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第二章 熱き炎よギルロに届け、切なる思い
その6
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「…という訳さ。ね、グレンベールも中々だろう?」
「おー。そうだな」
お前がその話の中身を話して、俺が納得すればの話だがな。会話の中身省略して、…という訳さ、でわかる訳がないだろう。
「…この世界のオレンジジュース、皮も搾っているから、少しの苦味はあっても、栄養がすごいんだよ」
どうした、急に。好きじゃないと言っているオレンジジュースの話を急に深掘りしても、俺が何の興味もわかないのはわかるだろうが。バカシュティール。
「グレンベールは火の魔法を使って攻撃をするのが得意なんだ。火の魔法は、別にグレンベールだけが使える訳ではないんだけど、火の魔法でも、種類が色々あってね」
「また急に変えてきたな…。え、と。1番強いのが使えるのか?」
「1番強いの…か。まぁ、そうなのかもね。でも、湧き水の宝玉争奪戦では、火の魔法自体を使わずに、勝負をつけたんだ」
「強いじゃない、グレンベール」
「ボロ負けだったのにかい?」
何ぃ…?街の住人達に、負けたと??高天魔四大将のとか、炎真大将とか、散々名前の前にお飾りジャラジャラつけた名前を、今まで散々聞かされてきたってのに、そこら辺の住人ごときに負けたぁぁ??
「途中まで勝ってたらしいんだけど、毒を吐きながら。俺が勝ったら、財産の半分を徴収して、水10日分とか、水泥棒がいたら、街の連帯責任で、皆殺しとか。そうしたら、みんなが敵をグレンベールの一択に絞って、協力してグレンベールを倒したらしいんだよ。湧き水の宝玉を、グレンベールだけには渡してはならないって」
「まー、そうなるのも、わかるな」
「グレンベールは執念を燃やして、必ず仕返しをして、湧き水の宝玉奪取を成し遂げると、イクト君みたいな気味悪い笑いをして、その場にいる街の住人達に言い放ったらしいね」
諦めの悪い奴なんだな、グレンベール。ただ、気味悪いんだな、と同調できない理由は、俺の名前を上げて例えているからだという事を、虫がわいているその脳みそで理解してもらえるとありがたいが。
「グレンベールの執念深さ、気味の悪さを覚えた住人達は、無害な住人を湧き水の宝玉の所有者とし、その水の利用権を、住人達全てに無料で解放する事によって、グレンベールが湧き水の宝玉の権利を得ようとしても、街全体の住人達から大きな反発を受けやすい様にしたんだよね。そして、グレンベールの仕返しに対抗する様に、街全体でコミニュケーションをとり、いつでも一丸となって戦える態勢を作れる様にもした」
そうか。まぁ、殺されても良さそうな弱そうな奴をその地位に置いて(卑怯)、そして、グレンベールがそのポジションを手に入れても、水は無料開放していて、そこからの有料化など、住人達の猛反発は必至、思い通りの価値は相当手に入れづらくなってるぞ、という訳か。
「それは、実はグレンベールの思い描いた通りのものになったんだから、グレンベールは中々やる男なのさ」
「そ、そうだな。水の無料にできたんだから、街のみんなが水を飲み…」
「イクト君、違うんだ…」
「え?」
「グレンベールは、湧き水の宝玉争奪戦に参加した街の住人達が自分を協力して倒し、その後も、自分を警戒し、対抗する様に、街の住人達がコミニュケーションを取り始めるのが狙いだったんだ。結果、それがいつしか心を通わせ、本当の絆を生んだんだ。湧き水の争奪戦に終止符を打ったのは事実。でも、グレンベールの思惑通りというのは、むしろ、この絆の方なんだよ」
「…そう、なのか?」
「君が街で見た子供達だって、今、他の街で見られる光景とは、限らないだろう?」
「あ、まぁ。仲が良さそうだったもんな」
「君が僕とライアマイアンの街を通る時、シンガリ族と戦った時の事を語ってたよね。耳の長い子供が、そのシンガリ族の子供だよ」
「…やっぱりな。薄々、気づいていたんだけど。俺、気づかないフリしてたんだよな、きっと。その方が、まだ普通に接する事ができるからか…」
シュティールは、少し混乱して話した俺を見透かした様にして目を細めて笑ってきた。何だよ、シュティールめ…。
「そのシンガリ族に戯れてきた子供は、この大陸を浮遊術で保とうとしたソライン族の子供なんだよ」
「!?」
「君は優しいんだね…」
「…」
「君は、やっぱりグレンベールに会うべきなんだ。きっと、君の言葉は、彼に届く。ギルロを、探し出す手助けをしてくれるよ、きっと」
「…俺」
「オレンジジュース飲みたくなったのかい?」
「…飲まねぇよ」
「じゃあ、行こうか。イクト君」
「ああ!」
「おー。そうだな」
お前がその話の中身を話して、俺が納得すればの話だがな。会話の中身省略して、…という訳さ、でわかる訳がないだろう。
「…この世界のオレンジジュース、皮も搾っているから、少しの苦味はあっても、栄養がすごいんだよ」
どうした、急に。好きじゃないと言っているオレンジジュースの話を急に深掘りしても、俺が何の興味もわかないのはわかるだろうが。バカシュティール。
「グレンベールは火の魔法を使って攻撃をするのが得意なんだ。火の魔法は、別にグレンベールだけが使える訳ではないんだけど、火の魔法でも、種類が色々あってね」
「また急に変えてきたな…。え、と。1番強いのが使えるのか?」
「1番強いの…か。まぁ、そうなのかもね。でも、湧き水の宝玉争奪戦では、火の魔法自体を使わずに、勝負をつけたんだ」
「強いじゃない、グレンベール」
「ボロ負けだったのにかい?」
何ぃ…?街の住人達に、負けたと??高天魔四大将のとか、炎真大将とか、散々名前の前にお飾りジャラジャラつけた名前を、今まで散々聞かされてきたってのに、そこら辺の住人ごときに負けたぁぁ??
