とてもおいしいオレンジジュースから紡がれた転生冒険!そして婚約破棄はあるのか(仮)

sayure

文字の大きさ
60 / 548
第一章 オレン死(ジ)ジュースから転生

その60

しおりを挟む
目の前が、真っ暗だ…。





俺。







俺は、きっと。








今、俺は…笑っている。











きっと。










右京、俺達は…。











次元斬を成功させた。










右京、ありがとう…。









右京の力があったから、次元斬は成功したんだ。










お前は、やっぱり凄い奴だよ。あの境界線を、あの高速の一振り、まるで時を止めた様な速さじゃないか!


















その直後、俺はうさ耳オヤジのパンチをもらったかも知れないけど…。





目が見えなくなった。









俺、無事なのかな?





それとも、やっぱり死ぬのかな?








体中が脈打つ様に痛いんだ。でも、感覚がない箇所もあって、わからない。





どうせ、一度死んでるんだ、今生きてるのは、オマケみたいなものなんだから。










いいよな?









あー。






あのしもべってキチガイ神父、ゲルロの魂と体を探したら、時を止めていた地球をまた、時間を動かすとか言っていたな。








この世界で俺が死んだら、時を止め続ける意味、ないからな。








ハハ…。ザマァみろ。









お前の思い通りなんか、いくかよ。







もう少ししたら、地球の時を動かせよ。









そうしたらさ、古池もまた、学校生活が始まるだろ?









高校の授業でも、サッカーあるんだろう?俺の行った学校はあるみたいだぞ。









俺が教えたんだからな。








また、カーブシュート、撃てよな。







そうだ!






冷蔵庫のショートケーキ、賞味期限も止まっているんだろ?







俺はもう、食べられないからさ。









母さんが食べてくれよ。








食べ物の趣味がかぶるもんな。








いつも譲ってくれたから、今度は。








…お腹壊しそうだったら、止めてくれよな?













あ…。









そうだよ。







右京…に何か言わないと。











…右京。









まだいてくれてるよな?







俺なんかが、右京に何を言う資格があるのか、わからないけど…。





…。







あの…さ。










…お、










俺が。









…。










う…とぉ…。










何を言っても、慰めにはならないよな。








…。










右京に、何の救いが、あったんだよ…。









バカ野郎…。









誰を責めていいのかわからねぇよ…。










え?…あ、ハハハ…そうだよ。







肝心な事言ってなかった。バカだな、俺。








俺…、










俺なんかに、力を貸してくれて、ありがとう…!







右京は…凄い忍者だ。









俺は、右京を尊敬するよ。









どんな状況でも、不屈の精神で、やるべき事を成し遂げた。






命を助けてくれたりもした好敵ライバルであり、友でもある霧蔵が、目の前で死んだ…。





大好きな母さんに裏切られた…






仲間に白い目を向けられても…








折れる事なく、倒すべき敵を倒したんだ。










右京、お前は…。








あの時、








霧蔵の墓に、何て言ったんだ?









晴々とした表情だった…。










最大の敵忍者集団のボス牙音番禺げおんばんぐを倒したとか、言ったんだろうけど…。








それを言っただけなのか…?









はは…。









厚かましいな、そんな事、俺に教えるわけないよな。川で自殺を図る前に、言った言葉だ…。











2人だけの、秘密だよな。












あ…。










何か、風に煽られて、落ちてくる音が。











周りが段々と明るくなっていく?光が広がっているのが、わかるよ。










何だ…?






緑の葉が、揺れながら落ちてくる。








緑の葉が風に流されて、川に落ちて、水の波紋が広がる。








緑の木々に囲まれた場所に、いる。










ここは?










俺、景色に溶け込んでるみたいだ。








実体がない…。










意識だけがあるみたいだ。











!?










右京…!










そうだ!あの時の景色…。




右京が雑木林の場所で、霧蔵の墓の前で、晴々とした顔で話している。









…やっぱり、牙音番禺の事を話しているよ。そうだよな、本来は黒忍者集団のリーダーは霧蔵で、牙音番禺をリーダーとする白忍者集団を倒すのが目的なんだろうからな。







…。










…うぅ。










そんな事言ってたのか…、右京。










うぅ…。




















身も心も、私達の思い出深い、この川で浄化させ、この右京の、全てを終わらせる…。









私は、お前を始め、大切な者達を死なせてしまった。









その罰を、受けるべきなのだ。









…。










だけど…。









もし、この私の胸の内にある厚かましい願いが、神に届くのなら、










私の魂に…








再び光が灯る事があるのなら…









その時は、









私はまた、










お前と出会いたい…









そしてまた、共に腕を磨く道を選ぶ。








…霧蔵よ。










良いか…?
































