている。食事の対象を、また俺に戻そうとしてるんだろ?わかるよ。シュティールは、無事だから、逃げる準備をしよう。この大剣は、再び置いていかないと。クソ重いからな。
お話しライオンは、口からシュティールを吐き捨て、迷わず俺の元へ駆け寄った。畜生、あまりに一瞬の出来事で、逃げそびれたぞ。
「餌よ!もう、腹減ってな…。お前の食べられ方を聞いてあげられんぞォ!!」
お話しライオンはそう言って、よだれをじゅるじゅる垂らす。
終わった…。このお話しライオンと俺との距離は、5mしかない。逃げられず、そして抵抗できそうもない。満足に大剣なんか扱えはしないし、もう、おしまいだ。
心残りと言えば、転生前に録画したドラマが観れていない事。最後、どうなったのか。陸上部の村井が、陸上部顧問の先生の斎藤に、好きと告白したはいいものの、金銭を要求されて、村井は毎日早朝新聞配達をしてお金を作った。50万程度。それを最終回に手渡す予定だ。さあ、どうなるか、村井、斎藤!
いや、そんなもの、死ぬ間際に気にする方がおかしい。あ、そうだ。転生前に財布の中に入れていた宝くじのスクラッチ、5枚買っていたんだけど、結局幾ら当たったんだろう?最高額30万だけど、もしその30万が当たったら…。いや、それも今はどうでも…
あーーーーーーーーーーー!!!!!
お話しライオンが、飛びかかってきた!!
この重い大剣を構える暇もない…!
あ。
あ…
お話しライオンの黒い牙が、俺の着ていた鎧を簡単にえぐり取っていった。
まだ。
まだ、生きている?
よかった。
鎧だけで、後は胸にかすり傷程度だ。
何だ?
俺の、体が?
傷は大した事ないのに、違和感がある。
熱い!
くそっ!
熱い!熱い!熱い!
助けて…。
俺の右手が…。
俺、あのお話しライオンに殺されるぞ!?そして、奴の餌になる。それなら、どう食べられるか、あいつに話しておくべきかな。丸呑みにして下さい。そして、喉につっかえてくたばれ!よし、これだ。
俺は、お話しライオンとシュティールの場所へ走る。もう俺は一度死んでるし、この世界でも生きていく自信がない。ギルロの体と魂とか、探し方もよくわからないし、今はシュティールを必要としているのかも知れないし。ただ、はっきり言えるのは、俺は自分に向けられたお話しライオンの矛先を、シュティールに向けた。それは事実で、拭い去れない罪悪感が心一杯に広がっている。まさか、成すすべなく噛まれるなんて…
お話しライオンの尻尾の蛇が、獲物を狙う様な目をして口を開け、真っ赤な舌を伸ばし、今にも襲いかかりそうな素振りを見せる。
この蛇はお話しライオンと一体化。一定の距離を保っていれば、噛まれる事はないだろう。しかし、蛇に睨まれるなんて、あまりいい気はしない。いや、それどころか、最悪だ。気持ち悪いし、恐いし。
お話しライオンから右に10mほどの所に、シュティールがここまで持ってきた大剣が刺さっている。そのまま、大剣を持っていれば、噛まれなくてもよかったかも知れないのに。いや、俺が悪いんだ。その大剣を持ってお話しライオンに振り回して、ラッキースラッシュをかましてやるぞ!
俺の動きに気づいたお話しライオンは、チラ見をしただけで、くわえたシュティールの方に再び目をやった。くそっ!もうダメか!?
俺は大剣まで駆け寄り、歯を食いしばって、大剣を地面から引き抜いた。意外と深く刺さっていたな。
余裕はない!自分の身長にも迫る長さの大剣を引きずりながら、湧いてくる色々な負の感情を無理するかの様に、自分でもよくわからない言葉を発しながら、俺はお話しライオンに向かっていった。
くそっ!こんな鉄アレイを縦にいくつも繋げた様な重さのもの、持ちたくもない!全力で走ってるのに、走っているんだか、速歩きしてるだけなんだか。お話しライオンは俺に気づき、脅威に感じる黄色の目が俺の方へ向く。
やるしかない!
何とか持ち上げた大剣を、そのまま思いっ切り、お話しライオンの頭に振り下ろした。
あれれ?
いない!?
飛び退いて、うまくかわしたな。俺が、下手過ぎるのか。お話しライオンからは、怒りに満ちた視線を向けられている。ああ、もう終わりか、俺。完全に警戒されたぞ。
「フフフ、さて。その次の君の行動はどうする?僕は決して食べられたりはしないから、落ち着いて戦うといいさ。イクト君、この獣の口元から、ゆっくりと君の戦いを拝見させてもらうとしようかな」
シュティール、こいつ。何ともないのか。やっぱり、不死身なんだ。いや、もう死んでいたりして。俺が会った時から。バカだなー、俺。逃げておけばよかった…。
お話しライオンは、シュティールをあぐあぐと噛んでは、不思議そうな表情をして、また意地になって顔に怒りのしわを這わせ、力を込めて噛みついたりしている。うまく噛めないんだ。何て強度を誇るのか、シュティール。もはや、人じゃない。いや、元々人じゃないか。
シュティールを食べようとしながらも、お話しライオンは、俺をチラチラ見ている。食事の対象を、また俺に戻そうとしてるんだろ?わかるよ。シュティールは、無事だから、逃げる準備をしよう。この大剣は、再び置いていかないと。クソ重いからな。
お話しライオンは、口からシュティールを吐き捨て、迷わず俺の元へ駆け寄った。畜生、あまりに一瞬の出来事で、逃げそびれたぞ。
「餌よ!もう、腹減ってな…。お前の食べられ方を聞いてあげられんぞォ!!」
お話しライオンはそう言って、よだれをじゅるじゅる垂らす。
終わった…。このお話しライオンと俺との距離は、5mしかない。逃げられず、そして抵抗できそうもない。満足に大剣なんか扱えはしないし、もう、おしまいだ。
心残りと言えば、転生前に録画したドラマが観れていない事。最後、どうなったのか。陸上部の村井が、陸上部顧問の先生の斎藤に、好きと告白したはいいものの、金銭を要求されて、村井は毎日早朝新聞配達をしてお金を作った。50万程度。それを最終回に手渡す予定だ。さあ、どうなるか、村井、斎藤!
いや、そんなもの、死ぬ間際に気にする方がおかしい。あ、そうだ。転生前に財布の中に入れていた宝くじのスクラッチ、5枚買っていたんだけど、結局幾ら当たったんだろう?最高額30万だけど、もしその30万が当たったら…。いや、それも今はどうでも…
あーーーーーーーーーーー!!!!!
お話しライオンが、飛びかかってきた!!
この重い大剣を構える暇もない…!
あ。
あ…
お話しライオンの黒い牙が、俺の着ていた鎧を簡単にえぐり取っていった。
まだ。
まだ、生きている?
よかった。
鎧だけで、後は胸にかすり傷程度だ。
何だ?
俺の、体が?
傷は大した事ないのに、違和感がある。
熱い!
くそっ!
熱い!熱い!熱い!
助けて…。
俺の右手が…。
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