「途中まで勝ってたらしいんだけど、毒を吐きながら。俺が勝ったら、財産の半分を徴収して、水10日分とか、水泥棒がいたら、街の連帯責任で、皆殺しとか。そうしたら、みんなが敵をグレンベールの一択に絞って、協力してグレンベールを倒したらしいんだよ。湧き水の宝玉を、グレンベールだけには渡してはならないって」
「まー、そうなるのも、わかるな」
「グレンベールは執念を燃やして、必ず仕返しをして、湧き水の宝玉奪取を成し遂げると、イクト君みたいな気味悪い笑いをして、その場にいる街の住人達に言い放ったらしいね」
諦めの悪い奴なんだな、グレンベール。ただ、気味悪いんだな、と同調できない理由は、俺の名前を上げて例えているからだという事を、虫がわいているその脳みそで理解してもらえるとありがたいが。
「グレンベールの執念深さ、気味の悪さを覚えた住人達は、無害な住人を湧き水の宝玉の所有者とし、その水の利用権を、住人達全てに無料で解放する事によって、グレンベールが湧き水の宝玉の権利を得ようとしても、街全体の住人達から大きな反発を受けやすい様にしたんだよね。そして、グレンベールの仕返しに対抗する様に、街全体でコミニュケーションをとり、いつでも一丸となって戦える態勢を作れる様にもした」
そうか。まぁ、殺されても良さそうな弱そうな奴をその地位に置いて(卑怯)、そして、グレンベールがそのポジションを手に入れても、水は無料開放していて、そこからの有料化など、住人達の猛反発は必至、思い通りの価値は相当手に入れづらくなってるぞ、という訳か。
「それは、実はグレンベールの思い描いた通りのものになったんだから、グレンベールは中々やる男なのさ」
「そ、そうだな。水の無料にできたんだから、街のみんなが水を飲み…」
「イクト君、違うんだ…」
「え?」
「グレンベールは、湧き水の宝玉争奪戦に参加した街の住人達が自分を協力して倒し、その後も、自分を警戒し、対抗する様に、街の住人達がコミニュケーションを取り始めるのが狙いだったんだ。結果、それがいつしか心を通わせ、本当の絆を生んだんだ。湧き水の争奪戦に終止符を打ったのは事実。でも、グレンベールの思惑通りというのは、むしろ、この絆の方なんだよ」
「…そう、なのか?」
「君が街で見た子供達だって、今、他の街で見られる光景とは、限らないだろう?」
「あ、まぁ。仲が良さそうだったもんな」
「君が僕とライアマイアンの街を通る時、シンガリ族と戦った時の事を語ってたよね。耳の長い子供が、そのシンガリ族の子供だよ」
「…やっぱりな。薄々、気づいていたんだけど。俺、気づかないフリしてたんだよな、きっと。その方が、まだ普通に接する事ができるからか…」
シュティールは、少し混乱して話した俺を見透かした様にして目を細めて笑ってきた。何だよ、シュティールめ…。
「そのシンガリ族に戯れてきた子供は、この大陸を浮遊術で保とうとしたソライン族の子供なんだよ」
「!?」
「君は優しいんだね…」
「…」
「君は、やっぱりグレンベールに会うべきなんだ。きっと、君の言葉は、彼に届く。ギルロを、探し出す手助けをしてくれるよ、きっと」
「…俺」
「オレンジジュース飲みたくなったのかい?」
「…飲まねぇよ」
「じゃあ、行こうか。イクト君」
「ああ!」
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