肺に…大きく空気が入っていく。










はぁぁぁ…。










両目に誰か、手を当ててる。







何か、優しい温もり…だな。








ヘヘっ、何だか安らいで…くるな。












あ…。







光が…!










石橋が…見える…!








目が、目が見える!












はは…っ、目が、見える!











はは…。














長い白髪の綺麗な顔をした男が、俺の近くにいた。









右京…だろ?











あの、あのさ…。










微笑んでる。










はは、右京!










お、俺さ…。











おれ…は、いや、俺が勝てたのは…。









右京、…右京!











何か、あまりうまく言えてない??









おれ。












…え?












…も、もう何も言いたくねぇや。











はは…。











ダメだ、俺。











涙が止まんねぇや…。


















右京が目線を変えたその方向に、俺も目を向けたら。










その先には、











霧蔵の姿が。












霧蔵が、右京を見て、優しく微笑んでる。










それが俺には…









ただ、うれしくて…。











うれしくて。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

【完結】物置小屋の魔法使いの娘~父の再婚相手と義妹に家を追い出され、婚約者には捨てられた。でも、私は……

buchi
恋愛
大公爵家の父が再婚して新しくやって来たのは、義母と義妹。当たり前のようにダーナの部屋を取り上げ、義妹のマチルダのものに。そして社交界への出入りを禁止し、館の隣の物置小屋に移動するよう命じた。ダーナは亡くなった母の血を受け継いで魔法が使えた。これまでは使う必要がなかった。だけど、汚い小屋に閉じ込められた時は、使用人がいるので自粛していた魔法力を存分に使った。魔法力のことは、母と母と同じ国から嫁いできた王妃様だけが知る秘密だった。 みすぼらしい物置小屋はパラダイスに。だけど、ある晩、王太子殿下のフィルがダーナを心配になってやって来て……

【書籍化決定】ギルドの片隅で飲んだくれてるおっさん冒険者

哀上
ファンタジー
チートを貰い転生した。 何も成し遂げることなく35年…… ついに前世の年齢を超えた。 ※ 第5回次世代ファンタジーカップにて“超個性的キャラクター賞”を受賞。 ※この小説は他サイトにも投稿しています。

3歳で捨てられた件

玲羅
恋愛
前世の記憶を持つ者が1000人に1人は居る時代。 それゆえに変わった子供扱いをされ、疎まれて捨てられた少女、キャプシーヌ。拾ったのは宰相を務めるフェルナー侯爵。 キャプシーヌの運命が再度変わったのは貴族学院入学後だった。

消息不明になった姉の財産を管理しろと言われたけど意味がわかりません

紫楼
ファンタジー
 母に先立たれ、木造アパートで一人暮らして大学生の俺。  なぁんにも良い事ないなってくらいの地味な暮らしをしている。  さて、大学に向かうかって玄関開けたら、秘書って感じのスーツ姿のお姉さんが立っていた。  そこから俺の不思議な日々が始まる。  姉ちゃん・・・、あんた一体何者なんだ。    なんちゃってファンタジー、現実世界の法や常識は無視しちゃってます。  十年くらい前から頭にあったおバカ設定なので昇華させてください。

幼女はリペア(修復魔法)で無双……しない

しろこねこ
ファンタジー
田舎の小さな村・セデル村に生まれた貧乏貴族のリナ5歳はある日魔法にめざめる。それは貧乏村にとって最強の魔法、リペア、修復の魔法だった。ちょっと説明がつかないでたらめチートな魔法でリナは覇王を目指……さない。だって平凡が1番だもん。騙され上手な父ヘンリーと脳筋な兄カイル、スーパー執事のゴフじいさんと乙女なおかんマール婆さんとの平和で凹凸な日々の話。

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

疲れきった退職前女教師がある日突然、異世界のどうしようもない貴族令嬢に転生。こっちの世界でも子供たちの幸せは第一優先です!

ミミリン
恋愛
小学校教師として長年勤めた独身の皐月(さつき)。 退職間近で突然異世界に転生してしまった。転生先では醜いどうしようもない貴族令嬢リリア・アルバになっていた! 私を陥れようとする兄から逃れ、 不器用な大人たちに助けられ、少しずつ現世とのギャップを埋め合わせる。 逃れた先で出会った訳ありの美青年は何かとからかってくるけど、気がついたら成長して私を支えてくれる大切な男性になっていた。こ、これは恋? 異世界で繰り広げられるそれぞれの奮闘ストーリー。 この世界で新たに自分の人生を切り開けるか!?

異世界の貴族に転生できたのに、2歳で父親が殺されました。

克全
ファンタジー
アルファポリスオンリー:ファンタジー世界の仮想戦記です、試し読みとお気に入り登録お願いします。

処理中です...